投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.196  夢か悪夢かリニアが通る!vol.25

 旧国鉄の分割・民営化を推進したJR東日本元社長の松田昌士氏が5月19日、84歳で亡くなりました。JR東海名誉会長の葛西敬之氏らとともに「国鉄改革3人組」の一人。労組元組合長との蜜月、道路公団民営化での一徹さなど評価は割れるようですが、リニア中央新幹線を特集した日経ビジネス2018年8月20日号では歯に衣着せぬ次のような発言が紹介されています。「歴代のリニア開発のトップと付き合ってきたが、みんな『リニアはダメだ』って言うんだ。やろうと言うのは、みんな事務屋なんだよ」「俺はリニアは乗らない。だって、地下の深いところだから、死骸も出てこねえわな」。新型コロナウイルス感染拡大で価値観が激変する今、松田氏ならリニアをどのように語ったでしょうか。     井澤宏明・ジャーナリスト


揺らぐ「便利」「速い」

リニア南アルプストンネル工事の模型。トンネル掘削で湧き出した地下水を「導水路トンネル」で大井川に戻す計画だというが(国土交通省提供)

“強行”された会議

 政府が緊急事態宣言を発令して「不要不急」の外出自粛などを求めた4月下旬、集団感染も疑われていた国土交通省が“強行”した会議が波紋を呼びました。
 会議はリニアを巡る有識者会議。主なテーマは、南アルプスを貫く巨大トンネルを建設する影響で静岡県の大井川の流量が減る問題です。同県や流域自治体はこれまで、「JR東海の対策は県民が安心できるレベルに達していない」として着工を認めてきませんでした。品川-名古屋間の開業予定の2027年が7年後に迫る中、同省が「調整役」に乗り出した形です。
 4月27日の初会合はちぐはぐさが目につきました。会議は感染拡大防止のため「オンライン形式」で、取材も一部を除いてオンラインに限られました。ところが、委員7人のうち4人が同省に集まりました。建物内にある同省自動車局で9人(その後11人に)の感染者が確認されていたのにも関わらずです。
 会議の冒頭で、同省の水嶋智鉄道局長は「国民の大きな関心事項。いたずらに時間をかけるわけにはいかない」と開催の大切さを訴えました。が、JR東海の金子慎社長が名古屋からオンラインで出席して、「私どもはリニアが有益な事業だからと環境保全を軽んじるつもりは全くないが、県も南アルプスの環境が重要であるからといって、あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ、着工も認めないというのは法律(環境影響評価法)の趣旨に反するのではないか。有識者会議では、県の提起している課題の是非、即ち、いくら何でも事業者にそこまで求めるのは無理なのではないかという点も含めて審議をいただければ幸いだ」と発言してひんしゅくを買いました。
 県と自治体は猛抗議、国交省が金子社長の発言は「会議の趣旨にそぐわず反省を促す」などと文書や口頭で注意する騒ぎになり、金子社長は発言の撤回、謝罪に追い込まれました。「『3密』を避けている。集中的にやりたい」(同省の事務局)と急いだ会議は裏目に出ました。

静岡県民を中傷

 舌の根も乾かぬうちに金子社長は5月29日の記者会見で「6月中に(静岡県の)準備工事の了解が得られないと、27年開業は難しくなる」と発言しました。静岡新聞は「県民を中傷 ネットで相次ぐ」という見出しで、リニア問題で県民への心ない中傷が相次いでいることを伝えていました。
 6月2日に開かれた有識者会議の3回目の会合後、出席した宇野護副社長にオンラインで尋ねてみました。筆者「金子社長の発言によって、『静岡県が27年の工事を遅らせている』という風当たりがネット上で強まっているようだが、もう少し配慮が必要ではないか。実際、沿線の色んなところで工事は遅れていて、27年(開業)というのは客観的に不可能ではないか」、宇野副社長「静岡工区のような状況になっているところはないと思っているし、色々苦労しながら着実に進めてきているというふうに考えている」
 東海道新幹線の大型連休の乗客は前年より94%減りました。オンライン会議やテレワークが急拡大しリニアの意義も揺らいでいます。建設自体に反対ではなかった静岡県の川勝平太知事も4月30日の定例記者会見で「リニアが立脚している哲学『便利、速い』だけを追求していいのか」と疑問を投げかけています。

「集団感染」が疑われていた国土交通省で開かれた有識者会議(4月27日、国土交通省提供)



                                  井澤宏明・ジャーナリスト


vol.196 ボーダーレス社会をめざして vol.55

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

青年学級

 毎月1回、ボウリング、バス旅行、お茶会、博物館や美術館での鑑賞、飲み会、料理教室などを行っている障がい者で作る「青年学級」というものがあります。忘年会は毎年、岐阜グランドホテルで会食します。いつも静かに皆さんフォークとナイフを使い、昼食をいただきます。騒ぐ人は一人もいません。青年学級に来ているレベル(一人で公共交通機関を使える)の人は、ほんの少しの的確な支援で、理解し行動できます。本当に彼らの特徴を知っていれば、少しの支援で普通と呼ばれる人たちと何も変わらないくらいにできるのです。
 息子が、特別支援学校の高等部を卒業する時に、障がいのある人が社会に出てから孤立しないようにという趣旨に賛同して下さった人と青年学級を立ち上げました。当時、私はPTA会長をしていて、学校を卒業した後、障がいのある人が楽しく過ごせる時間を持つことができないか?25年前ですが、岐阜市にはすでに、青年学級というものがありましたので、各務原市にも作れないか考えていると校長先生にお話をしたら、先生方がボランティアでお手伝いをするから、始めましょうということになりました。
 息子が卒業した翌月の4月から、毎月1回何か行事をするということでスタートしましたが、当初は世話人2人、参加者2人というように人気のない青年学級でした。しかし、今では30名弱の登録者がいて、毎回5人以上の参加があります。年度初めに、開級式というものを行い年間計画を作ります。「ボウリングは年2回やりたいから減らさないで。」「旅行は京都などの観光より、○○狩りとか、遊園地がいい」など、年度末に皆さんの気持ちを聞き、世話人の集まりでそれを反映し年間計画を予め作っておきます。それをもとに開級式で、月毎の行事を進行する当番やバス旅行先を決めます。バス旅行の行き先は、3つの案から行程表や費用を考え挙手により多数決をします。
 今までユニバーサルスタジオ、長島スパーランド、志摩スペイン村、ラグーナテンボス、京都、奈良などいろいろな所へ行っています。できる限りご本人たちの意思を尊重するよう、世話人が前に出ないお手伝いを心掛けています。現在は青年学級を理解して下さっている人たちで「知的障がい者の余暇活動を支える会」というものを作り運営をしています。私は今、世話人の一人となり少しだけお手伝いをしています。
 2年前の忘年会の帰りのバスで「今日、楽しんだから、明日からまた頑張る!」と言った人がいて、青年学級を続けてきた意義は、この一言に尽きると思いました。今年は、残念ですが新型コロナウィルスの関係で、1年間お休みになりました。笑顔の皆さんにまた会えるのを楽しみにしています。


vol.196 菌ちゃん野菜応援団 vol.17

 ようやく緊急事態宣言が解除されてホッと一息ついているところですね。とはいえ、畑は夏にむけて忙しい時期。
 畑活のメンバーたちとは気を遣いつつも濃厚接触ならぬ農耕接触をしまくり、やれ芽が出ただの、花が咲いただの自粛ならぬ自祝をしまくっておりました。あまりに込み合ったところは「ソーシャルディスタンス大事だからね」と間引きをし、引いたお野菜はありがたく頂き。 こうやってややもすればストレスでキューっとなってしまいがちな気持ちを笑いで切り替え切り替えしていくことも大切ですね。こどもたちも畑ではのびのびと走り回っているのをみてどれだけホッとしたかわかりません。部屋の中ばかりでおかしくなりそう、と畑に親子で来られる方も多くいました。

 身体をうごかして新鮮な空気を胸一杯吸い込む。これがどれほど大切なことか。そして、病に負けない身体を作ることがどれほど大切か。

 この春改めて思ったこと。人も野菜も菌活だ!でした。みていると、弱い苗にはあっという間に虫がつき、瞬く間にぼろぼろにされてしまうんですね。あかんあかん、とあわてて草を敷いて菌ちゃんを振り掛けて。1週間もすると見事に蘇っているのを見るともう感動!!

 人もお野菜も弱ったら病気や虫にやられるんやもん、元気でいるためには菌ちゃんが必要なんやな。人も野菜も免疫力の低下が一番あかんね。コロナを乗りきるにも菌活だねぇ、
なんて話したりしていました。

菌活の第一歩は除菌殺菌をしないこと

 アフターコロナにむけて心も身体も免疫力アップしていきたいですね。

http://www.famunitylink.com/hatakatsuchat
畑活に興味がある人、畑活したい人、
畑活をしている人のオープンチャットグループです!


vol.196 未来に続く暮しの学びPrt-37

変化。受容。進化。

 ここ数か月、外出禁止令や罰金など法律的にかなり厳しく取り締まられていました。スーパーと薬局と銀行以外は締まり、学校も休校、社交生活の機会も途絶え、普段の生活が停止していた期間です。そんな中この地域では、自給自足の意識が芽生えたように感じます。

 まずは畑!!自家菜園、家庭菜園で必要な情報を交換したり、いままで畑に興味をもっていなかった友達も、パラダイスの畑を手伝いながら、野菜の育て方を学んだり、種を集めたり、コンポストの作り方を学んだりし始めました。

 パラダイスのメンバーも、畑に対して愛が芽生えたようで、みんなが参加するようになり、雑草林だったところがすっかりにきれいになりました。たくさんの手が畑に入るとこんなにも変化するものかと、みんなで感心しながら、お互いの顔を見るとつい笑みがこぼれます。

 ここの畑はかなり規模が広いので、すぐ雑草に覆われる場所が多いのですが、この数か月の手入れで、見違えるように美しく変化してとてもうれしく感じています。雑草やつたに埋もれていた、苗木や、果樹の木を再発見したりと、歳月をさかのぼって、もう一度、7年前に始めた畑と向かい合うという作業をしているように感じます。

 果樹の木の成長具合をみて、歳月がたっていることを再実感して、振り返り、ちょっと感傷的にもなったりして。。。。

 ここのメンバーは、ほぼアートを生業として生活している人たちなので、社交生活ができないなら、創作と畑をやるしかないなという感じで、ありがたいことに平和に暮らせています。ま、田舎なのもありますけどね。そこは自然の恵みにほんとに心から感謝です。そんなわけで畑が中心のコミュニティーに変化しました。

 もともと、そうあるべきなのが、土地の管理、経営、運営に手間取りすぎていたんだなと、この数か月を振り返りつくづく感じています。

 少しずつ普段の生活に戻りつつある状況ですが、一度起こった意識の変化は、これから前向きに変化して、進化していくように感じています。自然とともに、安心して生きられる生き方を見つけていきたいですね。

やお


vol.196 半農半X vol.37

遠慮のこころ        

 「遠慮する」といえば、他者に対して、控え目にすること、出しゃばらない意味ですが、その原意は、「遠い将来まで見通して、深く考えること」だそうです。遠い未来への配慮。「遠慮」とは、何とも尊い言葉なのですね。いまはすこし遠慮のない時代となっています。孫子が暮らすことになる時代に対して、私たち大人世代が少しでも配慮することで地球温暖化など、結果は大きく変わっていくと思います。こころに余裕を少し持ち、遠慮のこころをもってゆっくり生きる。いまの私たちにはそんなことが問われているようです。

新しい和の時代

 いまは「和ブーム」「和の時代」のようです。月の満ち欠けの入ったカレンダーや手帳が人気だったり、旧暦を見直す本もたくさん出版され、旧暦を大事にする人が着実に増えていることを実感します。特に若い人にそうした傾向があるのはこの国の希望の1つといっていいかもしれません。時代はますます月のリズムや先人の知恵をライフスタイルに取り入れる方向にゆっくり流れているようです。人間中心主義を超えて、万象と調和し、平和に暮らし合う「和」の考え方や発想は、おそらく今後の世界にとって、大きな財産になるであろうし、日本が世界に真に貢献できることの核の1つなのかもしれません。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.196 ここいく日記 はじめの13歩!

~自分らしく~自分を大切に~

 ここいくの授業の中で、随所に出てくるワード「自分らしく」。これは「あなたはあなたのままでいいよ」という私たちの想いが入っています。
 みんなと同じように出来る子が“良い子”だと見られ、みんなと違うことをすると、“変わった子”という目で見られ、“問題児”というレッテルが貼られます。又、自分は人と違うと感じると、不安になり自分を出せなくなる子もいます。身体つき、勉強、運動など人と比べ、劣等感を抱く子も多くいます。
 特に性違和を抱える子ども達(大人も)は誰にも打ち明けられなかったり、理解されなかったり、差別を受けたりと苦しんでいることが多いです。
 『3億もの精子から、たった1つ卵子にたどり着いて命になる。もし他の精子が入っていたらみんなとは違う他の誰かになっていたんだよ。』
 いのちの成立ちの授業の中で、精子と卵子の出会いを伝えます。一人一人違って当たり前なんですね。

 自分らしく生きる、こんな当たり前のことが、なかなか難しい現代になってきていると感じます。違いを認め合える人間関係を築いてほしい、そのために変わるのは大人、教育、社会だと思っています。
 もう1つ授業の中で、特に心の話、性交の話の中に出てくる「自分を大切に」という言葉があります。
 「自分を大切にしていれば、相手のことも大切にできる」
 新型コロナウイルスの影響で自粛期間が3ヶ月ありました。その中で中高生の妊娠に関する相談が急増しているそうです。その背景には自粛期間中、彼(彼女)の家で会う回数が増えたことによる原因が多いそうです。親は仕事でいない場合が多いからですね。

 相談の多くは、妊娠したのかも・・・という不安を抱えた女の子からが多いそうです。
 又、妊娠検査薬で陽性と出たことを信じたくない、現実を受け入れることができない子もいて、その裏に、親に言えない、学校に行けなくなるという不安があります。中高生のうちにSEXに及んでしまう子どもの多くは、「親に言えない」子がほとんどだそうです。親子関係が密接に関係しているとも言われています。私たちの授業は、親子で見てもらうことが大事だと思って活動をしています。
 正しい性の知識を親子で知る事で、自分の身を守ることができ、親もまたタブーな性の事が、大切なこととして話せるきっかけになり、子どもも話しやすくなります。

 昨年“人間と性”教育研究協議会 全国夏期セミナーで、ある高校の模擬授業を受けました。そこで『自分を大切にする』とは『自分で決めること』だと聞き、なぜか号泣してしまいました。その頃、色んな不安を抱えていた私は、何かあるごとに悪い方向に考え、気持ちがゆらゆらとしていました。自分で決めることは、覚悟がいります。でも『あ~自分で決めていいんだ』という安堵感が生まれました。私自身、何度も聞いている言葉なのに、よくわかっていなかった。。。自分の中に落ちた瞬間でした。

 性教育は、小さい頃から何度も繰り返し聞くことで、自分のものになってきます。いざという時には自分や大切な人を守る事にも繋がります。
 今年度、学校の再開が2ヶ月遅れて始まります。昨年度40件あったいのちの授業はかなり少なくなると予想されます。でも現実を考えると、一人でも多くの子ども達に伝えたい。。。ここいくの活動の仕方も、大きく転換する時なのかなぁと感じています。
 今年はここいく10周年!コロナのことで先が見えなくなっていた企画もそろそろ動き出します。
 詳しくはまた今度!楽しみにしていてくださいね(^_^) 

担当:ここいくメンバー・今尾幸子でした。


vol.196 トンガからこんにちは! 連載-2

 Malo e lelei !!(こんにちは)いかがお過ごしでしょうか?
 さて、緊急事態宣言中はどのように過ごされましたか??

 トンガの離島は、娯楽施設がないです。あるのは、海。透き通るような海。そして、その海を映し出しているかのような、爽快な空。夜になると満天の星が輝いてます。その海にぷかーんと浮いたり、近所の犬と遊ぶと、トンガ人と擦り合わなかった感情や何もできない自分への虚無感も、スーーーーーっと、流れていく気がしていました。

 いつもいつも、波の音を聞き、海を横目にして過ごした7ヶ月間。肥満対策に行く!と張り切っていた気持ちは、なかなか活発な活動につながらなかったのですが、海のおかげで、快適に過ごしておりました。
 そして、ふと「あぁ、このテンポ。ここ、農業省なのに、暑い日は日陰で涼みながらおしゃべり。何にも進んでないけど、このテンポがいいんだ。何にも進まないくらいが、海を清潔に保てるスピードってことなのかもしれない。」なんて思ったことがあります。コロナウィルスによる避難帰国の通達を受ける1週間ほど前のことでした。
 そしたら、やっぱり朗報、経済活動が止まったことによる環境の変化(一時的だとしても)と言えるようなニュースが続々と集まっているんだとか。ベネチアの水路が綺麗になったとか、ヒマラヤ山脈が見えるようになったとか…
 私たちは今、何をして生きるかと共に、どういうスピードで歩んでいくのか?にも目を向ける時なのかもしれないと思っています。

 と言うと、トンガの暮らしがさもクリーンで、環境問題がないかのように聞こえますが、あります。あるんです。ゴミ!プラスチックゴミ!金属!車!森に捨て放題!
小さな離島には工場がないので、森がゴミ捨て場です。

 ハーパイではペットボトルやお菓子のパッケージ、様々な輸入商品は最終的に森に持っていくことになるのですが、このようなものに対する「ゴミ」の意識が全くありません。お菓子を食べ終わった後は、オフィスであろうと、道端であろうと、ビーチであろうと、スルスルと彼らの手から抜け落ちてしまいます。むしろ、物に対する執着?関心?が極めて低くて、まだ中身があっても、その辺に転がって行きます。それは時に、Bahebahe(バヘバヘ)と言う「分け合う」精神にもつながっていて、良い面もあります。しかし、ゴミ拾いする私に「熱でもあるの?」とバカにされた時には、流石に教育の差を感じました。普段は学校教育の必然性をあまり感じていなかったのですが・・・

 その一方で、日本と違い、「フードロス」(食品廃棄物・可食部)「フードウェイスト」(食品廃棄物・可食+非可食部)は限りなくゼロに近い気がします。それぞれの家庭で豚や鶏、犬などの動物を飼っているからです。私は家で生ゴミが出たら、庭に”ポーイ”と捨てて、お隣の犬や鶏に勝手に食べてもらってました。 コンポストすら必要なしです。会食をした時に魚や肉の骨が出ても、みなさん動物用に持って帰っていたし、食べ物=ゴミにする感覚はない気がします。そうして、元気に育った豚さん、鶏さんを晴れの日に丸焼きにしていただきます。

 食の循環が分断された日本の多くの都市では、こうゆう食糧サイクルは見られません。加工品も多く、全てがパッケージされています。フードロスの削減はプラスチックゴミの削減にもつながる、食の一大問題と言えるでしょう。コロナをきっかけに、増えているテイクアウト用プラスチックパッケージ・・・環境問題に目を背けず、一人ひとりが自分ごとにできる日は訪れるだろうか!?

 ゴミ処理工場があろうがなかろうが、分別してリサイクルできようが、まず自分が手にとり、使うもの、食べるもの、関わるものに責任を持った行動をしたいですね。私は、俄然あの綺麗なトンガの海を守るために!頑張ります♩

全隊員の帰国指示
COVID-19の影響でJICA全隊員一時帰国中。多くの途上国では医療が整う先進国へのアクセスか良いことが活動の安心材料でもあります。いつトンガに帰れるかはわかりませんが、トンガの魅力が伝わるように頑張ります!引き続きよろしくお願いいたします!


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中。


vol.196 プレゼントコーナー

1- あなたの「おこもり術は?」
 StayHome中はなにをしてた?教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係り
までお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.神のお米【神月】 3合
 自然農縁 月とたね様より…2名様

お米つくりは水が大切、と美味しい米作りにこだわり、東白川村に移り住んだ「自然農縁 月とたね」さん。昔ながらの農法を家族で営んでいます。八分つきか玄米、どちらを希望か明記してね。


B.『人生これから!Note』
    人生これから!様より…5名

NPO「人生これから!」が昨年度の活動を通して得た“いきいき暮らすヒント”満載のハンドブック。食(薬膳)・運動(ゆる体操)・脳活(歌)・これからの生き方について、など。A5サイズ36ページです。


C.作家さんの豆皿
アートギャラリー是様より…2名様

こんな可愛い豆皿があると便利なだけでなく、食卓がグンとセンスアップしちゃう!花形か、豆形、ご希望の皿を明記してね。にらめっこ編集室でお受け取りください。
花形・直径約80ミリ4枚セット
豆形・約70×40ミリ5枚セット


D.CINEX映画招待券
  シネックス様より…ペア3組様

おうち時間もいいけれど、やっぱ大スクリーンで観る映画は最高!コロナ対策しっかりして心ゆくまで楽しもう!写真は「三島由紀夫VS東大全共闘50 年目の真実」より。


*** にらめっこ レンタルスペース

障子も張り替え、だんだん心地よい空間になってきました。この空間をみなさんとシェアしたくて「レンタルスペース」としてお使いいただけたらと思います。ヨガや整体とか、きまぐれランチ会とかミーティング、ワンデーカフェなど、人が集う空間としてご活用ください。興味がある方はにらめっこ編集室までご連絡ください。


vol.195 見えないものに対峙するPart-1

 新型肺炎コロナウィルスが世界中で猛威を振るっています。さまざまな情報が新聞、テレビ、SNSなどに氾濫していますが、目が回りそうになってませんか?
 どの情報を選択し、納得するかは自分が選ぶことですが、
ここはひとつ基本に立ち返りたいもの。ではその「基本」とはなんでしょう?「自然は人間を必要としない。人間には自然が必要。」Webサイト“NATURE IS SPEAKING”~自然は語る~をぜひご覧になってください。私はここで発信していることが基本であると考えます。今回のコロナウイルスと直接には関係が見出せないと感じるかもしれませんが、私たちが地球に与え続けているインパクトについて、今こそしっかりと考える時ではないでしょうか。
 今号では、まず、コロナウイルスにどう対峙したらいいか。その「基本」を特集しました。

コロナウィルスの感染拡大が深刻化するニューヨークで、カフェを営んでいる友人から、こんなメッセージが届きました。

ー私はたぶん感染しました。すぐ隣の大きなビルで陽性者が確認されました。私と友人3人はあっという間に熱が出ました。友人たちは3日くらいで回復。私は9日間ほど熱が上がったり下がったりでしたが、ジンジャードリンクと緑茶をガンガン飲みました。食欲はなかったけど、梅干しやキムチ、鶏肉を食べて乗り切りました。
 病院は咳などで苦しくならないと診てもらえないので、行かなかったけれど、あのウイルスのしつこい感じは今まで経験した事のない強い感じでした。人によって症状はだいぶ違うようだけど、私は咳は出なかったので多分軽い症状だったんだと思います。自分の免疫とウイルスが体の中で戦っている感じでした。最後いよいよ自分の免疫がキックインしたって感じが良くわかりました。
 だから普段から免疫力を上げるような生活を心がけなきゃね。中でも食べる事はマジ大事だと実感しました。熱で汗がめちゃ出たけど、体が冷えないように温め続けました。私が取った処置は普通の風邪を引いた時の強化版みたいなベイシックな事だけど、いろんな病気に効くような気もします。ひどくなってしまえばお医者さんに行かねばムリだけど、最小限に症状を抑える事はできるかも。もう大丈夫ですが、お店は閉めているので、この際だからゆっくりしてます。
 今は「おばあちゃんの知恵袋」のように、大勢の人が知恵を出し合って新しいウイルスや病気ときちんと向き合っていく時代なのかもしれません。
 人の身体は食べた物でできるので、強化するには、簡単でもいいから自炊して安心して食べられる物を摂取していくのが良いよね。常在菌は自分に1番あう酵素を作るわけだから。これを機に、自炊する習慣がない人がお料理に関心を少しでも持てるようになって欲しいと思います。     from NY

 ニューヨークの友人のメールにもあるように、人間の体にはすばらしい「免疫システム」が備わっています。その免疫力がコロナに打ち勝ったという内容には、改めて人間の体の神秘さに触れた気がしました。

免疫とは自己防衛システムのこと

 免疫力とは「疫(病気)」を免れる力のこと。外から侵入した細菌やウイルスを撃退したり、体内のがん細胞を退治したりするために、体に備わっている防衛システムです。

免疫力が下がると
■ ウィルス・感染症などにかかりやすくなる
■ 肌が荒れる
■ アレルギー症状(花粉症・アト ピーなど)が生じやすくなる
■ 下痢をしやすくなる
■ 疲れやすくなる

免疫力を高めるには、毎日の生活が大切です。
① 適度な運動をする
② ぐっすり眠る
③ 栄養バランスを大切に
④ 入浴で身体を温める
⑤ 思いっきり笑う

免疫力を高めるには、
1-腸内環境を整える
 人間の身体は、口から肛門まで続くトンネルのような構造になっています。
腸は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているのと同じです。 食事や呼吸をするたびに、腸は食べ物だけでなく、病原体となる細菌やウイルスにも毎日触れています。免疫細胞の約6割は腸にいると言われます。 腸内の免疫細胞を活性化できる食べ物をとっているかどうかが、免疫力を大きく左右します

2-体温を上げること                   <身体を温める食べ物•陽性>野菜類…生姜、唐辛子、ニンニク ニラ、大根、長ネギ、ゴボウ、タ マネギなど
果物・ナッツ類…栗、松の実、桃 ざくろなど
魚介類…サバ、アジ、イワシ、エビ カツオなど
肉類…羊肉、鶏肉、鹿肉など
その他…卵、みりん、ごま油、味噌 など2-体温を上げること<身体を温める食べ物•陽性>野菜類…生姜、唐辛子、ニンニク ニラ、大根、長ネギ、ゴボウ、タ マネギなど
果物・ナッツ類…栗、松の実、桃 ざくろなど
魚介類…サバ、アジ、イワシ、エビ カツオなど
肉類…羊肉、鶏肉、鹿肉など
その他…卵、みりん、ごま油、味噌 など

<身体を冷やす食べ物•陰性>
・穀類…そば、小麦
・果物・ナッツ類…バナナ、柿、梨、  マンゴー、パイナップルなど
・魚介類…カニ、牡蠣、しじみなど
・肉類…馬肉
・その他…こんにゃく、バターなど
・飲み物…牛乳、緑茶、コーヒーなど

体を冷やす食材を摂る場合は、加熱調理をしたり、体を温める性質のある陽性の食材と一緒に摂ったり、香辛料や香味野菜を添える、発酵させるといった工夫で、バランスをとるようにしましょう。

 私たちは何段階にも組織された複雑な免疫システムを持っています。その免疫力を十分発揮できるような生活を!実はそれが意外と簡単で、1か月以内に免疫力はかなり上がります。

方法は大きく分けて3つ

① 腸内を発酵環境にすること
1-腹八分目。おなかが空いてから食べる。
  空腹時が最高に免疫力が高くなる。
2-おなかだけは冷やさない。
3-よく噛むことで唾液と食べ物を混ぜてから飲み込む。
4-本物(無添加)の発酵食品(みそ、醤油、酢、漬け物)を選ぶ。
5- 旬の有機野菜を食べる。
6-寝る前におへそに手を当てて、「おなかの菌ちゃんありがとう」って言いながらおなかをの字を書くようにさする。
1〜6を実践すると1日~数日で腸が発酵環境に!

② 微量栄養素を取ること
1-小魚を頭ごと食べる。お勧めは毎日煮干しを10匹、嫌いな人は、昆布でも可。
2-野菜は生で食べるより、味噌汁や煮物にしてスープごと食べる。きれいな皮や生長点 は微量栄養素が集中しているので捨てない。
3-ご飯は分づき米にする。できれば雑穀や豆 を混ぜる。

③ その他
1-「あいうべ体操」で、口呼吸から鼻呼吸へ。
2-ジュースやお菓子など甘いものを食べすぎると、
  免疫細胞の働きが速攻弱まります。
3-ワクワクする。笑う。

この機会にできるだけたくさん、
本気でやってみませんか。

 今回のウイルスは無症状なのに、陽性で感染力がある人と、陰性で感染力のない人に分かれます。同じ無症状でも、ウイルスは体中に蔓延してしまっている人と、そうなる前に押さえ込んで人に感染させることのない人がいると言うことです。自分は元気だからと言って、身体が弱くて一生懸命生きておられる人に感染させたくありません。最高に免疫力を上げて、誰にも感染させない体になりましょうよ。


vol.195 見えないものに対峙するPart-2

感染を防ぐには

宮沢孝幸氏(京都大学准教授)のメッセージより

まず、自分は今、感染している!(無症状で)「誰にも移しちゃいけない!」そう考えるところから始まる。移らないようにするより、「移さないこと」に意識を集中する。それをみんなでやれば、たとえ今自分が感染していなくても、他から移されないということだ。みんなでやれば、みんなが助かる。

ウィルスが出てくるのは、咳とか唾とか呼気とかから。感染者がマスクをすればほぼ防げる。普通の呼気だけでは移らない。なるべく鼻で息を吸う。口呼吸で思い切りウイルスを肺の奥に吸い込むことはNG。(肺の奥でウイルスが増殖しだしたら終わり)

次にどこかについているウイルスからの感染。実はこっちが重要!大抵は手から移る。外出中は手で目や鼻、口を触らない。
意外と難しいが、気にしていれば大丈夫!

感染症流行期のメンタルヘルス管理

世界保健機構(WHO)が推奨するメンタル面の新型コロナウィルス対策

一般の人
✿「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」という名称を民  族や国籍につけて用いない。COVID-19にかかった人」とし  以下の言い方は避ける。
  COVID-19患者 COVID-19患者の家族 犠牲者 病人
✿ストレスや不安を起こすニュースを極力回避。噂やデマで  はなく事実を入手する。
✿ COVID-19から回復した人の話や支援グループなど、ポジ   ティブで希望に満ちた話や画像に触れる。
✿ 医療従事者や対応に当たる人たちに敬意を払う。
✿ 子どもにはポジティブな感情表現を促す。創造的活動を行  わせ、可能なら日課を続けさせる。

外出制限の人
✿ 電子メール、携帯電話、ソーシャルメディアなどで、他人  とのつながりを維持する。可能であれば、日課を続ける。  新しい日課を作る。
✿ 自身の要求や感情に注意を払う。楽しく、リラックスでき  ることをする。

高齢者、基礎疾患のある人
✿ 毎日簡単な体操をし、日課を続ける。環境が変わった場合は、  新しい日課を作る。
✿ 衣料品を入手する手はずを整え、生活を支えるサービスを  受けられるよう連絡をしておく。
✿ 個人情報、連絡先、医薬品、衣類、飲料水などを入れた非  常用バッグを準備しておく。

 感染症が当たり前の自然界では、「社会的距離」をとる戦略はとりたてて新しい概念ではない。事実、いくつかの社会的な種は、病原体に感染した仲間をコミュニティーから追放する。

 霊長類学者のジェーン・グドール氏は1966年、タンザニアのゴンベ国立公園でチンパンジーを研究していたとき、感染力の強いポリオ(小児まひ)ウイルスによる感染症になったマクレガーという個体を観察した。仲間たちはマクレガーを攻撃し、群れから追放した。あるとき、体の一部がまひしたマクレガーが、樹上でグルーミングしている仲間たちに社会的接触を求め、あいさつしようと手を伸ばした。しかし、仲間たちは立ち去り振り返ることすらなかった。人間と同様、チンパンジーは視覚に頼る生き物だ。ポリオに感染した個体が汚名を着せられるのは、外見が損なわれることへの恐怖や嫌悪という感情はそれ自体、奇形を催す病気を回避する戦略の一部だ。

 ハツカネズミのメスは、パートナーの候補が病気に感染していないかどうかをにおいで判断できる。

 グッピーのメスは圧倒的に、寄生虫のいないパートナーを好む。ひれをたたむ、体の色が薄いといった視覚的なヒントと、感染した皮膚から放出される化学物質を手掛かりに、メスは病気のオスを遠ざける。

 このように、様々な動物に社会的距離戦略があるわけだが、重要なことが1つある。動物は私たちと異なり、「自宅にとどまれば、感染率が下がる」ことに気付いていないと、キーセッカー氏は説明する。「私たち人にはその能力があります。そこが大きな違いです」 ナショナルジオグラフィックより

「すぐに効く薬もワクチンも治療法もない。効果があるのは行動のみだ。各人の行動により、今後30日間でこのパンデミックの状況を変えることができる」と強調した。(バークス氏:米ホワイトハウス 新型コロナウイルス対策調整官)

イラスト:現役医師(長野県)

緊急事態宣言は当面5月6日までとされました。7都道府県に続いて、地方自治体から自主宣言も出されたことを受け、私たちは現実としてしっかり向き合い、感染を広げない努力に集中したいものです。そのためにはできるだけ外出は控えること。これは簡単ではありません。今までの生活を見直さざるを得なくなり、仕事ができなくなり、その保障も不透明で…不安でいっぱいになり…それでも外出は控えなければ。そんな状況を私は“さなぎ”をイメージしてみました。さなぎの中で、あの芋虫は一旦ドロドロに溶けてから蝶になるんですって。身体を溶かすのは、身体に入ってきた病原体を分解して無害にする食細胞の働きだそう。ただし、記憶などの神経回路は溶けないというから驚きです。

私たちは、さなぎにはなれません。しかし人は自然界の一部の存在だという意識を深く持ち、今後の生き方を見直すことが迫られている気がします。緊急事態宣言で外出の自粛を要請されている今、この与えられた時間をどう過ごすか。想像力を発揮し、いろいろなことに気づき、取捨選択をする時期なのかもしれません。そして、さなぎが蝶に変態を遂げるように、その時、私も基本を身につけ進化した自分になっていたいと思います。


vol.195 アウトドア特集


人が多い場所には出歩けない昨今。感染リスクの少ない外遊びは大いにやるべき!そこで、普段使いのアイテムで、気軽に「デイキャンプ」をしてみませんか?デイキャンプといえば、「外メシ」

サバ缶をアヒージョにアレンジ!肉や魚介は夏場に傷まないよう持ち運ぶのが大変ですが、缶詰なら安心ですね。簡単なのにおしゃれに仕上がる、キャンプでもおすすめのおつまみです。

材料(2人分)
サバ水煮缶 1缶(140g)汁けをきる
長ねぎ 1/2本 一口大
にんにく 1カケ 薄くスライス
ミニトマト 5〜6個 ヘタを取る
オリーブ油 適量
黒こしょう 適量
ディル(あれば) 2枝程度

作り方
1.フライパンの表面を薄く覆う程 度のオリーブ油、にんにくスライス、長ねぎ、サバを入れて、中火で加熱。長ねぎがしんなりしたら火を止め、黒こしょうをふり、ディルをあしらい完成。

ポイント
直径が小さめのフライパン(鍋)を使うとオリーブ油の使用量を抑える事ができます。洗った野菜の水分はしっかりきることで、加熱時の油ハネを防止します。ディルは魚料理の臭みを消すハーブですが、ない場合はバジルやローズマリーなどお好みのハーブか、青ねぎでも問題ありません。

材料
きゅうり 8本(縞々にピーラ
 で剥き、4cm位にカット)
A 昆布茶か昆布だしの素 大さじ2
A 砂糖 大さじ1.5
A すし酢 250cc
鷹の爪(あれば) お好みで

作り方
1.ポリ袋や保存容器でAを混ぜ合わせ、きゅうり、鷹の爪を入れます。
 (水分が出て来て全体が漬かります) 2.一晩漬けたら出来上がり


バゲットをくり抜いて材料を詰め手頃な大きさに切っておけば準備はOK。温めるだけで、簡単に出来上がるというのが嬉しい。

材料
バゲット(20~30㎝のもの) 1本
玉ねぎ 1/2個 薄切り
ベーコン 約60g 薄切り
ピザ用チーズ 80g
マヨネーズ 大さじ2
パセリ・黒こしょう 適量

作り方
1.フライパン用ホイルシートを敷き、玉ねぎとベーコンを中火で炒め、玉ねぎがきつね色になったら取り出し粗熱を取る。
2.バゲットの両端を切り落とし、半分に切り中をくり抜く。(中身のパンはパン粉などにして利用してね)
3.ボウルに①とパセリのみじん切り、ピザ用チーズ、マヨネーズ、黒 こしょうを加えて混ぜます。2のくりぬいたところにスプーンなどで詰める。
4.食べやすい大きさにカットし、②の両端も戻し、その形のままフライパン用ホイルシートにのせ、形が崩れないようにしっかりと包む。 トースターやグリルなどで10分焼く。

ポイント
バゲットは焼く前の方がカットしやすいです。隙間があるとカットしたときに具が落ちやすいので、具は隙間がないようにギュッとしっかり詰め込んでください。

材料
1.ミニトマト 12個
2.オニオンドレッシング 大さじ4
3.フライドオニオン 大さじ2
4.スィートコーン(ホール) 大さじ5
5.紫玉ねぎ 1/8個
6.レタス 2〜3枚

作り方
1.ミニトマトはヘタを取り、縦半分に切り、ジャーに入れる。
 オニオンドレッシングと、フライドオニオンを加える。
2.スイートコーン(ホール)の水気を切ったものを加え、スライスした紫玉ねぎを重ねる。
3.最後にレタスをちぎって蓋をする。

ポイント
層になるように、きれいに重ねてください。ドレッシングや、水気の多いものは一番下に入れるのがポイントです。そのまま混ぜて食べてもいいですし、お皿に移しかえてもGood。


vol.195 ぎむきょールーム いまどき思春期模様

対談 岩宮 恵子(臨床心理士)×岡崎 勝(小学校教員)

思春期の入り口に立った時に

岡崎:ボクは親から子どもの相談をずっと受けてますが、家族のあり方はずいぶん変わってきています。だけど、子どもはあいかわらず思春期に入っていくというのがあって、ボクの経験のなかで小学生を見ていると、やっぱり5、6年生くらいからいろいろと態度などが変わってくると思うんです。
岩宮:思春期は身体的な成長と切り離しては考えられないと思います。第二次性徴(※1)というどうしようもない身体の変化がまずあって、気持ちの面でも情動などのコントロールが難しい(※2)時期だといわれています。

 そういうシンプルな切り口とはまたべつに、「良い・悪い」という善悪のどちらかしかないような世界観から、外にあると思っていた「悪」が自分のなかにもあると気がついたり、その逆に自分だけが「悪い」と思わなくていいのかもしれないと感じたりするような、「悪」について相対化できるような視点が生まれてくる時期が思春期ではないかと私は思っています。
 そして、なぜ自分は生まれてきたのかとか、なぜこの親で、この家に生まれ、この顔で、この能力なのか…と、いろいろ複雑な感情と向かいあわなくてはいけなくなります。このような問いが出てくると、たとえそれが第二次性徴の出現のずっと前の年齢であったとしても、思春期の意識の入り口に立っているなと私は感じます。

子どもを抱きしめることができない

岡崎:子どもを抱けないというお母さんは、最近はけっこういるんですよね。そういうお母さんがいたとき、ボクは「子どもをかわいがってあげてください」としかいいようがなくて、それがいちばん簡単でやりやすいのが抱っこだから難しいんですよね。

岩宮:下の子はいくらでも抱っこできるけど、上の子はできないというお母さんはけっこういらして、それは訓練が必要なのだなと思います。子どもが3人いるお母さんで、3番めの子には愛情大爆発で、かわいいとはこういうことなのだとはじめてわかったという方がいましたが、最初の子は一生懸命育てたけど、かわいいと思う余裕がなかったというんですね。その長子にちょっとトラブルが起きたとき、学校の先生に「この子をぎゅっと抱きしめてあげてください」といわれたそうなのですが、それはとてもハードルが高いことだと嘆かれました。「じゃあ、どれくらいのことだったら自然にできますか」と聞いたら、そのお母さんは「指きりだったらできる」といわれました。だったら、「子どもが朝出かけるときに、指きりをしてみてください」と話したことがあります。
 でも、なかにはハードルという意識もなく、軽い調子で「ベタベタしてくるのがいやで」「めんどくさいです」とある種、無邪気な感じで言葉にされる方もいて、これは子どもの意識のまま、親になってしまわれたんだなと思います。

親は自分が未熟だと自覚して

岩宮:いまも、子どもの思春期に本気でぶつかっておられる親御さんたちももちろんたくさんおられます。でも、子どもと向きあえていない親御さんは、自分ができていないことを指摘されるのではないかとこわくて、相談などにも来にくかったりするのだろうなとは思います。
岡崎:ボクはいつも親に対して、「いくつになっても未熟だという自覚を持ちましょう。だから学べるものは学びましょう。だって自分は未熟なんだから、と思いながらやりましょう。六十代後半のボクらもそうです」ということを話しますが、いえるのはそれくらいです。
岩宮:ほんとうにそうだと思います。
岡崎:そこには年齢も上下関係もない。みんな同じ。そうであることを自覚できなくなると、ちょっとこわいなとは思います。ただ、大人と子どもの線くらいはどこかで引きたいとボクは思いますが。

大人と子どもの線を引くために

岡崎:ボクは学校のよさがもしあるとしたら、たぶん大人と子どもの線引きをずっとやってきたことだと思うのです。親は教員のことを内心ろくでもないと思っていても、子どもに対しては、いちおう「先生だよ」といっていましたし、教員の方もあの親かと思っても「親にそんな口の利き方をしちゃダメだよ」と子どもにいっていました。ところがいま、親は学校の先生の揚げ足取りをしますし、教員の方も「お前のところの母親は」と口に出さなくても顔に出す。子どもはそういうことには敏感なので、大人に対してある程度敬意をもつとか、いちおう頼りにできると思うとか、包容力を感じるとかいうことができなくなっているように思います。
 学校にかぎらず、学校の外でも、フリースクールでもそうですが、「大人は頼りになる」という安心感があると、子どもたちに元気が出てくると思うんです。そういう意味では、地域の大人が子どもたちに声かけすることなども同じですよね。子どもと大人がボーダーレスの時代であっても、やっぱり大人が大人として、子どもが子どもとして生きられる。そういう場が必要なのだろうなとボクは思います。

※ 1 脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌され、男性の精巣や女性の卵巣が発育し、精巣からは男性ホルモンが、卵巣からは女性ホルモンが分泌される。
※ 2 脳科学の分野では、男女とも情動や衝動をつかさどる分野は第二次性徴が始まるころ急激に発達し、それを抑制する前頭葉の発達はそのあとから始まるため、この時期、情動や衝動が抑えにくくなるといわれている。

いわみや・けいこ
臨床心理士、島根大学人間科学部教授、島根大学こころとそだちの相談センター・センター長。大学で教鞭をとる傍ら、スクールカウンセラーや相談センターの相談員として思春期の子どもたちやその親との対話を重ねている。小説、漫画、アニメ、アイドルなどにも造詣が深く、著書に「フツーの子の思春期—心理療法の現場から」(岩波書店)、「好きなのにはワケがある—宮崎アニメと思春期のこころ」(ちくまプリマー新書)、「思春期をめぐる冒険—心理療法と村上春樹の世界 増補版」(復元社こころ文庫)ほか

おかざき・まさる
名古屋市公立小学校教員。「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人。「アーレの樹」理事として、フリースクールの子どもたちにかかわる。男性専門の相談にも応じている。著書に「きみ、人を育む教師ならば—「小学校の先生」といわれる私たちの仕事とその意味」(ジャパンマシニスト社)「センセイは見た!「教育改革」の正体」(青土社)、『子どもってワケわからん!』(批評社)ほか。

ジャパンマシニスト社 おそい・はやい・ひくい・たかい 108号より


vol.195 しょうがいをみつめる-6

初めまして。特別支援学校に勤め、障がいのあるたくさんの子ども達と接している中で感じたことや考えたこと、そして彼らから学ばせてもらったことなどをを綴っていきたいと思います。よろしくお願いします。

シンプルで、大切なこと

 私の働く特別支援学校には、居住地校交流といって支援学校に在籍するお子さんが、自分の住んでいる地域の小学校で同学年の子ども達と一緒に勉強するという取り組みがあります。
 ある日、私は重度の自閉症で、分からないことや嫌なことがあるとパニックを起こし、自分を叩いてしまうこと(自傷)もあるAさんの居住地校交流の引率をしました。授業の前に自己紹介をする時間がありました。自分で話ができないAさんの代わりに私は何を話したらいいだろうか、どうしたらAさんのことを子ども達に伝えられるだろうかと迷い、ならばと交流学級の子ども達から質問を受けることにしました。
すると、
 子ども 「Aさんの好きな食べ物は何ですか。」
 わたし 「パンとお肉が好きだよ。野菜は苦手だけど、給食は頑張って食べているよ。」
 子ども 「わあ、俺と一緒や!」
 子ども 「じゃあ、好きな勉強は何ですか。」
 わたし 「音楽が好きだよ。だから今日みんなと一緒に音楽ができるのをAさんも楽しみにしてるんじゃないかな。」
 子ども 「私も音楽好きが好きです。」 「私も〜」

 Aさんとの共通点を発見した子ども達は、担任の先生が制止するまでAさんのことを興味津々に尋ねました。そしてそのことをきっかけに、それまで何となく張り詰めていた空気が一瞬にしてほぐれたような感じがしました。
 いよいよ音楽の授業が始まりました。「Aさん、一緒にやろう。」と方々から声がかかり、「こっちだよ。」とあちこちから手を引かれるAさん。私は、その賑やかで少々強引な子ども達の様子にAさんが嫌がってしまわないかとヒヤヒヤしながら見ていましたが、Aさんはまんざらでもない様子。横目で友達の言動を伺いながら、終始穏やかな表情で音楽を聴いたり、一緒にゲームに参加したりすることができました。
 そして授業が終わると、子ども達はAさんを囲んで「一緒にできて楽しかった。」「Aさんまた来る?」などと次々と話しかけてくれました。

 私たち大人はどうしても自閉症児と健常児という分け方で子ども達を見てしまいがちです。どうしたらお互いに上手く関われるかなとあれこれ考えすぎてしまう傾向があるようにも思います。けれども子ども達にとって障がいの有無などは関係なく、ただ同い年の子の一人として接してくれました。好きなものが同じだという共通点を見つけ、楽しい時間をともに過ごしてくれました。さまざまな違いはあろうとも、『相手を知り、同じ時を過ごすことで仲良くなれる』、こんなシンプルで大切なことをAさんと交流学級の子ども達から教えてもらった出来事でした。S.I
 


vol.195  niramekko Gallery「夜の海」

大将と書いてひろまさ。名は体を表す。まさに、ひろまささんは大将のムード満点です。でも心はとっても繊細で敏感。集中している時ははなうたを歌っているよう。集中できないと席をはずれほかの場所で、はなうた…そんなふうにいつも絵を描いています。

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私たちの暮らしは意味や役割があるものに囲まれています。そうすると、意 味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動した りすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュ したり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.195 人生これから!

だから、前からやってみたかったことに
今からチャレンジしてみませんか?

映画「最高の人生の見つけ方」は、人生に空しさを感じていた二人がこれまでの人生で決してやらなかったことを体験していく中で、今まで気づくことのなかった生きる楽しさと幸せをかみしめていく…そんなストーリでした。人生は誰のもの?自分らしく生きるには?常に問いかけられている気がしています。今号から「人生これから!」を合言葉に「やってみた」シリーズを展開します。

青春18きっぷで全国津々浦々旅をしてみた!

NPO法人「だいじょうぶ」代表理事 田辺桜子さん(70代)

ネットで旅先の情報や電車の時刻表を調べる田辺さん

 以前から旅行が大好きで、マイカーで出かけていた田辺さん。が、年を重ねるうちに運転しての遠出に不安を感じた。そんなとき、青春18きっぷの存在を知り、「鈍行にゆられて行く旅、いいじゃん!」
 利用してみたら、沈み行く夕日、ゆっくり現れる山…のんびり味わう車窓の景色。駅で急行をやり過ごす時のまったり感。のんびり味わう旅は自分にあっていると実感した。以来きっぷの利用期間には毎回必ず夫婦で旅に出る。時には職場の仲間も一緒に。行きたい場所は常にあるけれど、新聞や雑誌、テレビで見た情報に「ここいいじゃん、行ってみたい!」と思えば即検索。電車で行けるとわかればしめたもの。パソコン、タブレット、スマホを駆使し、スケジュールと宿を決める。

大好きな豊島美術館


 昨夏は四国一周へ。岐阜→米原→高松→阿波池田→大歩危・小歩危→高知→宇和島→伊予→松山→今治→徳島。鈍行列車に揺られての旅は、何度も訪れた地を違う味わいにしてくれた。「旅にはそれぞれ思い出があるでしょ。だから人と話すのにも話題が事欠かないの。それもいいよね」
 15年間続けて全国都道府県は網羅した。それでもまだまだ行ってみたい場所はある。鈍行列車の旅は田辺さんの人生にもはや必要不可欠となっている。

『青春18きっぷ』JR線の普通列車、快速列車が1日乗り放題を5回利用できる、販売と使用期間(毎年春・夏・冬)が限定の特別企画乗車券。

 書道にチャレンジしてみた!
 子どものころ、習字の時間が嫌だった。中学生の時の何度やっても昇級できない自分に先生がお情けで一級あげてくれた記憶がいつまでも忘れられない。硬筆も下手で、字に対する劣等感を持っていたので、習うことに。先生は「好きに書けばいいんだよ」と言ってくれる。「はね・とめ・はらい」ができなくたってそれがどーした!って。好きに書けばいいと言われトラウマからポロリと抜け出せた感じ。今は書道の時間が楽しい。70代•男性

体験記、募集!!あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には、 人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!

えんぴつカフェ 3月7日に開催しました。 
<情報をどう整理整頓するか>

人生これから!「これからをどう生きるか」を念頭に、モノ・コト・ヒトの整理整頓を考えました。

今回は、コト・「情報」について

 今まさに「コロナウィルス問題」で、いろいろな情報があふれています。参加者の情報源はSNSが一番多く、次いで新聞、テレビと続きました。大事なことはそれぞれ鵜呑みにしないこと、という意見でまとまりました。そして「情報の裏づけ」をとりたいがどうすればいいのか、という問題に突き当たり参加者全員が首をひねる場面も。

情報の選択について

 大きな渦の中から一つの情報をピックアップするのは至難の技。どの情報選ぶかは自分の勘とか志向に頼りがちですが、大切なのは、今回のえんぴつカフェように、対面して人から情報を得るのがいいのではないかという意見に参加者全員がうなずきました。
 また、どの情報が正しくて、正しくないか、ということが重要ではなく、情報のバックグランドを複数の人と話してみることで、問題点が明らかになってくる。その問題点にきちんと向き合うことができるかどうかが大切なポイントではないか、と話し合いました。

自分らしく生きる!

人生これから!は定期的にえんぴつカフェを開催しています。ライフデザインノート『ゼロの昇天』をどんどん書き込んでいきます

2020年 5月21日(木)13:30~15:30

参加費500円(お茶とお菓子つき)  

場所:ミニコミ紙「にらめっこ」編集室
 各務原市蘇原新栄町3−15

エンディングというと、「わたしにはまだ早いわ」、「ぼちぼち考えるわ」、「親に書いてもらうわ」とさまざまな反応が返ってきます。人生のエンディングは誰もが迎えるということはわかっていても、準備をするときを決めかねてしまう・・・
エンディングという言葉に抵抗を感じる人も多いですね。だから、ライフデザインノート「ゼロの昇天」にしました。いま、これから、どう生きるかが大事。だって、人生これから!ですから。(^o^)

えんぴつ・カフェとは

毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお菓子をつまみながら、持ち寄った課題 をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、どう生きるかを念頭に置いて書き込ん でいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージが湧いてきます。そんなカフェです。

コロナウィルスの収束を祈りつつ、感染拡大防止に最大限の努力を惜しまず取り組みます。5月中旬に開催の可否を判断させていただきます。

主催:NPO「人生これから!」 問い合わせ 090-5638-7044(田辺)090-7854-4561(三上)



vol.195 熱中人 「アースディいわき」仕掛人 インディアン吉田さん

電気を消して、星を眺めてみよう
  人生を変えた出来事に感謝できる余裕を

「アースディいわき」 仕掛け人 インディアン 吉田さん

幻の聖火ランナー

 「正直ホッとしているんです。そもそも復興を冠にしたオリンピックには違和感を覚えていましたから。」そう語る吉田さんは、福島県いわき市出身。原発から40キロほど離れたところに住まいがあった。原子力発電所には小学校の時に社会見学に行くなど、日常の中に原発があったので特別に意識はしてこなかった。だが大人になって、なんかおかしい、事実が報じられてない、それどころか隠蔽してるんじゃないか?と不信感を覚えはじめたという。そんな時に、震災があり、原発事故が起こった。事故後さらに事実が報じられてない現実に、見えない放射性物質とどう向き合えばいいのか、当時1歳4ヶ月の子どももいてすごく悩んだ。
 「ライフラインが止まり、物資も入ってこないし身動きも取れない。4月11日にまた地震がありさらに混乱しました。こんな状況で子育ては厳しいなと感じ、愛知県の小牧市に自主避難を決意したんです。」

フクシマのありのままを伝えられるチャンス

 「2020東京五輪。日本での聖火のスタートが福島県のいわき市に決まった。そうであるならば、福島がふるさとである自分としては『実はわたしは自主避難をしています。こうして聖火を持って走りに来ました』そんな気持ちとともに、生まれ故郷で何かのメッセージを伝えたいという気持ちが強くて聖火ランナーに応募したんです。」という吉田さんは、問題含みの東京オリンピック開催については、賛成でも反対でもなく、悪いイメージも抱いていない。純粋にスポーツを楽しむ世界的なイベントであれば、反対する理由もないと。「日本の文化としていいもの、特に『もったいない精神』を世界に紹介できたり広めたりできるいいチャンス、とも思っていました。そして、ありのままのいわき市を走って、復興には今道半ばという現状を世界に伝えたかったんです」。と聖火ランナーに応募した当時の気持ちを語る。

自主避難した地で「アースデイいわき」開催

 小牧に来ても故郷を離れたことに負い目を感じる日々。もともと福島県の山奥を買い取って、子ども達に自然体験をとおしてたくましく育って欲しいと、インディアン村を運営していた。その旗振り役の自分がこちらに避難した・・・。人に会うのも辛い日々が続いていた。その時、福島県の友人から、「今までどおり君らしく活動して愛知の人にちゃんと恩返しをしなさい」とお尻を叩かれ、ようやく外に出ることができた。それで福島の山の中でやっていた「アースディいわき」という活動をもう一度やってみようと、いろんな人に声をかけたら県外から自主避難をされている方が1200人以上もいることを知った。そう人たちの応援隊、そういう事実を知ってもらう啓発イベントとして「アースデイいわき」をイベントの聖地・名古屋の久屋大通で復活させたのが2013年。
 「翌年はモリコロパークで『アースデイいわき』をやったんですが、その頃かな、オリンピックが東京に決まったのは。『アンダーコントロール』と世界に発信した安倍首相。その前の野田氏も『収束した』と・・・。現場を見てないのか?と、ますます不信感が湧き出てきました。フレコンパック(汚染土を詰めた黒いビニール袋)の行先も決まらず、山積みのまま。タンクの汚染水の処理も決まらずに、ですよ。この事故をきっかけに原発はやめよう、という論調に変わると思っていたのに、なかったことにしようとしています。」
 原発事故の後から生活スタイルを変えた吉田さん。エネルギー消費を少しでも削減しようとした結果、夜型から朝型にシフトした。
 「夜は電気を消して星空を眺めます」。かすかな輝きも心にしみるという。

 今回のコロナウィルス問題は、9年前の原発事故による放射能問題「見えないものに、怯える」いう状況にとても似ているという。もし復興五輪として予定通りオリンピックが開催されていたら、東北の支援はもうそこでストップしてしまうんじゃないかという一抹の恐れみたいなものもあった。その可能性もある。
 「だから、聖火ランナーとして『復興はまだ道半ば』を伝えたかったんです。」

インディアン村のシンボルインディアンテント「ティピ」

インディアン吉田(吉田拓也)プロフィール
2007年、福島県いわき市の山奥で「インディアン村づくり」をスタート。その村で「アースデイいわき」を開催。震災の影響で村づくりは道半ばとなってしまう。未だ復興への道のりは遠いが、東北にエールを送るとともに、第二の故郷「こまき」のみんなと誰もが楽しくワクワクするような「インディアン村」を期間限定で小牧山に再現復活させるなどの活動をしている。特定非営利活動法人インディアン・ヴィレッジ・キャンプ理事長。(小牧市在住)



vol.195 ボーダーレス社会をめざして vol.54

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

新型コロナウィルスの影響

 全世界に新型コロナウィルスが感染拡大し、普段当たり前だった事ができなくなってきています。いかに今まで平和で安心・安全な社会で生活してきたか思い知らされています。障がいのある人たちも行動範囲が狭まり、どのように彼らのストレスを解消していけばよいのか?未知の世界でどうしていったら良いのか?
 3月の下旬に、千葉県の障害者施設で、職員と利用者58人が新型コロナウィルスに集団感染しました。感染症対策専門家会議が2月の下旬に「瀬戸際」という言葉を使い、警告を発してから1カ月が経ちました。障がいがある人を生活支援している事業所はどう対処したらよいのか?迷います。支援をやめれば、収入がなく事業所自体が潰れてしまうかもしれないのです。私の事業所は、公共交通機関を利用しての支援はしない、人が集まるという行事はやめるということにし、細々と支援を続けています。一番大切なことは、命を守ることです。支援がなければ困る人がいます。感染者が出た千葉県の障害者施設の職員さんは、最前線で働いて下さっていた人達です。決して消毒などおろそかにはしてなかったと思います。それでも感染してしまう。
 最近では、どのような状況が危険なのか、どのような予防をすればよいのか分かってきたため、それにのっとり少しずつ支援の再開を進めていますが、事業所の減収は避けられません。3月は、先月の2分の1くらいの収入しかありません。どうやってこの危機を脱出するのか?分かりません。
 自閉症の息子は、やはり理解ができないようで、「コロナウィルスのため」と言い、アパートで生活するということを断念しています。公共交通機関をどうしても使わなくてはいけないからです。「車で送迎するから、アパートへ行く?」「分かりません。やめます。」ということで現在はやめています。しかし、いい事もあります。ある日、夕方に雨が降りそうな時がありました。雨が降れば会社まで車で送迎する事になっていますので、「天気予報で帰る頃には雨が降るって言ってたよ。車で行く?」「僕は合羽を持っています。自転車で行きます。」と車での送りを拒否されました。なんと自立した大人!と感心させられました。いい風に育ったなと嬉しいやらちょっと寂しいやら。手洗いは昔から時間をかけて丁寧にしている息子。今まではなんでそんなに時間かかるの?とイライラして待っていましたが、それが本当の手洗いなのだと最近知りました。息子に教えられています。
 「新型コロナウイルスとの闘いは短距離走ではありません。1年は続く可能性のある長いマラソンです。国民の賢い判断と行動が求められています。」と山中伸弥さんの言葉です。賢い国民の一人でありたいです。


vol.195 夢か悪夢かリニアが通る!vol.24

 新型コロナウイルス感染拡大で、東海道新幹線の3月1日から25日までの乗客が前年同期比で55%減ったとJR東海が発表しました。4、5月の「のぞみ」減便も決まっています。7年後、リニア中央新幹線品川―名古屋間が完成したらどうなるでしょう。新型ウイルスや南海トラフ地震などで人の往来が激減したとき、新幹線とリニアを運行するJR東海へのダブルパンチとなり、想定されるのは日本航空が経験した公的資金投入による再建です。一方で新型コロナは、職場以外で仕事をする「テレワーク」や「ネット会議」の普及を加速させました。世界は大きく変わろうとしています。「ポストコロナ」(コロナ後)の時代に、品川と名古屋を40分で移動するリニアが必要とされるとは思えないのですが。
                             井澤宏明・ジャーナリスト

国交省 「中立」のムリ

静岡県のリニア環境保全連絡会議にオブザーバー参加する国交省の森室長(左、右は難波喬司副知事、(2月10日撮影)

委員に「リニアムラ」住人

 リニアの南アルプストンネル建設工事により大井川の水が毎秒2トン減るとされる問題などを巡り、JR東海と静岡県との議論はこう着状態に陥っています。「仲介役」を買って出た国土交通省が提案したのが、JR東海に助言・指導を行うための有識者会議の設置。ところが、委員の「人選」で早くもつまずきました。
 国交省が3月6日に示した候補のうち県が問題視したのは、森地茂・政策研究大学院大学政策研究センター所長(交通工学)。JRの前身である旧国鉄出身で、JR東海の中央新幹線懇話会メンバーや、リニア静岡工区などの工事を受注している大成建設の社外監査役も務めている「利害関係者」です。
 そのうえ、リニア計画を推進した「中央新幹線沿線学者会議」で活動し、リニア技術にお墨付きを与えた同省「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」委員長も務めました。
 記憶に新しいのは、リニア全線開業(大阪延伸)を早めようと、JR東海に3兆円の財政投融資を行うための法改正が議論されていた2016年10月の国会です。森地氏は衆議院国土交通委員会に参考人として出席し、現在も各地であつれきを起こしているリニア建設で発生する残土問題について、「既に土捨て場を契約していると聞いている」と発言したのです。
 同省は2014年にリニア計画を認可し、財投を可能にする法改正を行った、いわば「当事者」。仲介役としてふさわしいのかどうかが注目されています。どうして「リニアムラ」の住人ともいえる森地氏を委員候補にしたのか、同省鉄道局施設課の森宣夫・環境対策室長に3月9日、電話で尋ねてみました。
 筆者「森地氏はリニアを推進してきた方ですよね」、森室長「森地先生も、何が何でもやってやろうではなく、(同省の)技術評価委員会でも『ちゃんと全部の技術の課題がクリアにならないと、私は認めない』とおっしゃっている。JR東海寄りだったら困るが、そういうわけではない」、筆者「国交省は、中立性を保つつもりはないんですか」、森室長「あります。静岡県がどう判断されるか。多分、何らかはおっしゃってくるんじゃないかなと」

静岡県が「異例」の公募

 森室長の予想通り、静岡県の川勝平太知事は13日の定例会見で「有識者会議は中立性が十分に考慮されると思っていたが、強い疑念が抱かれる人が入っている」と同省への不信感を露わにしました。県は、地下水などの水循環に詳しい有識者を3月末まで公募し、委員候補として同省に推薦する異例の対応。これに対し同省の水嶋智鉄道局長は17日、「このような展開になり大変驚いている」と不快感を示しました。
 結局、同省は森地氏を委員候補から取り下げましたが、「委員ではなく別の立場」で有識者会議に参加させようとしています。これを県は拒否、4月中旬にも会議をスタートしようと前のめりな同省に対し、感染拡大への配慮を求めています。
 元共同通信記者で芥川賞作家の辺見庸さんが感染拡大を受け、次のように書いていました。「このたびの災厄は(中略)テクノロジー万能を信仰してきた世界とそれを支えてきた人類への『壮大な反撃』―という面もあるのではなかろうか」(4月4日付岐阜新聞『マスクとミサイル』)
 「リニア信仰」も見直すときが来たのではないでしょうか。

東海道新幹線車内から見る大井川。かつては「越すに越されぬ」と詠まれた東海道の難所だった(2月27日撮影)

vol.195 半農半X vol.36

言葉貯金

 30年前の大学4年生のころから、本で読んだ良い言葉、影響を受けた言葉をメモしてきました。「言葉貯金」と名づけています。あらためて、その言葉の数々である「言葉貯金」がいまの自分を支え、エッセイや企画書などを書くときも、とても役立っていることを実感。隣町にできた福知山公立大学の授業でも冒頭、テーマに沿った言葉を10ほど紹介しながら、学生に感想や意見を述べてもらったり、書いてもらったりする試みをしていますし、学生にことば貯金をすすめています。インターネット時代はますます言葉の力が重要になると思います。
 最近では書き留めてきた言葉を独占せず、みんなにも活かしていただきたく、公開。すると、またしあわせがやってくることを実感しています。放てば満てり、ですね。

半介護半Xと 半X半IT

 昨年3月、「おいおい老い展」という5日間連続のイベントを東京でおこなうので、トークショーに出演してほしいと連絡がありました。テーマはなんと「半介護半X」です。天職である介護の仕事もバリバリやります。そして、大好きなことや特技、ライフワーク(X)もがんばりたいという人が全国にいるとのことでした。東京の新聞記者さんから「可能性を感じるので記事にしたい」と電話取材がありました。一人多役の時代なのですね。
 半農半Xからヒントを得た東京のIT起業家が「半X半IT」な人材を募集したら、今まで求人に苦労していたけど、いい人が集まるようになって、本社を故郷の徳島県美波町に移したそうです。半X半ITは映画化され、「波乗りオフィスへようこそ」という題で昨春から全国で上映が始まりました。いつか岐阜でも上映されたらいいですね。半農半Xの誕生から四半世紀。令和の時代にも半農半Xの考え方が役立つとうれしいです。


vol.195 未来に続く暮しの学びPrt-36

今できること。

 オーストラリア、バイロンベイ周辺では、今週以降から徐々にコロナパニックの波が押し寄せてきました。
 ネットや、ニュースでは、恐怖を煽るような情報が流れているので、ここでは、前向きな情報を共有したいと思います。

 まず、野菜の苗が売り切れる!この地域で、自分で食を賄うべく野菜を育てようという意識が流れ始めました。FB の地域グループでも、「野菜の育て方をシェアするよ」というような情報を交換する動きや、ガーデナーの友達が、初めて野菜を育てる人たちにアドバイスをアップしたりしています。
 ソーシャルディスタンスを強いられる状況なので、オンラインでの会話ですが…それでも、それぞれが自分の土地、アクセスできるスペースで野菜を育て始めたことはとてもいいことだ、これはとてもいい兆し。

 私たちの住む土地でも、今まで畑に興味示さなかった住人が畑作業に参加し始めました。今回の状況が、共に住む人の意識を畑、野菜作りに向かわせてくれたことは明らかです。今後どれだけ畑で仲間とともに過ごすことが重要か、を問われているような気がします。そんな今、自分の住む環境で、今後に向けてできることを考えてみました。それは、いまある環境の範囲内でもできる、自給自足、持続可能な暮らし方の知恵を学ぶということだと思います。

 コロナウィルスの情報は、何が真実で、何が不正確か、巷に溢れる情報を見極めるのはとても難しい状況ですが、私は、自分を信じることにしています。腹の虫が空腹を教えてくれるように、私たちたちは起こった現実を直観的に判断できる力を持っていると思うから。自分が今まで学んできたことを振り返り、なにが役立つかをしっかり考えたいと思っています。生きるために、自分に何ができるか。仲間、家族、自分の愛する人たちのために、自分がなすべきことは何なのか…
 今回のコロナウィルスの出現は一つにチャンスかもしれません。これをチャンスととらえ今後も自身に問い続け、気づいた時に行動していく。未来を作るのは自分たちだ!という意識を持って。それが今、私のできること。


vol.195 菌ちゃん野菜応援団 vol.16

 この原稿を書いているのは3月下旬。コロナ騒動で世界中が震撼としているときです。治療法が確立されていない新しいウイルスに、人はなす術もなく右往左往。みな明日への不安をぬぐいきれずにいるように見えます。

 でもね、ほら!こんなときこそ、菌ちゃんの出番でしょ!!
何故って?コロナもインフルも免疫力が弱ったときに感染、重症化してしまうからです。

では免疫力を高めるには?それが菌ちゃん(微生物)と繋がること。

 昔の日本人は冷蔵庫が無いなか、高温多湿の気候を微生物と共存することで明るく健やかに暮らしていたんですよね。四季折々の旬の野菜を食べること、それらを塩や麹と共に発酵させること、不必要に殺菌をしないこと。そんな昔ながらの生活が実は私たちの健康を強力にサポートしてくれるってすごいことじゃないですか?

今こそ菌活ですよ〜!

 同じように畑も発酵させるととびきり美味しい野菜が出来ることは何度もお話させていただいている通り。
 今年からは関の迫間地区、岐阜の岩滝地区、各務原の蘇原地区にて畑を本格始動しはじめます。

 お近くの地域に足を運んでみませんか。
地に足をつけて生きるための第一歩になりますよ。自分の健康と命は自分である程度守る時代。無理はせず楽しく、でもしっかりと知恵を共有しあいましょ!


vol.195 ここいく日記 はじめの12歩!

10年後の身体を作るために
(今できること)

 私は3人の娘の母です。
私が子育てで大切にしている事は、夫婦仲良くと食育です。私の夢は孫沢山のおばあちゃんになること。それには健康な身体、元気な精子と卵子が必要です!
我が子だけでなく、周りの子ども達も幸せになることを願うようになりました。

食も文化の伝承だと考え、20年以上前から子どもや周りの人たちに日本人が昔から食べてきた日本食の味噌や梅干づくりを教えています。
「いのちの授業」では「食育」も大切にしています。
 私の得意な分野を沢山の方に伝えることは、私が人の為にできる事として、生かされている意味を見つけた気分です。
 今年になり、新型コロナウイルスが世界中に広がり多くの被害をもたらす中、免疫力を高める食品が注目されています。昔から『味噌汁は朝の毒消し』と言われているくらい、身体に良い効能があると朝食の大切さを伝えます。子ども達はパンからご飯にしようとか、味噌汁作ってもらおう!とか、つぶやきます。直ぐに変化が現れてくれます。
 夏休み前に知って欲しい食育プログラムにジュースと砂糖、添加物のお話があります。ジュースの中にどの位砂糖が入っているかを当てるクイズでは、スティックシュガー(3g)何本?コカ・○ーラ(500ml)25本、カ○ピス30本!
子ども達にどよめきが起こります。90gの砂糖はそのままでは甘くて飲めない。でもジュースの中には添加物が入っているから、口当たりが良く飲めてしまう!
砂糖の量を実際に見ることで子ども達により伝わります。体重により一日に摂取して良い量、飲み過ぎるとイライラすること、病気になりやすいことも伝えます。
暑い時は飲みたくなるジュースですが、学んだ事で子どもたちは自分で考えるようになります。
ペットボトルから直飲みを止めてコップに注いでみる。
食品の裏の表示を見て確認する。食べ物に関心をもって欲しいと思っています。

 なぜなら、今日食べている食事は10年後20年後の君たちの身体をつくっている。
健康な精子と卵子がいのちをつなぐことのできる体となるためにも『食育』も伝えています。
 コロナウイルス感染に不安な今だからこそ、日本食を見直し家族で食卓を囲み、たくさん笑い、ナチュラルキラー細胞を活性化して免疫力を高めてみてはどうですか?
 笑い。生きる上で大切ですね。ここいくの会議は笑いが絶えません。1人より仲間が居ることでやれる事が広がります。この輪がひろがり若いメンバーが入ってくれると嬉しいです。(以前、授業した先でここいくメンバーになりたいと言ってくれた子どもがいました)                      担当:ここいくメンバー・加藤佳代でした。


vol.195 トンガからこんにちは! 新連載

はじめまして!加藤美希と申します。大洋州のトンガ王国で暮らし初めて、半年。そろそろトンガのイロハをつかみ始めてきたところで、トンガの紹 介をすることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

加藤美希(左から二人目)

 トンガは人口10万人ほどの小さな小さな国です。「トンガ」と聞いて思い浮かべられるもの、何かありますか?

 まずラグビーが盛んです。2020年のラグビーW杯では日本代表としてトンガ出身の選手も活躍していました。冬に食べられる南瓜はトンガからきているものもあります。さらに!鯨の親子と泳げる国です!!

 でもトンガの何が一番トンガらしいかと言うと、日曜日の過ごし方。『Lotu(お祈り)、Kai(食べる)、Mohe(寝る)』この一言に尽きます。

キリスト教の信仰が厚いトンガ人は日曜日に必ず教会に行きます。多い人で、早朝5時、朝10時、昼3時、夕方5時。これはさすがに多いですね。普通は朝10時の一回か午後の一回で二回です。

  そして、気合を入れた正装をして出かけるんです。男性はシャツとトゥペヌと呼ばれる巻きスカートの上にタオバラというゴザのような腰巻をして、女性はプレタハという上下セットの伝統衣装にタオバラやアクセサリーのキエキエを腰に巻きます。平日汚れたTシャツを着ている男性スタッフがきちんとした格好をしていると、ドキっとするほど見違えて見えるものです。小さな子供はドレスも着たりしています。
 教会と一言でいっても、宗派があって、ウェズリアナ、シアシ・トンガ、マーモンガ、カソリック、アドバンテージ、、、、そのほかまだまだあります。月曜日には決まって「ロトゥ行った?どこの教会?」と聞かれます。そして、さらに「’Umu(石蒸し料理)食べた??」と聞かれるのもお決まり。

トンガ人にとって食べることは本当に大切で、特に
‘Umuは特別な日や日曜日に欠かせません。仕事の遅刻や早退は何も思わないのに、日曜日に’Umuを用意しないことは、とっても怠惰な1日だったと反省するほどです。
“Umuは教会に行く2時間前くらいから用意し始めます。
 ‘Umuの基本はLū(ルー)というタロ芋の葉、魚や肉(羊肉が人気)とココナッツミルクをバナナの葉で包んだ料理と芋類のマニオケ(タピオカ)クマラ(サツマイモ)タロ(タロ芋)ウフィ(ヤム芋)などです。これらを教会に行く前に熱した石と共に石窯に入れて、ココナッツの葉などで覆い、蓋をして、教会でお祈りしている間の1時間から1時間半、じっくり蒸し焼きにします。帰ってくると、美味しいご飯が出来上がっていると言うわけです。
 私もこの‘Umuを食べる事が、日曜日の楽しみの一つです。
教会の帰りに誰かに声をかけてもらってご馳走になるのを楽しみにしていると言ったほうが、正しいかもしれません。

Moheはお昼寝でーす!これでもか!というほどお腹いっぱいにご飯を食べて、体を休めます。起きたら、お昼ご飯の残りを食べて、一日終わりです。日曜日は家事も含めて一切の仕事をお休みする日なので、なーんにもしません。
 教会後の道には誰もいないし、開いているお店はありません。海に入ることも良しとされていないので、本当に人が住んでいるんだろうか?と思うほど静かです。なんて平和な日曜日でしょうか。

この原稿が来て10日後、加藤さんからメールが来ました。

全隊員の帰国指示
COVID-19の影響でJICA全隊員、(期限未定)一時帰国となり本日(4月2日)トンガを出国し、今朝帰国しましたが、検疫検査結果待ちで、入国できていないでいます(笑)
公共交通機関を一切使うの禁止らしく、いつ、どうやって実家に帰れるのか、、、多くの途上国では医療が整う先進国へのアクセスか良いことが活動の安心材料でもあります。いつトンガに帰れるかはわかりませんが、帰れる事を祈りつつ、トンガの魅力が伝わるように頑張りますね!!
それでは、引き続きよろしくお願いいたします!

加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中です。


vol.195 プレゼントコーナー

1- あなたの「癒しのひととき」とは?
 あなたがほっこりするときはどんなとき?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:5月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.神のお米【神月】 3合

   自然農縁 月とたね様より…2名様

加茂郡東白川村で、家族で自然に寄り添う昔ながらのお米つくりをしている「自然農縁 月とたね」さんからのプレゼントです。八分つきか玄米、希望を明記してね。

B.『ゼロの昇天』

   人生これから!様より…3名様

よりよく生きるためのライフデザインノート。絵本作家・高畠 純さんの
イラストが軽妙!これからの人生をどう生きようか?私らしくってなんだろう?そして人生の最期を自分らしく迎えるって?そんなヒントがいっぱい詰まっています。

C.CINEX映画招待券

   シネックス様より…ペア3組様

感動、笑い、涙、緊張、恐怖…。様々な感情を味わえる作品と出会う場所、映画館。さあ、今日はどんな作品の気分ですか?写真は「最高の花婿 アンコール」より。

D.にらめっこ特産大豆300g

   にらめっこより…3名様

にらめっこの畑でスタッフが丹誠込めて育てた大豆。少々小粒だけど、大豆本来の味がギュッと詰まっています。もちろん農薬と化学肥料は不使用。おひとりにつき300g進呈。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.194 被災からいのちをまもる

地域防災学専門家の小山真紀さんに聞く

小山 真紀(こやま まき)
岐阜大学流域圏科学研究センター准教授 専門は地域防災学。ハザードとリスク評価、人間行動と死傷、市町村の防災対策など事前(事後)・最中・直後を通じた減災に関わる研究を続けている。世帯および地域コミュニケーションにおける防災力などに着目した取り組みを進めている。

Part-1  

災害から身を守るには

三:いつ来るかわからない災害に備えるには

小:防災って「こうすればいい」と言われ、「はい、それで頑張ろう」という発想が多いのですが、それは無理なんです。人間の持ち味に合わせた形でどう対応するか、そういう発想で考えたほうがいい。それをやろうとすると結構泥臭くて、「こうすればオッケー!」にならないんです。例えば、持ち出し袋を玄関に置いといても、いつしか邪魔だなと片付けてしまう。いざとなった時にあれ?どこに置いたかしら、って。そういうことってありますよね。常に緊張感を持ち続けるのは体も精神も持たない。だから、非常事態の際に「正常性バイアス」(※-1)が働いてしまうのです、人間の特性ですね。

三:「備えあれば憂いなし」。なのに、まだ自分ごとじゃないという気分になってしまう。まさに正常性バイアスが働いてしまっている。

小:そうですね、だから普段の生活の中で考えるんです。例えばご飯。できるだけ外で食べてみる。災害時でも使えそうな趣味を持つ。例えばアウトドアとか、あるいはゲーム感覚で、何かあっても大丈夫なような行動を日常の中に入れておく。すると多少でも水分と食料が備わる。さらに絆創膏、携帯のバッテリーも必要だ、みたいにね。

三:何がないと誰がどう困るかという想像力を働かせる。とくに赤ちゃんを抱えるお母さんは大変ですね。

小:日常だと子育て、特に新生児の育児って、母乳じゃなきゃだめ!いやミルクだ!授乳の前には必ず消毒!とか、いろいろ大変ですよね。何を信じたらいいのかもわからないし、こだわればきりがないし。そんな中、親はなんとかいい子育てをしたいと日々頑張っていますが、災害時には日常で大事にして来た事を守り続けるのって難しいですよね。そうすると災害時に、「あれだけ大事にしてきたことってなんだったんだろう」となってしまう。日常で大切にしてきたことを、災害時でも大切にし続けようとすると(日常のレベルをキープした育児をしようとすると)、それだけの備えをしておかなければいけないのです。そこまでのクオリティーを公的支援に求めることはできませんし、他人にそれを求めるのは難しいです。大切にしたい思いを本当に理解できるのは自分自身ですから、大切にしたいこと、守りたいことがたくさんあればあるほど、守れるだけの備えをしてほしいと思います。
そして、命が助かって終わりじゃないですよ。そのあと、非日常の環境で生きていかなきゃならないですしね。

三:昨日、浦野さん(NPO法人 レスキューストックヤード 常務理事)のトイレの写真を見ただけでびっくりしましたけど。避難所ではあれが現実なんですよね。

小:下水が詰まり水が流れない。食べるのは我慢できても排泄は止められない。トイレが不衛生で、臭いもあるし虫も飛んでる。熊本の震災時は、市町村の支援職員がずっとトイレ掃除をしていました。被災したらそういう状況になることもわかっているのに、結局自分ごとになっていないので、毎回同じことが繰り返されるんです。

三:災害はいつ来るかわからない、予告もない。防災訓練は災害を想定して行われるわけですが、みんなが参加しやすくするには、どうしたらいいんでしょう。

小:防災訓練って何かっていうと、試す場なんですよね。昨日、井上さん(岐阜市本荘まちづくり協議会会長)が、本当にこれだけの荷物持って避難できるのか?という話をされましたが、となると、みんなが必要なものをどこに、たとえばどこかの事業所でこれを扱っているから、ストックとして在庫をこれだけいつも多めに持っておくよ、とか、そのようなことができないか。災害支援協定で一定期間置けないかとか、交渉とか、試行錯誤することで、あれこれやってみるっていうのが、訓練の一番大事なことだと思うんですね。
 防災に興味がない人に、防災イベントを提案しても来ないのは当たり前。興味があるものと合わせて話をしないと頭に入らない。例えば「子育てと防災」というテーマにしてみるとか。子育ての話の中で、この前の台風19号の時はこんなことがありましたね、とそこから「備える」ことに話題に転じてもいい。実は知っていれば備えたのにっていう人も多いんです。知る機会はあったはずなんだけど、その人たちのアンテナに引っかからないんですよね。アンテナに引っかかる内容の中に防災を含めていくというのがいいですね。

※-1)「正常性バイアス」とは?
「正常性バイアス(normalcy bias)」は、心理学の用語です。社会心理学や災害心理学だけでなく、医療用語としても使われます。人間が予期しない事態に対峙したとき、「ありえない」という先入観や偏見(バイアス)が働き、物事を正常の範囲だと自動的に認識する心の働き(メカニズム)を指します。何か起こるたびに反応していると精神的に疲れてしまうので、人間にはそのようなストレスを回避するために自然と“脳”が働き、“心”の平安を守る作用が備わっています。ところが、この防御作用ともいえる「正常性バイアス」が度を越すと、事は深刻な状況に……。つまり、一刻も早くその場を立ち去らなければならない非常事態であるにもかかわらず、“脳”の防御作用(=正常性バイアス)によってその認識が妨げられ、結果、生命の危険にさらされる状況を招きかねないのです

気軽に楽しくがキーワード

三:伝えることは私たちの役割と思って、編集をしていますが、先ほど話題に出たクオリティのこと、どこまで許容できるか問題ですね。

小:それは結局本人が決めるしかない。知る機会をたくさん作って、その中で自分はどんなことをしたいかを考えていく。クオリティの高いところを目指したい人がいれば、まずその人の気持ちを受け止めることが第一。「この非常時でそんなこと言ってもダメ!」というのは、自分のアイデンティティーを否定される感じがするからね。
 だから我々はそういうことを伝えるために、ワークショップみたいな方法でよくやるんです。自分としてはどこまで許容できてどうするかっていうことは、自分たちで考えるしかないよって。
 昨日のシンポジウムで、自助、共助、公助(※-2)という話がありましたが、公助は一人ひとりに寄り添うことは応急対応時には難しいんです。よりきめ細やかな話をしようとすると、公では難しい。復旧復興期になると、最終的には福祉サービスにつなげていくことになるので、日常の寄り添った支援に繋げていくことが大事。自分に必要な支援は自分にしかわからないから、公助としてはある程度まではできるけど、それを超えて「自分には支援が必要」となった時にそれをどう埋めるかは、その人自身が声を上げないと変わらない。起きてからでは間に合わないので平常時にそこを踏まえた仕組みづくりができるといいですね。

三:仕組みづくりは「まちづくり」に発展していきますね。

小:防災って、まさにまちづくりなんですよ。災害によってうちは関係ない、ではなく、どこかで自分も被災者になるかも知れない、困ったときは、お互い様の気持ちで日常的に顔が見える関係ができていることが望ましい。災害時でも日常時と合わせての付き合いが重要になってきますから。
 関わらなければ関わらないほど人のことがどうでもよくなる。なので、関わる機会が必要なんですけど、それは負担にならない形での関わり合いがいい。気軽にできて、なんかみんなで楽しくできるとね。

三:昨日の話で印象的だったのが、「台風カフェ」(※)。今、何とかカフェというのが人気で気軽でサロン的な雰囲気。楽しいがキーワードかなと思いました。そこに外国人が入ってくるとか。

小:そう気軽にとか楽しくとか、ちょっと関わったら感謝されたりとか、ちょっと行くのが楽しくなったとかね。ここで大切なのは台風カフェが「ちゃんと備えなきゃ」というのをモチベーションにしないってことです。楽しくおしゃべりしに行ったらそこは安全な場所、とか、例えばアウトドアを始めてみたら楽しくて、道具が一揃えあったらそれが被災時にも役にたつじゃんって感じ。防災の備えだと思って用意するのではなくて、結果として防災に役に立つこと。自分がやりたいことをやったら、それが、防災の備えにもなっているくらいの感じがいい。

三:そういうことを仕組んでいいんですか?

小:仕組んでいいんです。仕組む人は工夫やアイデアが必要です。例えば、自治会の自主防災会が、ある小学校の防災訓練を企画しているのですが、例えば学校行事でカレー祭りとかデイキャンプをするとき、必ずなにか足りない、トラブルが起きる、という仕込みをしています。「あれ?皿が足らないよ」とか、「薪が足らない」、「火つけるものがないぞ」という感じです。すると子ども達が自分で色々考えて、火を起こす時には「新聞が要る!」とか言って、新聞を絞って薪の代わりにするとか。
 こういうことを積み重ねることで、防災に繋がる。だから防災訓練って銘打ってやらなきゃいけないわけじゃないんですよ。むしろ言わずにブラインドでやる方が色々試せると思います。準備は大変かも知れないけど、楽しんでやればできちゃうと思います。

三:結果として防災・備えに繋がるってすごく魅力的ですね。

小:そうですね。防災だけじゃなくて、日常と防災をつなげていくのがいいと思います。

2019.10.22 朝日新聞(アベナオミの#1日1防災)第19回・使い捨てBBQセットで防災訓練 (承諾番号20-0473)

 災害時の食として、パッククッキングが注目されていますが、防災だけではなくて、食器を使わずに一袋一料理ができると今注目されてます。いろんな料理をまとめて一度にボイルすることもできる。鍋が一つしかないときに、いくつも袋に入れてボイルすれば一度に何品もできていい。さらに油も使わずヘルシー!ということで、日常でも注目されています。パッククッキングも防災が入り口じゃなくて、1人くらしの簡単クッキングと言う入り口でもいいわけです。切り口は全然違うけど、いざという時に役に立つということに繋がる。
 そういうことを考えるのが好きな人、得意な人はどんどん考えたらいいと思います。例えば「台風カフェ」を開くタイミングを考える人は気象庁の予報をしっかり見て情報を見極めることが得意な人、みたいな感じで企画を考えるのが好きな人、体力を発揮したい人、頭を使いたい人、などそれぞれ得意技を発揮できる役割分担をすればいい。おしゃべりしたい人はおしゃべりしてもらえばいいし。そのために新しく何かを身につけなきゃ、というのではなく、それぞれがやりたいことをうまくコーディネートするのが一番無理がなくていいと思います。
 別に防災を頑張っているわけじゃないけど、なんか、災害に強いまちだよねって言われる。そういうのが理想です。

 2019.09.03朝日新聞 (アベナオミの#1日1防災)第15回・水害は予測できる災害ですよ(承諾番号20-0473)

三:要はどうやって、「台風カフェ」を仕掛けていくか、ですね。ただオオカミ少年効果っていうのが気になります。

小:避難と思うから、オオカミ少年効果になるわけですよ。避難じゃなくて遊びにいくんだったら、別に空振りではないわけです。防災意識だけでは動けないという状況がありますから。それこそ「子育てカフェ」とかでもいいし、人によって興味関心が違うので、「起業カフェ」でも「ごちゃまぜカフェ」でもいい。ようは気軽に行きたくなる場を作ることがポイントかもしれませんね。

※)台風カフェは、浜松町の西山地区で地域のサロン(西山カフェ)を開いている集会所(安全な場所)を、台風時に「台風カフェ」として開き、安全なうちに避難してもらい、おしゃべりしながら不安なく過ごすというものです。

 積み重ねていくことで気づくこと

三:防災訓練で伝えたいことは?

小:防災の講演をするときに、「防災訓練の罠」っていう話をするんですよ。それは何かというと、型通りの訓練、例えば、朝サイレンがなって、震度7の地震が発生しました、どこそこの公民館を避難所として開放しました。すると各地から公民館に集まってくる…というような訓練。それで、公民館で防災講演を聞いて、AEDを体験して、お土産もらって帰る・・・。というような訓練の罠です。その訓練って、最初からその日にやるのがわかっているから、まだサイレンがなってないけど、家の前に出て屈伸とかして、なんか準備万端。みんななんか予知能力ありますね(笑)。場合によってはもう公民館に来てる!となると、これ何の訓練だったっけ?ってことになってしまう。
 それを10年やったとして、10年後、なにか変わっていますか?あまりかわらなさそうですよね。でもそれをやるために結構な準備をして手間がかかっているわけです。皆さんの貴重な時間をそこに何時間か費やしているのに、10年経っても変わらないような訓練をやっていたら、すごいコスパが悪くないですか?


 例えば3月に行った防災訓練の話です。避難所は体育館でしたから靴を脱いで靴下です。床は冷え冷えです。近所から参加するだけだからみんな手ぶらで来て割と軽装です。ブルーシート1枚でみんな靴下1枚ですよ。ここで何も言わなければ10年経っても同じ訓練かもしれませんが、ひと言「災害が起きてもその格好で来るんですか?」って聞くと、「いや、これではちょっと無理やね」ってなるじゃないですか。「ではちょっと寝てみてください、これで寝られますか?」と、そういうようなことをみなさんに投げかけると、次の年は持って来ようかとなりますよね。あと、「段ボールを敷くだけでも全然違うね」ってわかると、段ボールはどこから調達する?という話が出て、来年はそれをやってみよう、となる。すると環境が変わりますよね。そういうことを積み重ねていくと、「これでも一晩過ごすのはきついね」とか、「段ボールを二枚重ねてみる?」とか…。「やっぱりパーテションがないとうちの娘が年頃で、ちょっとここで家族以外の人と一緒に寝るのは、ね」という意見が出たりします。では、そういうスペースを作ろうかと、「赤ちゃんはどうする?」とかどんどん話が膨らみます。毎年毎年1テーマでいいので、そういうふうにやれば10年経つと、だいぶいい避難所になりそうな気がしませんか?一個一個は小さいことでも、何か足らないことに気づいて改善する。防災訓練って本来そうあるべきで、足らないこととか、今できてないことに気づいてそれを改善するための訓練なんです。
 災害って明日来るかもしれないけど、30年後かもしれない。同じ訓練をやり続けても何にも変らないまま30年経っちゃう。ちょっとづつでも変わっていければ、30年後はかなり改善されてますよね。実際の災害時には、変わらない訓練をやっているよりいい環境になっているはずなんです。

三:最後に、緊急時に茫然!とならないためにどうしたらいいでしょう?

2019.07.09朝日新聞 (アベナオミの#1日1防災)第12回・外出先でお役立ち車載防災セット(承諾番号20-0473)

小:自分はどこまで許容できて、どこから許容できないかを考えて、許容できる範囲の生活ができるような準備をしておくことでしょうね。あんまりひどい環境にならないように。
 私の場合だと、多分被災地から出ますね。引っ越し続きの暮しでしたし、住宅は賃貸なので家を再建する必要はないので住まいのあり方だけ考えればいい。それもあって、身軽にしているところもあります。
 ただコミュニティがしっかりしていてずっとそこで生きていきたいっていう人たちについては、自分だけの話じゃなくて、地域コミュニティーの存続のありかたと合わせて事前にみんなで考えておく必要があるでしょうね。あと被災後には避難所ができます。その避難所も水害とか津波だと自分の住んでいた地域内にはできないかも知れない。そうなると、よその地域にある避難所に行かざるを得ないけど、地域コミュニティーを守ることを意識しておかないと、地域の人がバラバラの避難所に入ってしまってコミュニティーが壊れてしまうこともあります。過去の災害では、自治会単位で入居できるようにしたケースもあるので、事前にそういう話を行政とできるといいですよね。
 あと、避難所生活は、みんなが他人事だとどんどん環境が悪くなるんですよね。住民主体で管理したところは環境が良くなるんですが、みんなが他人事だと、汚しても気にならない。衛生環境も悪くなるし、住空間としても、生活空間としても環境が悪くなるんですよ。だから自分が避難者として避難所にいる場合には有志を募って、環境作りを担うとか、率先して動いた方がいいです。それは何のためかと言ったら、自分がいい状態で暮らしたいから。被災してしまったらなるべく悪い状況に陥らないようにするということと、人の力をうまく使うこと。自分だけで抱えるのは大変ですから。復興まで長いですし、その瞬間はなんとかできるかもしれないですけど、そのあと生活再建に一年二年かかります。災害によってはもっとかかりますので。うまく人の力を使ってやっていくということですね。でも世代もその社会経験もみんな違うから価値観を共有することが非常に難しい。みんなが「こうしなきゃいけない」ってやると、みんなの思いの共通部分しか実現しない。人がいっぱいだったらいっぱいいるほど重なる部分がどんどん小さくなるから、できることは小さくなってしまう。それだったら自分と考えが違うものも認めて、みんなの思いをできるだけ取り入れた方が、可能性も広がるし、みんなハッピーですよね。

2019.11.19朝日新聞 (アベナオミの#1日1防災)第21回・断水時はまな板スルークッキング(承諾番号20-0473)

東日本大震災を経験したイラストレーターで防災士のアベナオミさんが、防災の知恵をイラストで提案。「1日一つ、少しでも防災に役立つことができれば、365日の積み重ねで大きな防災力になる」。そう語るアベさんが、日々続けられる身近な取り組み です。


vol.194 ぎむきょールーム ゲームのやりすぎは病気なの?

手放せない!やめられない‼
子どもの姿に「ゲーム障害」の不安がよぎったら

関 正樹(児童精神科医)×岡崎 勝(小学校教員)

「ゲーム障害」診断の基準は?

岡崎:子どもたちはゲームにかぎらずなんでも流行りものが好きですよね。相談でよくあるのは、不登校やひきこもりになってゲームばっかりやっているということ。
 ボクは「体が健康ならいいんじゃない?」というし、しばらく様子を見ていいと思うことがほとんどです。だけど、「ゲーム依存症」はキャッチーな言葉としてメディアにも流れてきているから煽られる部分はあると思います。
関:ネット依存、ゲーム依存については前からもいわれていましたが、2019年5月、WHO(世界保健機構)が作成する『ICD-11』という国際疾病分類で「ゲーム障害」が正式に認定されましたしね。この「ゲーム障害」、つまりみなさんが「ゲーム依存」と呼ぶものが、診断のガイドラインではどんな状態とされているかまずお話しします。
 「ゲーム障害」は、『ICD-11』で正式に収載されることに決まった診断名です。これは、行動の嗜癖といわれる状態のひとつであり、まず第一にゲームの「コントロール障害」があります。ゲームを始めるタイミングとか、終えるタイミングとか、時間のコントロールができなくなった状態になっている。なお、生活の中心がゲームになっていて、例えば対人関係上のトラブルなどが頻繁に起こってくる。それでもやめようとしない。こういう状態がわりと長い 期間(基準は12ヶ月間)続き、それが社会生活上の障害になる。つまり学校や会社に行けなくなったり、遅刻をしたりしてしまうということです。

「ハマる」というのがどういうことが考えてみると、その対象は周囲に認められやすいものからそうでないものまでいろいろあります。たとえば、大学教授が研究にハマって、それで収入を得て尊敬も得られている。囲碁や将棋にハマる人も賞賛されることがおおいかもしれません。しかし、ゲームにハマると、非常に冷ややかな視線を向けられることが多いかと思います。

専門家に相談する目安は?

岡崎:家族やまわりの大人が、ここまでは見守りましょうとか、ここからは治療が必要だとか、そういう線引きはできるものなのでしょうか。
関:難しい話ですね。家族とゲームのことがまったく話題にできないとかうるさいな、などといって本人が会話することを拒否しているとか、家庭内でひきこもるような状態になっているとしたら、家族が誰かに相談したいというニーズが出てくると思います。
岡崎:本人を精神科に連れていくのは難しい。本人が自覚していれば、助けを請うために専門家にある程度すがるのはひとつの過程としていいことだと思うけど。
関:家族が相談に行ったとしたら、それをオープンにして本人と話したりしてもらえると、そこに相談の意味があるように思います。

診断はみる医者によってちがう?

岡崎:ゲームにハマると、夜更かしになるとか生活のリズムが変わるから良くないと言われます。親の働き方や家庭の習慣もあるから、本人の努力ではどうにもならないこともある。
関:そのあたりは医者の主観によって、だいぶわかれると思います。
岡崎:発達障害でも、ほかの病気でもそうですが、医者によって診断が変わるというのは当然ありますね。
関:『ゲーム障害』に対するスタンスは医者によって違いますし、そのスタンスによって診断も変わってくるのではないか。かり作られて、その結果どういうデータが蓄積されていくかを見ていくことができることだと思います。

生活リズムの乱れが問題になるのは?

岡崎:一般的には学校で寝るのはまずいことだけど、本人にとってはそれが必要だから寝ているわけで、起こすのはまずいよねという意見もある。医学モデルと社会モデルの確執のようなものが教育の中ではすぐに出てしまうから、ボクが「早く起きろよ」というと、他の教員に「画一化していませんか?」みたいにいわれたりする。子どものゲーム依存のようなことは、体の心配もある一方、取り巻きの問題も大きいと思っています。
関:周りの大人がどんなふうに子どものゲームのことを考えているかによって、きりわけ方が変わってしまう。
岡崎:学校には、受験勉強で疲れて寝ている子もいるわけで、勉強だったら称賛される部分もある。すると、今「ゲーム依存」「ゲーム障害」と言われていることは、医学モデルの依存症とは随分距離があるかなと思います。

関:世の中ではゲームがまずいと思っている人の方が多数派だと思いますし、子ども目線でいえばゲームに対して肯定的な大人のほうが少ないと思います。バイオレンスなゲームが性格傾向として暴力的な人をつくるかという研究がクローズアップされたりしますが、最近はそれが否定される研究も出てきています。
岡崎:ゲームで乱暴になるなんてことはないですよ。暴力的になるのは、例えば人間関係がうまくいかないとか、ストレスやいら立ちがあるときで、それは逆にゲームをするとおちついたりもします。
関:そうですね。でも、うまくいかないと逆に怒りも出てきますが(苦笑)。

せき・まさき
1977年生まれ。児童精神科医として岐阜県の医療法人 仁誠会大湫病院児童精神医療センターに勤務。病院での臨床を重ねるかたわら、地域での子育て講座や各地での講演を行う。自身も子どもの頃からゲーム好きで、最近は「スプラクトーゥン2」にハマる。小3女児の父。休日は娘とゲームをすることや音楽活動にハマる。

おかざき・まさる
1952年生まれ。名古屋市公立小学校教員。<お・は>編集人。きょうだい誌<ち・お>編集協力人。「アーレの樹」理事。著書に『センセイは見た!「教育改革」の正体』(青土社)『子どもってワケわからん!』(批評社)他。ゲームは学生時代に「パックマン」にはまり、最近は孫の小2男児とWii Uを楽しむ。

ICD-11「ゲーム障害」の診断ガイドライン(草稿)
1-持続的または再発性のゲーム行動委パターン(インターネッ  トを介するオンラインまたはオフライン)で、以下のすべて  の特徴を示す。
 A:ゲームのコントロール障害(たとえば、開始、頻度、熱中度、  期間、終了、プレイ環境などにおいて)。
 B:他の日常生活の関心ごとや日々の活動よりゲームが先にく  るほどに、ゲームをますます優先。
 C:問題が起きているにもかかわらず、ゲームを継続または   さらにエスカレート(問題とはたとえば、反復する対人関係問題、仕事または学業上の問題、健康問題)。
2-ゲーム行動パターンは、持続的または挿話的かつ反  復的で、ある一定期間続く(たとえば、十二ヶ月)。
3-ゲーム行動パターンは、明らかな苦痛や個人、家族、社会、教育、職業やほかの重要な機能分野において著しい障害をひき起こしている。


vol.194 えんぴつ・カフェ

自分らしく生きる!

人生これから!は定期的にえんぴつカフェを開催しています。ライフデザインノート『ゼロの昇天』をどんどん書き込んでいきます。

2020年3月7日(土)14:00~16:00・4月16日(木)13:30~15:30 

 場所:にらめっこ編集室(各務原市蘇原新栄町3-15) 参加費500円(お茶とお菓子つき)

『ゼロの昇天』とは

「今を生きる」ことにスポットを当てたノート。とは言えいずれ迎える「死」を意識して、家族や周りの人に伝えておきたいことを書き留めておくことを勧めている。高畠純さんの軽快なイラストが心を和ませてくれる。定価700円 (B5版44p2色)

えんぴつ・カフェとは

毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みケーキをつまみながら、持ち寄った課題をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、どう生きるかを念頭に置いて書き込んでいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージが湧いてきます。そんなカフェです。

人生のエンディングは誰もが迎えるということはわかっていても、準備をするときを決めかねてしまう・・・
エンディングという言葉に抵抗を感じる人も多いですね。だから、ライフデザインノート「ゼロの昇天」にしました。いま、これから、どう生きるかが大事。だって、人生これから!ですから。(^o^)

主催:NPO「人生これから!」 問い合わせ 090-5638-7044(田辺)090-7854-4561(三上)


vol.194 しょうがいをみつめる vol.5

新生活、新年度に向けて  私の“トリセツ” 作ってみませんか?

 2015年頃から結婚式の余興のネタとして根強く人気のある トリセツ(取扱説明書)。この“トリセツ”が発達障害を周囲の人に理解してもらう手立てとして有効だと、近年広まりを見せています。新しい職場、新しいクラス…と環境の変わるこの時期に“トリセツ”を作ってみませんか?“トリセツ”を活用して、 互いの理解を深め、助け合える社会を自ら創造していきませんか?

“トリセツ”の作り方

1、困りごとは、何ですか?
 まずは、あなたやお子さんの「困り事、助けてほしいところ」に気付くことから始まります。

困りごとの例を挙げるとすれば
・自分から人に話しかけるのが苦手
・急な予定の変更にすぐに対応できない
・じっとしていることが苦手
・うっかりミスが多い、大事な場面でもうっかりミスをする
・視覚、聴覚、嗅覚などの感覚が敏感、または鈍感・・・などがあります。

2、困りごとの対策とお願い

①「自分(家庭)ができる対策」と
②「周囲(職場・学校)にお願いしたいこと」
を書き出してみましょう。
“トリセツ”は、職場や学校に限らず【子育て】の困りごと、【介護する】困りごと、【介護される】困りごとなど、【】の中が変われば家族間で、又はサービスを提供する受ける関係で有効に活用することができます。
 “トリセツ”を一から作るのは難しそうだなと思う方は、こちらから印刷して使える“トリセツ”もあります。参考にしてみてはいかがでしょうか。(my-torisetsu.pdf)

発達障害や自分の特徴を

「~ができない」「~が悪い」「~を頑張れない」
と、自分を責めるのではなく
「~ができないから、…の方法を選択する」
と、嗜好性の違い(好みの違い)だと捉えて、自ら周りに提案してみてはいかがでしょうか?

 周りの人はあなたを責めているわけではなく、あなたの特徴や嗜好性を知らず、どのように接していいのかわからないことが多いと思います。周囲に伝える時には、一方的に「絶対にこうしてほしい!」ではなく、「こんな風に接してほしいのですが、どんな方法があるか一緒に考えてもらえませんか」というように、相手にも同じ足並みで考えてもらえるように伝えてみると、周囲も受け入れやすいと思います。
また実際にやってみてうまく行かない時には、他の方法に「変えていく」ことも事前に伝えておくと、信頼関係を築きやすいと思います。わたしの生きやすい社会は、他の誰かにとっても、生きやすい社会になります。
 2020年度は、わたしの“トリセツ”作りをきっかけに、『わたし』を発信してみませんか?


vol.194  niramekko Gallery「さかな」「御朱印」

みるみるうちに身長が175センチに。体重はさて何キロあるだろう。聖くんはその体に見合わない優しい声で、話しかけてきます。小さな子とあそぶ時もとても穏やか。そんな聖くんは小学生の時から御朱印にはまってます。筆を持つとスラスラと書き始め、その達筆ぶりが伺えます。かと思うと、テーマが水族館の時には、見事に魚が泳ぐ。聖くんの筆さばきは見事です。そして、いつも目を惹く作品になります。クラスで「今回のテーマはこれ!」と投げかけますが、聖くんは何を描くだろうと、とても気になる存在です。

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私たちの暮らしは意味や役割があるものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。

風の芸術村 会員・随時募集中です。
詳しくは下記へお問い合わせください。


vol.194 人生これから!シンポジウム

基調講演:上鵜瀬 孝志氏(セカンドライフアドバイザー)

人生は10万時間の三段重ね

小学校、中学校、高校 (24時間×365日×12年間=10万時間余)時代は「親に育てられた時代」。定年まで働く時間(1日10間勤務×年間250日×40年間=10万時間)は「社会に育てられた時代」。そして定年後から平均寿命80歳までの自由な時間(1日14時間30分×365日×20年間)これからは「自分で自分を育てる時代」です。

「人生これから」をより豊かに生きるために

1.「競い争う」から「協力して奏でる」こころへ
 定年までは競争と支配、比較が原動力だったが、それま での競争意識のままでは、孤立への道に進んでしまう。 孤立しないためにも価値観の転換をして「協奏」のここ ろを大切にしたい。
2.やりたかったこと、やっていたことがパワーに! 
 趣味でリセット。かつてやっていた趣味の再開やい ろんなことにチャレンジしてみよう。

3.貢献は、人のためならず
 始める動機は地域社会への貢献や社会の役に立ちた いでも、自治会、ボランティア、NPO活動…など活 動しているうちに、「やって良かった」「友達ができた」 という人は多い。まさに、貢献活動は人のためならず。

くう・いる・あそぶ

くう=料理が変える定年後。食べたい物を自分でつくる。妻の介護に備える、ひとり暮らしになっても困らない。料理は自立への大きなステップ。
いる=居場所さえあれば何とか充実。心理的側面からの居場所
あそぶ=友だちは“値”年金。充実人生に、友だちは大切。話しあえる人が多いと気持ちが落ち込む可能性は低い

“値”年金の増大に 友達つくりは3つの関係で…

  1. 年齢やかつての肩書きを意識せず付き合える関係 
  2. 利害を超えた付き合いができる関係 
  3. 年下の人たちとの関係  
    大切なのは何をしてきたかではなく、何をやりたいか。

さびない友達のメンテナンスを
1.相手に関心を持ち過ぎない 2.誘って断られても、気にしない 3.優劣、序列をつくらない
4.お金の貸し借りはしない、すべて割り勘 5.メールよりも「会って話そう」の精神で。
夫婦間に異なる意見や考え方があるのは当然。違う意見を認め受け入れる、それが「聴く」ということ。そうすると相手の人格を傷つけない。「聴く」こそ、コミュニケーションの基本。“聴く耳ニケーション”で信頼を。

 人生これから!のシンポジウムでは4人のパネラーが登壇。それぞれ「どんな転機を迎えたか」、そして今後「どう生きていくのか」を語っていただきました。定年を仕事の区切りだけにとどめず、人生の転機と捉えた時とし、4人からは「自分が病気になった時」「家族のありようが大きく変わった時」「転職した時」などいろいろでした。

参加者のアンケートより。

<基調講演>
・ 主人が定年後のライフが想像できて少しゾッとした。今か ら少しずつ今日のことを伝えていきたいと思った。(40代)
・ ジェンダーからくる定年後の生き方の転換がとてもわか りやすくてよかったです。競争→協奏 すてきです。(50代)
・ 「協奏」という言葉に心が惹かれました。(60代)
・ 友達関係で誘い、誘われても断れる関係になれるように なりたい。(60代)
・ すべて納得。夫と来て良かったです。(60代)
・ 今まで散見的に聞いたりした事が整理できて良かった。 これからはどう実践出来るかだ。(70代)

<シンポジウム>
・ 人それぞれの生き方を、腹を割って紹介していただきあ りがとうございました。皆様とても力強く精一杯生きて みえ、人生設計を考える上でとても参考になりました。(50代・まもなく還暦)
・ 大先輩の方々の生き様を生の声として聞くことができ、これからの生き方を考えるキッカケに」なった。(50代)
・ どう生きるか、ですね。その人の人生の話しは学びが大きいですね。(50代)
・ パネリストの方々のそれぞれの身の過ごし方が聞けて良かった。健康も自分の思うようにならないので、心の持ち方が1番大切かと思いました(60代)

<今後どのように人生を送りたいですか?>
・ 改めてしっかりした生活を送りたいです。自分を育てるという言葉に感銘を受けました。(70代)
・ 60歳から何をしたいか、何ができるかをさがしてみたい。健康とお金、友人を大切にしていく。(50代)
・ 感謝の心を大切に。(70代)
・ 夫の話しに耳をかす事を心がけようと思います。自分も自分らしく生きようと思います。(70代)
・ ねたきりにならない様運動、健康、食事、畑仕事、夫と感謝しあえるように。(70代)
・ 生涯独身の人、家族を失くし独りの人、いろんな方がいらっしゃいます。他人と比較せず前向きにサークル活動や運動に参加したいと思います。孤独だと感じないことが大切だと思いました。(60代)
・ 四つ葉のクローバーを大切に心にとめて生きたい。コミュニケーション大切に、人とのつながりを大切にしていきたい。夫と聴く耳にケーションする。(50代)
・ 人生四苦八苦であり、死も自覚しなくてはいけないと思う。自覚した上で死までの時間を、人生の目的を考えながら過ごしていきたいと思います。(50代まもなく還暦)
・ 静かにのんびりと小動物と余生を送りたい。人生振り返ると何もくいなく思い通りの人生で、自分では仕合せな人生で何も思い残す事はありません。(80代)
・ 自分ファーストの生活を送りたいと思いながら、母、子ども、孫、夫を優先させる生活が続いています。少しずつ実行したい。(60代)
・ 自分の人生は自分のコントロール下にあるけれど、自分だけでは生きていけない。家族、友人の存在、関わる人たちに対してどんなことに影響を与えることがで きるかがテーマだと思います。(60代)

えんぴつカフェスペシャル  参加者全員に進呈!(郵送)

・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。スペシャル企画に参加していないけど、「NOTE欲しい!」という方はプレゼントコーナーを参照してね!


vol.194 熱中人 森のようちえん こどもの庭 園田 智子さん

“すべてのものがある森”の中で、
 一緒に育ちあう喜びをわかちあおう!

一般社団法人 こどもの庭 代表理事 園田 智子さん

 子どもたちは森でいろんなものを遊びへとつなげていく。石や木の枝を拾い集めてコレクションにしたり、四角い石でスマホごっこをしたり、木に登り虫を捕まえる…。大好きな冬いちごの実を見つけた時には「あった〜!」と叫び、少ししかないその赤い実を宝物のようにしてみんなで分け合って食べる。寒い冬、日なたや友だちとつないだ手の温かさに「あったかいねぇ!」と喜び、夏には木陰や吹く風に「涼しい〜!」と思わず声をあげる。小さなことにも喜びを見つける。
 「子どもたちを見ていると。何もないところから遊びを作りだすたくましさ、日常のささやかな事にも喜びを感じられる豊かな感性を持っているなあと感じます。そういう力がこれからの時代、幸せに生きて行くための力になる、森ではそういう力が培っていけるんじゃないかなって思います」と代表の園田さんは語る。
 園田さんが初めて「森のようちえん」の存在を知ったのは美濃市の「森のようちえん だんごむし」のパンフレットを手にしたとき。その後にらめっこ156号の記事で多治見市にも森のようちえん(森のわらべ)があると知り、そこでお散歩会に体験参加。その時見た娘の姿が印象的だった。
 「娘がまるでスイッチが入ったように、すごく活き活きし始めて。森の中で折り重なった落ち葉で滑り台して遊んでいる姿を見て、彼女の中の何かがパッと開いた感じがしたんです。もう“私の子育てこれだ!”って思いました。」(笑)
 とはいえ、自宅のある八百津から多治見や美濃市は毎日通うには距離がある。じゃあ自分でやってみようと、2015年、長女が年少になるタイミングで「森のようちえん 自然育児 こどもの庭」を立ち上げた。基本方針は、「答えは子どもの中にある」、「子どもと大人は人として対等である」というもの。最初の園児は長女ひとり。だがその後口コミなどで少しずつ広がり、今では17人の子どもたちが「こどもの庭」の園児として過ごす。
 「こどもの庭では、毎日朝の会、帰りの会でみんなが集まリます。ここで大事なことを伝えるからちゃんと聞いてね。ということを徹底しています。また子どもが自分の身を守れるようにと、大人がルールを設けることもあります」。
 大事なことというのは森で安全に過ごすためのルール。まずは大人が見えるところで遊ぶというのは鉄則。ハチ、マムシに出会った時の対処法。草むらに入るのは大人が確認してから。服装は必ず長袖長ズボン、靴下と靴をはいて、首にはバンダナ、など。ポイズンリムーバーも、自分たちで使えるように教えている。夏の熱中症対策など、園舎がないだけにとにかく子どもたちの安全には細心の注意が必要となる。
 屋外だけでなく、フィールド内にある建物で、にじみ絵や羊毛を使った手仕事などをして過ごす日も。年長さんに教わりながら自分の縄跳びの縄を編むのは年中さん。今、年長さんは小学校の準備のために、自分でベンガラ染めをした布で手提げバックを手縫い中。そして、3学期にはナイフを贈呈式でもらう。鉛筆を削ったり森の中の枝で箸を作ったり。「縫い物もナイフも、今年はまだ早いかな?とか、その年の子どもたちの様子を見て時期を決めます」子どもとしっかり向き合っているからこその判断だ。高くまで木に登り、縫い物をし、ナイフを使う年長の姿は、年下の子にとって憧れ。年上の子の姿を見て、ああなりたい!と大きくなって行くことへの希望や夢がそこにある。また、虫嫌いだったお母さんが、子どもが捕まえたカナヘビのエサにと、夢中で虫を捕まえるということは珍しくない。お母さんも知らず知らずにたくましくなっていく。子どもに求めるだけでなく、大人も楽しみながらいろんな世界が見られる、森にはそんな力があるようだ。
 「将来的には、園舎というかお家を持ちたいです。里山保育というか、お年寄りや地域の方とも交流して、手仕事や農作業を一緒にやったり。まわりには自然や畑があって、お母さんも畑仕事をしたりしながら子どもを育てるというような、昔農村でやっていた子育てみたいなものがやれたらいいなって。自然と子育てと暮らし、というものが一体になっているような、そんな場所をめざしたいです」園田さんの想いは広がる。 (加茂郡八百津町在住)

森のようちえん 自然育児 こどもの庭

 「こどもの庭」のフィールドは4つ。可児市(久々利・西可児)、美濃加茂市、御嵩町のうちのいずれかがその日のフィールドで、子どもたちと当番のお母さんたちとスタッフが一緒に森で過ごす。

ようちえん(3~6歳)週4日…定員20名ほどの少人数異年齢保育
親子の会(0~3歳)週1回…小さなお子さんとそのお母さんのための活動
E-mail yao2koniwa@gmail.com


vol.194 夢か悪夢かリニアが通る!vol.23

危機の南アを守れ

リニア中央新幹線南アルプストンネルを巡る情勢が「風雲急」を告げています。トンネル掘削による大井川の減水問題についてJR東海の説明が二転三転し、静岡県との議論がこう着状態となっていましたが、「仲介役」を買って出た国土交通省が今年に入って、新たな有識者会議を設置することを提案。環境省や農林水産省も参加した議論を求めていた静岡県も「会議は全面公開で行う」「水問題に関わる各省庁の専門家や県推薦の有識者が参加、地元住民の代表も立ち会う」など5条件を示して同意しました。3兆円もの財政投融資をJRに貸し付けるための法律改正を行い二人三脚でリニアを推進してきた国交省にはたして、「中立」を期待できるのでしょうか。これからもしっかり監視していく必要があります。                              井澤宏明・ジャーナリスト

大井川左岸の「赤崩」。断層破砕帯にたまった水が湧き出ている。トンネル掘削で破砕帯にぶつかると、水が噴出し、上流の沢が枯れる恐れがあるという(2019年6月13日撮影)

240万トンの水をどうする?

 「南アルプスにリニアはいらない」と題したシンポジウムが1月19日、神奈川県川崎市で開かれました。リニア建設によって危機的な状況に置かれている南アルプスについて考えようと、市民団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」などが主催し、200人余りが参加しました。

川勝平太・静岡県知事らに「赤崩」について説明する塩坂さん

 「山場なんですよ、リニアの問題は」と話を切り出したのは、静岡県の有識者会議の委員としてJRと対峙してきた地質の専門家、塩坂邦雄さんです。
 南アルプスと30年以上付き合ってきたという塩坂さん。「大井川の水が毎秒2~3トン減ると言ってますけど、これは工事が終わってリニアが走れる状況になったとき、トンネルの周辺からチョロチョロ出てくる水。イメージとしては、華厳の滝の渇水期の水量で、それと同じ量をポンプで戻そうとしている」と解説。
 「それよりもっと重要なのは、トンネルが(断層)破砕帯を突き抜けると、240万トンの水が出てしまうとJRは言っているが、この大量の水をどうするんだ、という答えが出ていないこと」と問題点を指摘しました。「抜ける水は(240万トンの)ほぼ10倍だと思っている」とも。

川崎市で開かれたシンポジウム「南アルプスにリニアはいらない」

 トンネルに湧き出た水を沢に戻す悪影響にも言及しました。「トンネルの地下水温は年間ほとんど同じ15、6度。これを生態系のために戻すというが、水温が0度とか2度の沢に戻したら生態系を破壊するだけです」
 さらに、JR東海道本線の丹那トンネル掘削中に発生した北伊豆地震(1930年)でトンネル内に3メートル近い横ずれが発生したことや、台湾地震(1999年)で断層がずれ河川に滝が発生した事例を挙げ、断層を貫く南アルプストンネルの致命的な欠陥も指摘しました。「トンネルがずれたら、時速500キロのリニアに止められる余地はありません」

最後のスイッチを押してしまう

  日本自然保護協会で環境保護室長を務めた辻村千尋さんは、国立公園に指定されている南アルプスに、どうして巨大トンネルを掘ることができるのかという疑問に、「南アルプス国立公園の中には、リニアに関する設備が(計画されてい)ないからです」と答えました。
 辻村さんによると、南アルプス国立公園は山の稜線部しか指定されていません。そこで、重要な環境が残っている大井川源流部まで国立公園の範囲を拡充すべきだという結論が、リニア計画が決まった直後に出されました。「環境省が負けたんです。リニア計画の方が先に進んでしまったので、環境省は国立公園の指定を拡充することができなかった」
 南アルプスの高山植物のお花畑を取り巻く状況にも触れ、「シカの食害や地球温暖化で雪の降り方も変わって、お花畑は相当痛い目に遭っている。今回のトンネル工事で地下水全体の流れが変わり、最後のスイッチを押してしまう可能性がある」と危機感をあらわにしました。
 南アルプスが登録されているユネスコのエコパークには、定期的な報告が義務づけられています。辻村さんは「リニアのトンネルができて、(大井川源流部の)二軒小屋あたりまで道路が整備されて観光バスが行くようになったら、エコパークの指定が相当、黄色信号になるのではないか。予防的観点に立って見れば、リニア計画は止めるしかない」と訴えました。


vol.194 ボーダーレス社会をめざして vol.53

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

限りない成長

 お正月、自閉症の息子が私に、お抹茶を点ててくれました。先日は、「一緒にお菓子を食べましょう」と誘ってくれました。
 小さい頃の息子を知っている人は、びっくりだと思います。幼稚園の頃は、じっとしていられなくて、園外に出て行ってしまったことがありました。また、小学1年生の時は、多動で出来ないことが多いため、「お母さんも授業に付いてください」「どうして普通学級に在籍するのですか」と先生に言われた子どもが大人になり、自分の母親にお抹茶を点ててくれたのです。今でも自閉症の特徴はしっかりありますが、上手に付き合ってくれば、自分のため、家族のために行動できるようになるのです。
 特別支援学校高等部を卒業したばかりの頃は、仕事帰りにケーキ1個、お団子1本を自分のためだけに買ってきていました。「あっちゃん、Mちゃんにもケーキ買ってきてほしいな。」と繰り返し言い続けました。 また、カッターシャツをズボンの中にインするのが自閉症の人の定番スタイルですが、電車で会社に通い始め、乗っている人がシャツをインせずボタンもかけず着ている姿を見て、真似した事がありました。その時、「電車の中の人はこうして着ている」と言いました。周りを見ることができるようになったのです。
 また、電話は全く掛けられなかったのですが、今では一方的な電話とメールはOKです。携帯電話が普及し、うまく話せなくても文字で自分の意思を伝えられるようになりました。皆さんは、当たり前に携帯電話を使われていると思いますが、障がいのある人にとっては、素晴らしいツールなんです。視覚が強いため、電話で話すよりメールの文字で伝えることの方が得意で、お陰でかなり意思疎通ができるようになりました。一度だけ「ありがとう」というメールが来たことがあります。会社に持っていったお弁当のお礼です。おにぎりと色どりの良いお弁当を作った時のことです。おいしかったのか、きれいだったのかは定かではないのですが・・・。「お~~!!こんなことがあるのね。」とびっくり。20年程お弁当を作ってきて、ただの一度だけですが、記念のメールとして保存してあります。娘にはいつも「お弁当おいしかった。ありがとう!」って言われていましたから普通の人であれば、そんなこと当たり前のことですが、当たり前ではなく感謝の言葉をメールで送ることができるって本当に凄いことなんです。
 以前「限りある成長?」というタイトルで原稿を書いて12年経ちましたが、遅々たる成長をまだ続けています。今日も「温泉に行ってきました。楽しかったです」というメールが届きました。


vol.194 半農半X vol.35

ニュービギニングス 新しいはじまり

 綾部にUターンして今年で21年。京都市内から家族で引っ越ししたのは99年1月末のことでした。美しい雪化粧の27号線をいまも覚えています。綾部での生活が始まったある日、新聞で南アフリカの黒人が初めて生産したワインが販売されると知り、すぐ購入しました。アパルトヘイト(人種隔離)政策により、黒人はワインをつくることが許されなかったというのです。南アフリカ史上初の黒人生産ワインは「ニュービギニングス(新しいはじまり)」という美しい名前がつけられました。
 平成の御代から、令和の時代へ。不安もありますが、新しいはじまりもきっとあるはず。綾部ではいままであった店が閉まったり、イベントがなくなったり、始まるものより、終わるもののほうが多いのではないかと心配になりますが、それでも綾部の地から「ニュービギニングス~新しいはじまり」をたくさん生んでいくことにこだわっていきたいと思います。大変なこともいっぱいありますが、小さくてもいいので何かを新しいはじまりを創っていきましょう。

米粉麺が我が家に

 6次産業やマルシェ開催などを通じて、「農のあるくらし」を提案している大阪の山内美陽子さん(谷町空庭代表)を招き、講演会を開催しました。山内さんは「米粉」の普及活動もされていて、お米を送れば米粉麺にしてくれる工房がありますよと教えてくださいました。お米をなんとか活かせたらと思っていたので、早速、我が家のお米を米粉麺に。50キロの白米を送ったら、100グラム入りの米粉麺が約700パック完成し、我が家に届きました。1分半~2分であっという間に茹でることが可能です。
 帰天された作家・田辺聖子さんの言葉をふと思い出しました。以前、田辺さんがお母さんから教わったという「人はな、生まれ在所から三里以内にでけたもんを食べてたら、体によろしいねん」という言葉です。米の年間消費量も日本人1人あたり60キロ弱と、先の東京オリンピックのころと比べると半減中。米粉麺って、なかなかおもしろい存在かも。そんなことを感じている今日このごろです。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.194 未来に続く暮しの学びPrt-35

自然の魔法

 まだ、ところどころ山火事が続くオーストラリア。 私たちの住むエリア「バイロンベイ」には数週間前にやっと雨が届いてくれて、付近の火事も収まりました。滝が流れ、川が流れ、気も流れ始めレインフォレスト復活という感じです。それとともに、夏らしい蒸し暑さが戻ってきました。亜熱帯気候特有の、昼間は太陽のエネルギーが強く、湿気もあり、暑い。でも夕方になると夕立が訪れて、すべてを落ち着かせてくれます。
 雨が降って、気持ち的にやっと落ち着いたというか、まず生活の面で水の心配をしなくてもよくなったことにほっとしました。畑の水やりも心配なくできることにも感謝です。草も樹も、もちろん雑草も大喜びで、すくすく伸び放題。でも、それが自然な反応なのだなと思いじっくりと観察しています。

 動物たちもほっとしているところだと思います。雨が降りいつもの自然が戻ってくることで、彼らの動きも活発になってきています。コアラ、イグアナ、ウォーターリザード、鳥たちが私たちのエリアにも現れるようになり、共存共有の生活をより意識するようになりました。

 この土地とともに暮らすことで気づくことはたくさんあります。まず自然の変化やエネルギーに敏感になり、たまに魔法みたいな体験をさせてもらったり・・・・私たちも、人が本来持っている自然の部分を開けば開くほど、自分自身とつながり、人と人が調和し、あらゆるものを共有しやすくなるんだろうな、なんて思ったりします。
 学びの多いこの2か月間。様々な変化を受け止めながら、その変化に対応できるよう心がけてきました。日々、自然というおおきな存在のなかで暮らしていられることに感謝し、自然のサイクルをからだ全体で感じながら生活をしていこうと思うこの頃です。


vol.194 菌ちゃん野菜応援団 vol.15

 シンポジウムから大きく動き出した方々のお話をよく聞くようになりました。
 「畑に草を入れてみたよ」「生ごみを捨てるのがもったいないと思うようになったよ」「土作りしたいけど何からしたら良い?」
 そんな話を聞くたびにシンポジウムをやってよかったなぁとじんわり嬉しくなります。

 春に備えて土作りを考えていらっしゃる方はぜひ手始めに枯れた草を手にいれてください。プランター、もしくは畑に草をこれでもか、というくらいた〜〜っぷり敷き詰め、軽く水をかけたら上に土を少しかぶせます。畑の時は畝の上にやると後が楽です。使ってない炭が家にあればそれを混ぜると、さらに良し。あとは水がかからないようにシートをかけておけばOK。水はけが悪い畑の時は回りに溝をほって雨水がたまらないようにしてください。

 雨にあてないのがポイント。草にはもともと糸状菌というキノコ菌がついてます。それが春に向けてゆっくり活動を始め、草を分解していきます。そのときに雨にあたると菌ちゃんは死んじゃうんですよね。なので、必ずシートはしてくださいね。

寒い時期は動きがないけど大丈夫。春になったら草が残ってても野菜の植え付けが出来ますよ!要らないと思っていた草が極上の土を作って、野菜を育ててくれるなんてほんとかしら!!ぜひやってみてくださいね‼

 写真は無煙炭化器で炭をつくっているところ。子どもたちも一緒になってわいわいやってます。これはあとからた〜っぷり土にすき混んで菌ちゃんのマンションになってもらう予定です!!たのしみ〜〜〜〜〜。

 今年も菌ちゃん野菜応援団をよろしくお願いいたします。


vol.194 ここいく日記 はじめの11歩!

お母さんパワーが学校を変える!

 『ここいく』は、今年で10年目を迎えます。
 市内に住む私達が10年も活動しているのだから、市内の幼少中学校へ浸透していてもいいはずなのに実際には思うように実現できていません。
 しかし大垣市では2015年に市PTA連合会の研修会で「いのちの授業」発表依頼があり、それをきっかけに役員さん方が「是非、我が子の通う学校で授業を受けさせたい。」と学校へ働きかけて下さり何校かの小中学校での授業実施へ繋がりました。
そして、毎年の恒例行事として呼んでくださる学校につながっています。お母さんパワ-はすごい!!役員さんパワ-は大きい!!私自身もそのパワ-を活用したいと思いました。
 長男の子育て時代、いのちの授業の主催者側として小中学校へ勧めたけれどもハ-ドルが高く、望みは叶いませんでした。ですから長男は残念ながら私のワンツ-マン・プチ授業(‘_’)しかし、第2子の長女の頃には私にも人脈ができ、主催者である私からではなく他のお母さんや役員さんが学校へ掛け合ってくれました。ある時には友人5.6人が学校行事の際に校庭で校長先生を囲んでいのちの授業の必要性を訴えてくれました。そのお陰で娘は小中学校で授業を受けることができました。そして、ついに私も高校のPTA役員となり校長先生や担当の先生に掛け合い、各務原市内の娘の通う高校での開催に至った。まさしく、役員パワ-!!ばんざ-い!! 御理解くださった先生方に感謝。高校1年生239人を対象に体育館で授業を行うことができました。

 事前に16問の避妊認知度実力テストをしてもらい、テスト結果は当日の授業でクラスごとのランキング発表をして盛り上がりました。ワ-スト問題は写真の5問。答えは全てNO! 不確かな知識でこれまで学んでこなかったことがよくわかる結果です。
 性感染症の体験ワ-クでは、たった一人の感染者からセックスでどう広がっていくかを体験。20人中7人に感染しました。この実験は生徒からも反応がたくさんありました。授業後に届いた感想を読んでいると泣けてきました(T_T) 一部ご紹介します。

・講話のなかに「無知は罪」とあったけれど無知ほど怖いことはないと本当に思いました。
・嫌なことがあって死んでしまいたいと思ったことがあると思 いました。でもそれは命をかけて産んでくれた母にとても酷 いことを思っていたんだなと知りました。
・私は特にLGBTのことについて触れてくださったことがとても嬉しかったです。私自身LGBTのうちの1つをもっていて、それを理由にハブられたりということが昔ありました。その時から、1人1人それぞれが違っていいということを多くの人に知って欲しいと思っていました。なので今回、多くの人に教えていただけて本当によかったです。
・嫌だったら嫌と言えるようにすること、ちゃんと自分のことを大切にしてくれる相手、人任せにしないということを大切 にしていきたいと思った。

 オランダでは障害児を対象とする特別支援学校を含み、すべての初等教育(4~12歳)・中等教育(12~15歳)に性教育が義務化されていて学ぶ環境が整えられています。一方、日本は性産業先進国だけれど性教育に関しては最後進国。でも、できることはたくさんあります。学校を変えるのはお母さん達一人ひとりのパワ-です。パワ-を繋いでいけば国をも変える!!
もうすぐ、年度替わり。役員決めは終わりましたか?まずは一歩踏み出して役員に立候補!そして、子ども達へいのちの授業を一緒に届けましょう。ご依頼お待ちしております(^^♪

担当:ここいくメンバー・大塚道でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.194 「見たまま・感じたまま」from韓国 

 韓国に来て約半年が経ち、2月末でこの留学も終えることとなりました。今韓国のニュースは、新型コロナウィルスのことばかりで、日本に関する事はほとんど見られません。

 僕がこの留学を通して、一番伝えたいのは、僕が日本のニュースで見てきた韓国は、韓国で起きた一部分であり、それが全てではなかったという事。一部の切り抜いた情報だけで、韓国に対して悪いイメージを持つ人が日本には多いのでは、と感じました。
 日本では「韓国は反日教育をしている」と今でも言い続ける人がいますが、僕は逆に日本の方が反韓教育をしているんではないかと思ってしまいます。韓国の歴史を学ぶ上で、当時の日本に対して悪いイメージを持つのもわかります。教える先生にもよると思いますが、韓国で周りの人に聞いてみても、「反日教育?なにそれ?」と言う人がほとんどでした。僕の周りの韓国の人を見てみると、日本にワーキングホリデーに行く若者も沢山いるし、旅行に行くという人も沢山います。韓国に来て半年、そんな人たちの中で暮らしているからでしょうか、僕自身が“反日”と感じた事は今までありませんでした。
 一方、デモなどは減ったそうですが、日本製品の不買運動はまだ続いてるそうです。そういった活動をする人の中には、日本の事が嫌いだからという人もいるのでしょうが、ほとんどが、韓国と仲良くできない安倍首相に対する反対の運動だと聞きました。

会いに来てくれた姉と街を散策

 僕はこの留学でたくさんの国の方と出会いました。中国、台湾、ベトナム、モンゴル、マレーシア、ロシア…。どの国の人も本当にいい人で出会えてよかったと心から思っています。日本人だけが優しくて親切というわけでもない。韓国も日本も他のどの国の人も素晴らしいし、自分の国に誇りをもっている。世界中のみんなが、尊重しあえるといいなと思いました。

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。


vol.194 プレゼントコーナー

1- あなたは環境のために何をしますか?してますか? まずは自分でできることから!具体的に教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日(Bは3月15日) 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます

A.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

主人公と一緒に泣いたり笑ったり。感情を素直に出して映画館を出る時にはすっかりリフレッシュ!そんなひとときをどうぞ!写真は映画「グッドバイ」より。岐阜柳ヶ瀬のCINEXにてご利用いただけます。

B.JAZZE!ご招待

アートギャラリー是様より…2名様

奇数月に行なわれる大人のためのライブ。森永 理美(p)・大森ひろ(ds)・出宮 寛之(b)のトリオが奏でる世界にご招待!  飲食の料金はご負担ください。

C.春日のほうじ茶

ちゃぼぼ園様より…3名様

760年の歴史を持つ春日のお茶。大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。深く澄み切った味を心ゆくまで味わってね。にらめっこ編集室でお受け取りください。

D.人生これから!NOTE

人生これから!様より…5名様

「人生これから!」が今年度の活動を通して得た“いきいき暮らすヒント”を凝縮した1冊。食(薬膳)・運動(ゆる体操)・脳活(歌)・これからの生き方について、など。ぜひ活用してね!


vol.194 始動・にらめっこ!

 甘夏と八朔の移植は1月中旬に行い「ここで生きてね!」と祈るような気持ちで作業を見守りました。各部屋はまだ整備不十分ですが、風の芸術村の個別教室もできるようになり、ちょっと嬉しい。あとは、障子を張り替える作業が…真っ白な障子になったら、雰囲気はぐっとよくなること間違いなし!
 そこで、「障子張り替えワークショップ」を行いたいと思いま〜す!障子張りの得意な方、または一度体験したい方、集合しませんか?わいわいおしゃべりしながら。お茶とお菓子を用意してお待ちしています。

3月10日(火)11日(水)10時から。
(雨天順延)お時間のある方はぜひ!

新住所:各務原市蘇原新栄町3丁目15番地


vol.193 動物のいのち 私たちのいのち

「いのち」の背景を考える

    写真家・映画監督 大西 暢夫さんに聞く

『ぶたにく』 著:大西 暢夫  
お米や野菜は、どうやって育つかを知っている。でも、ぶた肉がどうやって食卓へあがるのかは知らない!鹿児島市にある知的障害施設が舞台。そこでは障害をもつ方たちが、とても大切にぶたを育てている。ぶたの餌は小学校の残飯。私たち人間が残したものをぶたは食べ、10か月で出荷され、ぶた肉となる。その繰り返しで、我々は生きている…「いのち」「食」を学ぶドキュメンタリー写真絵本。          A4変形版 幻冬舎

動物のいのちを考える

ー『ぶたにく』。ずいぶんストレートなタイトルですね。

 はい、直球ですね。かわいい黒豚が表紙で裏表紙がソーセージ。さらにこの本には屠殺場も出てきます。最初かわいい豚さんで始まるのに、最後の方に枝肉がダーって吊るされているシーン。すると子どもたちは大興奮するんですけど、親はそれを見せるかどうかっていうので賛否両論が結構ありました。そして、次の展開ではついこの間産んだばかりのお母さんブタが、またタネをつけられ、また子豚が生まれるっていう話で終わリます。
 実はそこまでの過程がとても大事なのだと思っています。僕は今まで豚と出会うことがなかった。牛は牧場で見かけるけど豚は豚舎。だけど豚って可愛いし、結構アイドルでいいキャラしているし。でも、豚って何者?って思うくらい全然知らなかった。

 僕たちはどれくらい成長した豚を食べているか知らないですよね。みんな子豚なんですよ。8ヶ月とか10ヶ月の子豚。柔らかくて美味しいからって。それを知った時は結構ショックでしたね。

 養豚場にはいろんなルールがあるんですね。いつごろ、何匹生まれるとか、体温が37度、お乳の数と生まれてくる数はほぼ一緒でだいたい満月の頃に生まれる、全国で毎日6万頭潰して、さらに毎日7万頭輸入しています。売り切れがなくどこでも売ってる・・・そういう数字をベースに本を作ったんですね。
 全て人間の都合で命を操作している。そういう背景を知って愕然としました。取材先である鹿児島のゆうかり学園という社会福祉法人は、豚に残飯を食べさせて10ヶ月で出荷しています。
 残飯は老人ホームや小学校、コンビニからパン屋さんを回ります。するとポリタンクが10箱くらいになる。で、その残飯には、豚肉やソーセージとかが入っている。ブタが豚を食べる・・・命を育てているのか、食べ物を育てているのか、わからないサイクルがあって、僕たちは、一体何を作っているんだろって、頭がこんがらがっちゃて。

 毎年、池田町の八幡小学校で講演をするのですが、「ぶた、見たことある?」って聞くと、見たことがない子が多いんです。「豚肉は美味しいけどお腹いっぱいだからポイッと捨てたけど、その豚肉が豚の餌となってまた肉になって給食のおかずとなって戻ってきているってどう思う?」と投げかけてもいます。

ー豚をペットにしている人もいます。ぶたはきれい好きだそうですね。

 においは動物ですから多少は漂いますが結構可愛いですから豚をペットにする人もいるでしょう。ということはペット用に育成して大量に繁殖するという背景を考えて欲しいと思います。例えば、チワワ。CMで人気が出て爆発的に増やした。それでどれだけのチワワが捨てられたことか。どれだけいのちが操作されているか、ブームの背景を読み取らないとね。
 僕らはホームセンターや大型マーケットにあるようなペットショップという形態で動物を売るという方法をなくした方がいいと思っています。プロのブリーダーが、保健所の犬を扱って、かっこよくして、そこで売ればいいのにと思う。ただ犬種がみんな雑種!とかなるかもしれないけど(笑)。あの子たちは本当に可愛いですから。殺処分に関して岐阜県はまだまだですね。滋賀県はやめたし、広島はゼロです。

 うちのハナ(柴犬)も保健所で目があっちゃったんですよね。保健所の片隅にいてね、静かで吠えないんです。吠える人には吠えるけど、好きな人には尻尾振って・・・だけど保健所の人が、「この犬はすごい凶暴ですから気をつけてください。最初にちょっと散歩をしてみますか?」そう言って、引っ張ると固定される紐を首に入れてぎゅっとするとワーワーワンって怒るんですよね。「こいつはこうやってはむかって」って言うんですが、そんなことされればどんな犬でも怒るでしょ。
 家に連れてきた日かな、撫でていたら突然がぶって僕の手を噛んだんですよ。やや甘噛みだったのですが、血が出たんで「ハナ痛いよな」って目を合わせて言ったら、血の出ているところをぺろぺろなめ始まるんですよ。それからのハナは僕と取っ組み合いの喧嘩しても平気です。
 ところが、前の飼い主は、孫にすごい勢いで噛むと言うんですね、孫が棒で殴ったらしいんです。それから首輪が変えられないくらいもう凶暴になって、危ないからと保健所に連れてこられた。結局そこに愛情があるかどうかの話ですよね。しかも子犬を産んだ後に、です。ハナは自分の子どもたちとも別れ、ボコボコにされて、死のギリギリのところまで行って、「ちょっと待った」と声がかかった。ラッキーですけど、彼女の背景にはそういうすごい辛い体験があるんです。

今は幸せなハナ

たくさんの小さないのちを考える

 糸は繭から紡ぐのですが、綿は引っ張って作ります。滋賀県の米原と長浜の話。この地域では<棚がい>という古くて珍しい昔の飼い方で、藁で飼っています。これも実はいのちの話につながっていくんですが、彼らは「虫供養」というのをきちんと行います。例えば一つの掛け布団を作るのにおよそ3,600個くらいのお蚕さんの命をいただいているわけです。ついこの間までお蚕さん(養蚕業)は盛んで生産量が世界ナンバーワンで日本で唯一の輸出品目だったのですが、今はお蚕さんという存在自体わからなくなっています。蚕糸協会に他県の養蚕農家が取引にやってきます。それくらい近県に市場がないんです。年に一回だけ美濃加茂で取引が行われています。
 僕たちはたくさんの小さないのちを身にまとっているんです。それはお蚕さん自身がくるまって温まっている暖かさなんですね。(取材中、お借りした真綿の膝掛けはとても軽くて暖かかった)人が加工したものの中に、このいのちあるお蚕さんたちのあったかさがある、という話です。子ども達にとっては、いのちあるものから糸ができるなんてことすら想像ができない、そこからがスタートで書いた本です。

『お蚕さんから糸と綿と』 著:大西 暢夫  
お蚕さんを育て、その繭から糸を取る。それが生糸になり、真綿にもなる。滋賀県で養蚕業にたずさわる人々の姿から、人間本来の生活の営みについて伝える。2020年1月中旬発売 B5変形版 アリス館

ー今は石油製品からできる人工的なもので包まれていますね。ナイロン、フリース、ポリエチレン、ポリエステルなどなどですが、静電気が起こり体にもよくないですね。

 ものが簡単に手に入る時代。インターネットでも、ポチッと押せばもう翌日に送られてくる。製品が作られるまでの過程をポンと飛び越えて。下手すればネットで犬、猫に限らず生きものさえ買える時代。それまでに生きてきた動物の背景なんて知らなくてもいいわけですよね。そこが今「いのちを大事にする」という中で足りないものですよね。出会うまでの過程がないからだろうなと思う。

ー過程が省略されているから、元の形を知らない。日常の、食べ物、身に纏うものの背景を知ることがとても大事なんですね。ちょっと広げてみたときに、棲む場所を失う野生動物、実験に使われいのちを落とす動物たち、被災地の動物たち、そういう動物たちに日常の中で少しでも思いを馳せたいと思うんですが…

 そうですね。いのちがもっと生活の中の近い場所にあればいいんだけど、そういうものがかなりバーチャルになってきていて、実感がないというか。実際、こういう子(大西家の保護猫)を触ったり抱っこしたりすることで、温もりを感じたり、死んだら生き返らないことを実体験することはバーチャルではできません。(大西家には保護猫が4匹と、前述した保護犬・ハナがいます)生き物は死ぬということ、生き物を看取るということ、そういうことが次に繋がり、また次に動物と向き合うかどうかということも考えるでしょう。

ー生きものと切っても切れない関係にあるにも関わらず、みんなあまり意識をしていない感じがします。

 意識していたら多分殺処分なんかないでしょうね。そいうところに連れてくるのは飼い主の身勝手。さまざまな事情もあるでしょうが、保健所に連れて行くというのは最終決断じゃないですか。でもそれほど考えずに持ってくる人が多いだろうなと思います。たとえ最終でも保健所へという決断はないでしょう。葬っちゃうわけですから。

ー『ぶたにく』に関連しますが、鶏を飼い卵を売って資金にしているある福祉施設では、卵を産まなくなった鶏をどうするか議論になりました。子どもたちが世話をして最終的に肉にするのはどうかと。結局私たちは日常的に鶏肉を食べています。そこに触れずにその過程を避けているという気がします。

 そういう中でちょっと動物に対して、隙を与えるというか、そういう生き方だってありだよなって、思ったりするんです。

ー隙というと?

 動物が生きやすい場所というか、そういうところがあってもいい。昔は野良犬がいっぱいいた。今だとすぐ保健所に電話する。それは街をきれいにしていくという言葉に似たようなところがある。僕は精神病院の取材を長くやっていますが、変わったおっちゃんたちが排除されました。そういう変わった人たちを町から排除したりとか、犬だって、動物たちだって同じようなもので、住みかのない子たちは駆除という名目で役場に連絡して捕獲されることと、構造的には結構似てる話だと思います。犬と人間を一緒にするのは違和感はありますが、考えるスタイルとすれば、排除するという感覚が似ていますね。

私たちのいのちを考える

ー排除という言葉、ヤマユリ学園の殺傷事件では生産性がない、生きていてもしょうがない、と多くの方が殺されました。

 関わってないから、知らないからだろうなって思います。実は東北のるんびにい美術館(アール・ブリュットの美術館)で僕の写真展が開かれています。タイトルは「いのちの姿、あなたの形」。重症身体障害者で動けない、喋れない、立てない、ないない尽くしの方達ばかりでいわゆる生産性のない人たちです。ずっと悩んでいたテーマで、10年間岩手に通って撮影してきました。
 人はこの人たちを見たときにどう思うか、その背景を考えないで漠然と彼らを見たときに、「なんや、なんもできへんやん」だけで終わってしまう。

大西暢夫写真展2019年10月11日ー2020年1月27日

彼らを撮るとすごく絵になりやすいんです。へんてこりんな形をしてるし。だけど、絵になると写真ってつまんない、という僕の持論があって、「彼らの何が撮りたいんだ」と突き詰めたときに、彼らのことが「わからなかった」わけです。それで、「わからない」っていうことをテーマにしようと思った。そのときに初めてこの車椅子と出会ったんです。ボコボコしているし誰が座るか想像がつかない超オーダーメイドの車椅子。これを作る人たちって誰?と思って、会津若松の職人さんのところに行きました。


 そこでは作業療法士らとタッグを組みながら、「こんなに変形しているけどどうしたらええか」と、ず—っとその人を見て職人さんたちが悩むわけです。リハビリをする人たちも、ずっと悩んで仕事をするわけですよね。リハビリの哲学みたいなものの中には、やっぱり歩くこととか、元の機能に近づけるとかがあるけれど、この人たちには全く通じない話なんですね。もともと歩く機能がないわけだから、歩かせることをリハビリと言わないわけです。だけど踏ん反り返ったこの角度は辛いんじゃないかと疑問を持つわけです。あーでもない、こうでもないと断定をしない仕事ばかり。仕事は断定して即決して効率が求められますよね。それとは真逆で、彼らは断定しないんです。

ー考える軸をどこに当てるか、ということでしょうか

 「この人はどうやったら立つんだ」というのが僕の見方でした。それはこの人にとっていいか悪いかではなく、僕の都合だったんですね。この人たちと出会わなかったら、そういうことを考えることはなかったでしょう。だからこそ、この人たちのいのちは大事だと思ったんです。僕がこのことに対して考えなきゃいけないから。そしてそこに、「わからない」を形にする車椅子を作る職人さんたちがいた。その職人さんたちの阿吽の呼吸で、車椅子はでき上がっていくんだけど、福祉的な議論というよりも、どうやったらこの人をうまく座らせることができるかなと、職人さんたちが頭をひねるわけです。僕はそこに一番の愛情を感じたんです。
 で、職人さんたちが、「彼らのことがわからない」とよく言うので、その「わからない」という言葉を表現したいがために、彼らを撮っているという感じでした。そういう中で、彼らの存在がなぜ必要なのか、ということに行き着いていくんです。それは多分、出会って知って考えること。彼らが存在するからこそ考えたことは山ほどありました。それらが一つの基本ベースとなれば、いろんなことに応用できるのではないかと思っています。

おおにし のぶお●プロフィール
写真家、映画監督。1968年東京生まれ。岐阜県揖斐郡池田町で育つ。東京綜合写真専門学校卒業後、写真家の本橋成一さんに師事。アシスタントをするあいまに、ダムに沈む岐阜県徳山村の取材を独自に開始する。独立後も今に至るまで全国を巡りダムに沈む村を追い続けている。そのほか精神科病棟、東日本大震災被災地、いずれも終わりのない長期取材を続けている。
映画監督作品に「水になった村』『家族の軌跡 3.11の記憶から』『オキナワへいこう』
著書に「ひとりひとりの人」「糸に染まる季節」「津波の夜に 3.11の記憶」など。


 


vol.193 ちびっこルーム

鼻とのどの不快な症状 看病の基本はなに?

心配しなくてよいとき、我慢させてはいけないとき、受診する目安って…        耳鼻咽喉科医 水谷 淳子

鼻、つらそうに見えても

鼻がつまるということは、鼻汁が増えて粘膜がはれているということですから、これらを軽くすればいいのです。温度と湿度あたえると手当てがしやすくなるので、入浴後や、あたたかいおしぼりを当ててみてください。粘膜のはれがひいて、鼻汁の粘りも軽くなります。そうすると鼻汁を吸ってあげやすくなり、鼻もかみやすくなります。
 ところで、鼻づまりがあって苦しそうに見えても、当の本人はあまりつらくないことがよくあります。赤ちゃんの場合、おっぱいやミルクを休み休みでも飲めていれば気にすることはありません。  もう少し大きいこどもの場合でも、鼻づまりでズーズーしていても眠れていれば、あるいは本人が気にしていなければ、やっきになって鼻づまりを治そうとする必要はありません。急性副鼻腔炎になっても、二〜三週間で自然に治ることもけっこう多いです。
 ですから、受診する目安は、おっぱいやミルクが十分に飲めないとき、鼻づまりやのどに落ちてくる鼻汁のためにせきが出て、何度も目が覚めて眠れないときでしょうか。あまり起きないことですが、発熱や頭痛が続くとき、頬が痛み赤くはれているときなども受診してください。

からだを守るために必要なせき

 コンコン、ゼロゼロのせきもつらそうです。とくに夜、何度もせきが出て親子ともども眠れない夜が続くと、ほんとうに疲れます。だけど、せきというのは、からだを守るために必要があって出ているという面があり、せきをすることによって、のど、気管、気管支といった空気の通り道にある刺激物を追いだす役目を果たしているのです。

 刺激物というのは、乾いた冷たい空気、ほこり、気道の粘膜のはれ、そのために増えた分泌物である痰、のどへ流れてくる鼻汁などです。せきを強い薬で止めてしまうということは、からだにとってよくありません。重い病気でせきが出ない状態、弱いせきしか出せない状態の人が肺炎になりやすいことでも、せきが出ることがいかに大事かわかると思います。
 せきが出ていても元気に遊びまわっている、少しおとなしくしていればひどいせきは出ない、夜分せきで目が覚めることはあってもだいたいは眠れている。という場合は受診しなくてよいと思います。
 受診する目安は、せきが出て親子ともどもほとんど眠れない、だんだんせきがひどくなってくる、といったときでしょうか。でも最近は、せきがうるさいので医者に行くようにと、学校からいわれて受診するこどもがいるくらいですから、目安といっても確たるものではありません。
 ただし、我慢してはいけないときもあります。赤ちゃんや小さいこどもののどは内径がせまいし、やわらかく、分泌物も多いのです。いちばんせまい喉頭付近がはれると、息ができなくなることがあります。肩で息をしている、くちびるが紫色になっている、話もできない、声がくぐもっている、よだれも多くなっている、せきこんだあとにヒューとかゴーといった音が聞こえるなどのときは、夜中であっても救急に受診してください。

あ゛っ鼻血! どうやって止める?

こどもといっしょに覚えたいその原因と応急処置のしかた 小児科医 山田 真

 こどもは鼻血をよく出します。しょっちゅう鼻血が出るこどももいます。お母さんやお父さんのなかには「鼻血→白血病」というふうに想像をたくましくして不安になる人もいますが、ほとんどは心配のないものです。 
 20分以上も出つづけるようなときや、鼻血以外に歯ぐきからの出血があったときなどは血液の検査をしたほうがいいでしょうが、短時間の鼻血をくり返す場合は、検査の必要もありません。
鼻血が出たときの対処方法をお話ししておきましょう。
 まずこどもを座らせ、頭を前に傾けます。このとき、頭を仰向きにさせると、鼻血がのどのほうへ落ちて、吐き気が起きたりしますから、かならず頭は前に傾けることです。そして口呼吸をさせながら小鼻の部分をつまみ、十分後に指を離すと、たいていは止まっています。もしまだ出血が続いていたら耳鼻科へ行くことにしましょう。
 鼻をかんだり首のうしろを叩いたりするのはやめましょう。鼻を冷やすことも意味がないと思われます。
 また鼻へティッシュペーパーなどをつめることも意味がないようです。綿をつめるのは、奥のほうへ入りこんでとれなくなることもあり、有害ともいえます。とにかく鼻をつまみつづけていることで、たいていの鼻血は止まってしまうということです。

プロフィール 

みずたに・あつこ 埼玉県にて耳鼻咽喉科医院を開業                 やまだ・まこと 小児科医、八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。ち・お編集委員。


vol.193 「ズッコケ三人組」平和を語る

1978年にシリーズ「ズッコケ三人組」が始まり、2004年に50巻に。2500万部という戦後のベストセラーになった。2005年からは40歳になった三人組のシリーズが始まる。

児童文学者 那須 正幹さん

なぜこの本が子ども達に支持されたか

 小学6年のハチベェ、モーちゃん、ハカセという3人が、それぞれの特徴を生かして事件を解決する物語で徹底した娯楽小説です。それが受けた理由じゃないかなと思っている。ただ、戦争のことだけは取り上げなかった。もしこの3人が、太平洋戦争の時に国民学校の生徒だったら、ハチベェのようなおっちょこちょいがうろちょろすると先生から目をつけられてマークされる。モーちゃんみたいにスローな子は配属将校にお尻を蹴飛ばされるだろうし、ハカセみたいな理屈屋は、「先生、戦争は間違っているんじゃないか」と言って特高に睨まれる…裏を返せば、この3人がこれだけ元気に駆け回れるのは、日本が平和で民主主義の国だからこそ。そう考えて、この50巻では一切戦争について書きませんでした。

わたしの原体験

 では私自身は戦争に対して全く無関心だったかというと、実は他の本では取り上げています。わたしは1942年6月に広島市の西区己斐本町で生まれ、3歳の時に被爆しました。私の家は爆心から直線距離でおよそ3キロ。爆発の瞬間に、爆風で我が家の屋根が吹き飛びました。その後、雨が降ってきたので押入れの中で雨宿りしながら当時の国民学校の一年生の国語の本を眺めていた。巻末に桃太郎のお話が載っていた。天然色というか、綺麗な色がついていたような記憶がありますね。そして午後になると、市街地から被爆した人が逃げて来られました。全身灰色で、髪もパーマをかけたみたいにチリチリでまるで人形がフラフラ歩いている…怖いというよりあっけにとられていたという記憶があります。さらに夕方になって大八車に缶詰を山積みにしたおじさんが、「水を飲ませてくれ」と言ってきたので、我が家の井戸水をあげたら、お礼にみかんの缶詰を一つ開けてくれた。それが火傷するくらい熱かった。それをフーフーしながら食べた。この記憶だけは77歳になるのにいまだにあります。

子ども心にも「変だ」と思う出来事

 私の父は当時女学校の教師をしており、爆心地から10キロほどにある学校の職員室で被爆し頭と背中に怪我をしました。ある時、父親が家族会議を開こうと言い出した。その時に憲法の話もしまして、「これからの日本は戦争をしない」と。これは子ども心にすごく嬉しかった。父親は79歳で死んだのですが、遺品に「憲法入門」という本が出てきて、中にものすごく画期的なことが書いてあるんですよ。当時の大人たちは、新憲法というのを勉強していたんですね。
 私が小学校2年の時に、朝鮮戦争が始まりました。日本には警察予備隊という軍隊まがいのものができました。あれよあれよという間に保安隊と名前が変わり、6年生の時にはいわゆる自衛隊となった。
これには流石におかしいなと思いましたね。で、友達と学校帰りに、「ほりゃおかしいぞ!日本は戦争をしないといっているのに、軍隊を持たんことになっているのに、なんで自衛隊ができるんだ」って。友達も「そうだそうだ」、「今の大人は信用できん」、「あいつらが戦争をはじめたんだ」、「わしらが大人になったら自衛隊ぶっ潰そうぜ!」「一緒にやろう!」って、息巻いていた。
 残念ながら自衛隊をぶっ潰すこともできずに、もう77歳になりました。まぁ、その代わりに児童文学の中で、色々書いていこうと思っております。

広島を離れて気づいたこと

 戦争について一番最初に書いたのは「屋根裏の遠い旅」。いわゆるSFで戦争に勝った日本から戦争に負けた日本に行く冒険小説です。まず巻頭に「日本国憲法 第9条」の前文を書きました。平和憲法の中で、自衛隊が生まれたことに対する疑問、これについてなんか書こうと。当時はベトナム戦争の真っ只中で、今の日本だっていつ戦争になるかもわからないんだよというということを読者に伝えたかった。
 当時、被爆体験を児童文学の形として継承しようというのをモットーにしていた「こどもの家」という同人誌があったんですが、私は一度も原爆について書かなかった。広島に住んでいると、原爆、広島では「ピカ」というんですが、ピカの話が日常茶飯事で、今さら原爆を文学の形で書いても、という思いがあったからです。でも山口県に引っ越したら途端に原爆の情報が途絶えたんです。そうすると逆に気になりだす。さらに乾富美子さんという大先輩と一緒に飲んだ時、「あんたも原爆の被爆者なんでしょ、やはり原爆のことを書きなさい」とお説教されたんです。
 その時ふっと思ったのが、平和公園にある「原爆の子の像」。折鶴を折る少女の像です。私が高校一年の時に除幕されたんですが、あの像のモデルになった佐々木禎子さんという人は昭和18年の2月生まれ。早生まれですから私とは学年は一緒。同じ世代の目線で、佐々木禎子さんのこと、原爆の子の像の建立運動を書いてみようと取材をはじめました。
 佐々木禎子さんは、小学生になって白血病になり、中一の10月に亡くなった。クラスメートたちが同級生の死を悼んで世界平和のための原爆の子の像を作ったわけです。
 この「折り鶴の子どもたち―原爆症とたたかった佐々木禎子と級友たち」を書いた時に、いかに自分が原爆について無知だったか思い知らされた。言葉のルーツや正確な意味をもういっぺん勉強し直さなきゃと思いました。

原爆と原子力

 1989年に西村繁男さんが福音館から「僕らの地図旅行」という絵本を出したんですね。その絵を見た時に、絵本だったら広島の原爆の全体像が表現できるな、と思いました。文章で書いても難しすぎて、子どもは読んでくれません。この「絵で読む広島の原爆」は、「セミの声」をキーワードにしています。読者を50年前にタイムスリップさせるんです。セミの声は、江戸時代の城下町で栄えた頃も、明治以降、政治、経済、教育そして軍事の中心として発展した1941年の夏にもうるさいほど聞こえていたそうです。そしてこの本は科学絵本でもあります。例えば核分裂について。核兵器の元になった原子核の分裂によってすごいエネルギーが出るということまで、詳しく描いて日本に原爆を落とす経緯を説明している。さらに、戦後の日本、冷戦時代のソ連崩壊までを全部年表にして載せてある。原爆の百科事典みたいな本になっています。
 実はこの本を書いていた時に、身体を壊しました。だからもう原爆については書かないと思ったけど、広島の人間として一度は書かないと。原爆だけじゃなく、特に戦後の日本を書いていかなきゃいけないなと、そんな思いで書きましたね。
 そして、2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。その年の6月に福島の小学校に行き「広島の人たちは苦しいこともあったけど、あの日に起こったことだけは絶対に忘れないよう、作文でもいいし、なんでもいいから記録しておきなさい」と、話をしたんです。するとある児童から「私たちは30歳までに死ぬと思っています。那須先生は3歳の頃にいっぱい放射能を浴びたのにいまだに元気で、だからすごく嬉しい」と言われました。それを聞いた時はショックでしたね。小学校6年のごくごく普通の子ですよ。これはね、放射線は、肉体だけでなしに心まで傷つけるんだと思いました。その子の話がきっかけで山口県の上関原子力発電所建設の反対運動に積極的に関わることになりました。

今の子どもたちにどう伝えたらいいか…

劇団風の子中部による朗読劇「茶色の朝」

 今の子ども達に戦争を伝えるというのは、非常に難しいです。戦争というのは勝つために全てを収斂させます。「欲しがりません、勝つまでは」という標語がありましたが、文字通り戦争に勝つためにあらゆることを犠牲にした。そういう状況を今の子ども達は知らない、というより50代の人たちも知らないわけですよ。まさか戦争になることはないだろうと。しかし気がついたときには戦争になってた・・・。戦前もそうだった。そういう状況が作られるのですから。
 ですが、戦争を語るのは大変難しいんですね。じゃぁ、語らずにいたらいいのか?例えば平和教育。私もいろんなところで話をしますが、今の親御さんの中には戦争の体験談のような話を子どもに聞かせたくない、と思っている方が多い。例えば「はだしのゲン」を子どもに見せるのは良くないと。読ませない。図書館から撤去したと。本当にそれでいいのか。

次の世代に伝えたいこと

 私の家族の話をします。長男が小学校5年、次男が小学1年生、3番目の長女が年少の時だったかな、広島の資料館に連れていった。今は撤去された被爆人形(子どもを連れた全身ケロイドの母親の人形)がうす暗い照明の中に立っている、お化け屋敷みたいなもんですね。その側まで行ったら、次男が固まってしまった。私自身は3歳の時、被爆体験をしているから見せても構わんだろうと思ったんだけど、次男の反応があまりにもひどかったので、ちょっと反省したんです。
 ところがその次男が高校3年の時、「資料館」へ行きたいと言うんです。それから3年くらい経った時に、長女も「資料館へ行きたい」って言うんですよ。「子どもの時に見てすごく怖かったんだけど、あれはどういうことなのか、なぜ怖かったのか自分でちゃんと見たい」と。それから一昨年かな、長男が家族を連れて「資料館」に行きました。だから子どもの時に、いっぺんはね、こういうことを見たり聞いたりしたほうがいいんじゃないかと私は思っている。その時は怖かっただろうけど、大人になって「なぜ?」と思って再確認をする。今の若い人たちには、特に必要なことだと思うんです。
 次に私が卒業した高校の話をします。創作表現コースという芸術のコースがあり、学生達が12年前から「被爆者と光」という絵を描きはじめたんです。これは平和プロジェクトの一つです。「次世代と拓く 原爆の絵」は被爆者から聞いた話を油絵にします。これは大変な作業です。今の子にゲートルとか三角巾と言ってもわからん、国防色って何色? 語り部も70年前のこと、うろ覚えのところもある。記憶を記録にする。しかも今の子どもたちがそれに協力している。こういうプロジェクトはすごく大切なことです。
 だから、「次世代と描く東京大空襲」「次世代が描く東日本大震災」、そういう形で次の世代に、繋いでいけたらと思います。

岐阜市民会館大ホール 講演に聞き入る参加者のみなさん
シンガーソングライター・増田康記さんとフィナーレ

2019年11月3日 平和のつどい 主催:「2019平和のつどい実行委員会」 参画:岐阜県内「九(9)条の会」 事務局:岐阜・9条の会


vol.193 しょうがいをみつめる vol.4

特別支援教育

特別支援教育:2007年4月から学校教育法の一部改正によって、特殊教育から特別支援教育に変わり、すべての幼稚園・学校において、障害のある子どもの支援を充実していくことになりました。特殊教育との大きな違いは、理念として「障害のある幼児・児童・生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるもの」という共生社会の実現が加わったことです。

 今回は、公立小学校の特別支援学級に在籍がある子どもたちの例を紹介します。文中に出てくる交流学級とは、特別支援学級に在籍がある児童生徒が交流している通常学級のクラスのことです。

・小学1年生、情緒障害A君
 A君は、自分の身の回りのことができ、友だちと基本的なコミュニケーションがとれます。愛嬌があり人気者です。語彙が少なく、自分の気持ちを言葉で表現するのことが苦手なため、小さなすれ違いからトラブルになることがあります。
 A君は、国語、算数以外(生活、音楽、図工、体育、行事)は交流学級で学んでいます。
 特別支援学級で学ぶ時間には、国語や算数の基本的な学習をA君に合わせた進度や学習方法で、自主的に学ぶ力をつけていきます。また、交流学級で学んできた他の教科でのまとめや、理解できなかった部分の確認なども行います。
 交流学級で意欲的に学習に向かえるよう、特別支援学級で基本的な力を身に付けています。また、特別支援学級の少人数の中で基礎的なコミュニケーションスキルを獲得しています。

・小学5年生、知的障害B君
 B君は、体験的な学習から気づく力がありますが、それを文章や言葉でまとめることが不得意です。文章を読んだり書いたりするのには、時間がかかります。
 B君が交流で通常学級へ行くのは、理科、体育、英語、総合的な学習、行事です。学習内容により、教師が付き添います。
 理科の実験では、多くの気付きがあり、事象を捉える力がありますが、それをノートに書いたり、人に伝えることは苦手なため、付き添いの教師が書くことの手助けをすることで皆の前で堂々と発表することができます。教師の付き添いが必要かは、授業内容やB君の希望、他の子の授業内容とも相談しながら決めていきます。

 私が初めて特別支援教育に関わったのは、「特別支援教育」という言葉が学校教育法に位置付けられた平成19年でした。当時は、特別支援学級に在籍している児童生徒は、ほとんどの時間を特別支援学級で過ごし、交流へ行き通常学級で過ごすのは、特別な行事のある時間くらいでした。
 現在では、交流学級で学習する上での困難が軽減するために、特別支援学級で基礎・基本的な力を身につけると言えるくらい、交流学級(通常学級)で過ごす時間が増えています。(個人差や学校の取り組み方に違いはあります。)
 障害のある子とない子が共に学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて、特別支援学級のあり方も形を変えていることを実感しています。一方で、障害のある子もない子も、その能力を最大限に生かすにはまだ課題があることも事実です。


vol.193  niramekko Gallery「せかいに1つのくさ」

さくらちゃんのクールなものの言い方に、ドギマギする大人たち。彼女のことばは的確に状況を表すからなのかもしれない。自分だけの世界観を持っているから、どんなクラスでもマイペース。具象、抽象と表現は常に変わる。しかし彼女の発想は驚くほど豊かです。その作品に出会うと、大人たちはまたしてもドギマギ。私たちは彼女が興味を持つものに、次第に惹かれていきます。

風の芸術村 会員・随時募集中です。
詳しくは下記へお問い合わせください。


vol.193 えんぴつ・カフェ

人生これから!シンポジウム

2020年1月19日(日)14:00-16:00

各務原市那加福祉センター1階 集会室(予定)
参加無料

講演会「定年、そして10万時間の自由時間」
著者:上鵜瀬 孝志氏の講演会のあとは
いきいきシニアのシンポジウム

講師の上鵜瀬さんはこんな人。
今号のにらめっこ『熱中人』でも紹介しています。
上の新聞記事は10年前、「定年、そして10万時間」の出版が毎日新聞に大きく取り上げられました。

定年後にやりたいことはなんですか?

えんぴつ・カフェ

次回は、2020年3月7日(土)14:00~16:00    場所:にらめっこ編集室(各務原市蘇原新栄町3-15)

★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子 付き。  (準備の都合上事前にご連絡をお願いします。)

シンポジウム、えんぴつ・カフェのお申し込み、お問合せ:NPO人生これから!090-5638-7044 田辺   090-7854-4561 三上


vol.193 熱中世代 上鵜瀬 孝志さん

友だちは年金、定年後は楽しく、充実した人生を送ろう!

セカンドライフアドバイザー ウィ! エルダーマン代表 上鵜瀬 孝志さん

  いわゆる団塊の世代として生まれ育った上鵜瀬さん。第一次ベビーブームの昭和22年〜24年に生まれた団塊の世代は800万人を越す。小中高時代から常にひしめき合い、社会の中でも競争を強いられてきた。
 「定年が視野に入ってくるようになった50代、それまでの競争という価値観そのままで、地域や家庭に帰ったって通用しない。今から男性のネットワークを作っておかないといけないんじゃないかという思いがありました。それで「ウイ!エルダーマン」という活動グループを設立したんです」
 エルダーマンのキーワードは「驕らず、威張らず、腐らず」、「来る人拒まず、去る人追わず」。楽しくなければ人生じゃない!と言いながらも、実は楽しいだけではない。それまでの人生で得た技術なり経験を、社会のために活かす活動もする。社会に貢献し、人と繋がることで、それぞれが自分の存在意義を見出すという奥深い団体でもある。
 エルダーマンの活動は多岐にわたる。セミナーの開催、フリーマーケットに出店し売り上げを寄付、学校の余剰机をリフォームしベトナムに送る、懇親会(飲み会)、芝居、旅行…。仲間とともに様々な活動をする中で定年後の生き方について感じたことを書き溜め、一冊の本にしたのが、「定年そして、10万時間」だ。
 10万時間というのは定年後から男性の平均寿命までの時間。定年までの40年間会社に拘束されていた時間もほぼ10万時間。同じウエイトが定年後にかかることになる。しかも、人生100年時代などとも言われる昨今、10万時間どころか、もっと多くなることもある。その時間をどう使うのか。
 「仕事の関わりではなく、社会との関わりの中で自分の存在意義を確認できるかどうか。自治会のことをやるとか、ボランティアをやるとか、なんでもいい、それが豊かな人生に繋がっていくんじゃないかな。」と定年を機に価値観の転換を上鵜瀬さんは提案する。
 多くの同年代の女性は、子どもが手が離れた段階で価値観の転換をすでに済ませて、女性同士のネットワークもできているという。
 1つのアンケート結果がある。「定年後に旅行に行くなら誰と行きたいですか?」というもの。夫の1位は妻。それに対し、妻が夫と答えたのは6位。
「現実は、こんなにも夫婦間にズレがあるんです。夫婦といえどもそれぞれの人生、妻には妻の人生があるでしょ。親に育てられた子どもから学生までの時代、社会に育てられた会社員の時代を経て、定年後は自分で自分を育てる時代です。自分の人生だもん、妻に頼るんじゃなくて、自分で存在意義を見つけていこうよ」と語る。ただ、 そういう生き方をしていくには、友だちの存在が欠かせない。
 「友だちは年金って僕はよく言ってるんだけど、飲み友だちや趣味の友だち、そういう友だちが多いほうが人生はより豊かになるよね。友だちって、知人以上、親友未満というふうに僕は考えています。友だちのプライバシーや、過去にどういう仕事をしていたかとか、家族がどうとかという話は知らなくてもいいんです。その人がこれから何をしたいのかが大事。」
 退職した男性には、過去の実績や肩書きにとらわれ、そこにしか自分を説明するものがないという人も意外と多い。
 「それでは寂しいし、後ろ向き。そこから抜け出さないと誰も相手してくれなくなって孤立しちゃうよね。人に対して上から目線になりがちな人もいる。だけど、僕らの年代まで生きてきたら、どういう境遇であってもそれぞれいろんなことを乗り越えてきた実績がある。財産やポストの問題じゃなくて、その年までお互い生きてこれたねって話。いかに相手のことを尊重できるか、そこも大事にしたいよね。」
 「自然災害や病気、この先、誰だっていつどういう状況におかれるか分からない。ならば、一日一日を充実したものにできるといいよね。そうなると楽しいじゃない」。
 これからの時間をどう過ごすのか、それは自分自身が決める、のである。

かみうせ たかし
コピーライター、「イマージ」主宰。「ウイ!エルダーマン」ネットワーク代表。
広告代理店を経て独立。広告制作会社「(有)イマージ」を設立。2000年、団塊世代の男性を中心とした市民活動グループ「ウイ!エルダーマン」を設立し、各地で定年後の生き方などをテーマに講座やセミナーで講師を務める。
趣味は昭和の車(旧車)のカタログ収集と美味しいものを食べること。
名古屋市在住。
H.P http://kamiuse.com/

本の帯には「定年よ、大志を抱こう!」。本文にはダジャレやオヤジギャグが満載。難しくなりがちなテーマも楽しく痛快な語り口で綴られている。


vol.193 ボーダーレス社会をめざして vol.52

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「くん」「ちゃん」って虐待?

 15年ほど前から、岐阜のスポーツクラブに通っています。がんになってからは、時間があれば優先的にスポーツクラブに行くようにしています。先日、そのクラブで「ちょっと聞いていいですか?」と声をかけられました。話を聞くと一升餅の話でした。孫が出来て娘の所に紅白の一升餅を送ったのだけれど、小さな子にお餅を背負わせる行為そのものが虐待にあたるかしら? 送ったのをすごく後悔しているとのことでした。
 一升餅とは、一歳の誕生日を祝い、一生食べ物に困らないように、これからの健やかな成長を祈る伝統行事で、風呂敷にお餅を包み斜めに背負わせ歩かせるようなことをするのです。地域によっていろいろあるようですが。私は、「それは虐待にはならないでしょう。紅白のお餅でしょ。そんな気遣いをして下さったお母様に感謝されるでしょう」とお答えしました。
 虐待のつもりなんて毛頭ないと思っている行為も一つ間違えば虐待と言われてしまうことがあります。それが、障がいのある人の呼び方です。○○くん、○○ちゃんなどの呼び方は虐待にあたるかもしれないと最近は言われ始めました。ちなみに息子に「ヘルパーさんにどう呼んで欲しい? あっちゃん・伊藤さん・淳司さん?」と聞きますと「淳司さんです」「あっちゃんではだめ?」「僕は41歳です。淳司さんがいいです」とはっきり答えました。何度聞いても変わりませんでした。41歳なのでと言われた時には、ギクリとしました。ちゃんと分かっているのだなとちょっとびっくりしました。
 平成24年に障害者虐待防止法ができ、当たり前のことなのですが、障がいのある方の気持ちを汲みとろうと多くの人が考えています。ご本人が嫌がっていなくても、「くん、ちゃん」とよぶことは虐待にあたる場合があります。見下すように○○ちゃんと呼んだり、○○くんは、明らかに年少者に対する呼称になり気をつけなければいけません。年齢にふさわしくない呼び方はどうなんでしょう?
 幸いにも息子からは、明確な回答を得られ、年齢相応に成長してきていることに正直感心するより、甘く見ていた自分を反省しました。しっかりと大人になっていました。呼称は、人格・人間関係をも示す大切なものであり、ご本人が一人の大人であり、それにふさわしい対応がされるようにと考慮する必要があります。ご本人、ご家族がどう呼んで欲しいのか教えていただき、周囲から見ても適切な呼び方、ご本人を尊重している呼び方を考えなくてはいけないと思います。


vol.193 ここいく日記 はじめの10歩!

未だグラグラ揺れる日々ですが…

 私と「いのちの授業」の出逢い、それは私が高齢出産のワンオペ育児で子育てに辛さを感じていた時でした。
「歳をとってからの子どもだから、甘やかして、我がままね」と後ろ指を指されないようにと必要以上に張り詰めていた時、「頑張らなくても大丈夫だよ」と優しく語りかけてくれたここいくのメンバー。
 その後、メンバー募集のチラシを見た時は、後先考えず「入りたいです」と言葉を発していました。少しずつ授業に参加するうちに、我が子の通う保育所に「いのちの授業」を届けたい。娘と同じ時期を過ごす子どもたちが誰にも被害者にも加害者にもなって欲しくない。生まれてきてくれただけで素晴らしいことを知って欲しいと思い、役員になり企画をしました。

 授業当日は、私は「セックスの絵本」を担当しました。
いつもより緊張しましたが、子どもの笑顔と真剣な眼差しに、子どもたちの吸収する力のすごさを感じました。
精子と卵子の出逢い、みんなはラッキーボーイ・ラッキーガールと伝えると、子どもたちの笑顔はキラキラ。こんな宝物がもらえる「いのちの授業」
 各務原市でもっと授業ができるようになるといいなぁ~といつも感じています。

 そんな娘も小4になり思春期のドアを開けようとしています。心と体の変化する時期。友達との関りに悩んだり、いつ来るか分からない月経に不安を感じています。思春期がやってくるぞと思うと、ドキドキ、ハラハラしますが、少し楽しみ。娘が生まれた頃の気を張っていた私とは違い「大丈夫」が心のどこかにあります。

 最近は「ここいく」の活動になかなか参加できず、辞めようかと何度も悩みました。でも「できる範囲でいいよ」と言ってもらい続けています。
いつか、自分の感じていることをつなげていける私になれたらと思います。

 「思春期はすぐに来るよ」と言われても、遠い未来だと思っていましたが、10年はあっという間でした。まだまだ甘えてくる我が子も、いつか離れていく。当たり前のことなのに、ずっと甘えが続く気がしていた。私自身もまだ「今」にグラグラ揺れる日々ですが、ここいくの先輩ママの姿を追いかけていきます。

 小さな人と過ごしているママたちに「いのちの授業」に出逢って欲しい。そして1日1日を大切にして欲しいと思います。

担当:ここいくメンバー・前畑かおるでした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)