投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.198 菌ちゃん野菜応援団 vol.19

冬野菜の準備

 暑かった夏もお彼岸を過ぎたら一気に秋の気配。暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものですね。
 畑仕事は、というとこの時期は冬野菜の準備でてんやわんや。人参の種、白菜の種、ブロッコリー、水菜、ビーツ、大根などなどをどんどんまいていきます。まいても昼間は暑いので水やりを2日忘れるとせっかく出た芽が枯れてしまったり、そもそも芽がでなかったり。もちろん、虫の被害もどうしてもこの時期はあります。失敗の連続。そのくせ草の勢いはまだまだ衰えない。めげそうになりますね。
 それでも!!まだ頑張ってくれてる秋ナス、空芯菜、オクラ、モロヘイヤ等々。美味しい野菜が食卓に上がってお腹いっぱい食べられると、やっぱり明日も畑に行こう、となってしまいます。この夏はほとんど野菜を買わずに済みましたが、なんと2年以上続いた息子のアトピーがかなり落ち着いてきて。オーガニック野菜のすごいところは無農薬とかそう言うところだけじゃない。多くの微生物を内包していて、腸内細菌と共存していってくれて腸内フローラを豊かにしてくれることだ、とは畑の師匠のお話。
 なるほどなぁ、と思うのです。家事に育児に畑仕事に。豊かというより追いまくられて休む暇もないけれど、明日も頑張ろうかな。

今回は干し芋。
秋の風味を堪能してくださいね。ねっとりした噛み応えと自然な甘み、植物繊維を多く含み、ビタミンB1、ビタミンC、
カリウムが豊富で栄養面でも優れもの。

材料 さつまいも好きなだけ 
 乾燥した天気の日2〜3日

作り方
1)さつまいもを炊飯釜に入れ、
水を3合目盛りくらいまで入れ
たら、玄米モードでスイッチON
 少量作る場合は、途中で蓋を開けて、竹串をさし、良さそうなら炊飯ストップしてください。
2)熱いうちにキッチンペーパーや布巾を使いながらさつまいもの皮をむく。竹串で縦にすーっと筋を入れると皮をむきやすいです。
3)あら熱がとれたら、水で湿らせた包丁で5ミリ程度の厚さに切る。(お好みの厚さでOK)
4)ザルや網にさつまいもを並べて1日1回くらい表裏を返しながら天日干しする。好みのかたさになったら完成♪
やわらかねっとりは2日、かためは3〜5日干しが目安です。
食べる時に、トースターやレンジで軽くあたためると、香りとやわらかさがUPします。お好みでどうぞ☆


vol.198 ここいく日記 はじめの15歩!

〜愛を叫ぶ〜

 今年は新型コロナウイルスの影響で学校等での「いのちの授業」はほぼ中止。こんな時だからこそ、体と心と命の話、包括的性教育を届けたいと思っても、呼んでもらえないと実現できません。ならば今年は、学校ではできない「いのちの授業」を実践する年にしたいと考えていました。そんな時、遠方に住む、子どもたちが思春期で「性」に関心があるという知り合いの家族が、たまたま各務原市に来てくれたので、急遽「いのちの授業」を実施しました。
 ここいくの授業プログラムは、年齢に応じて工夫され、いろいろなメニューがあります。その中のひとつ「愛を叫ぶ」というプログラムが私は大好きですが、1人でも親が参加できないお子さんがいる場合は実施しません。定員も10組くらいの親子が理想です。そんな条件があるので学校の授業では、なかなかできないメニューです。
 この日は、お父さんお母さん兄弟姉妹揃っての3家族が参加。いつものように心と体のお話をして、いのちの成り立ちを伝えたあとで「愛を叫ぶ」を実践。前振りもなく、突然の流れに、お父さんもお母さんも戸惑います。用意されたカッコいい言葉ではなく、「いのちの授業」を受けた後の流れで感じた気持ちを、お父さんお母さんから子どもたちに叫んでもらいます。
「優しい○○くんが大好きだよ~」
「いつも、からかってごめんね。でも大好きだよ」
「お母さんを受け止めてくれてありがとう~」
 それぞれの思いを叫ぶお父さんお母さんに駆け寄り抱きしめてもらう子どもたち。思わず溢れる親子の涙。その涙にもらい泣きする私たち。愛が溢れる瞬間を参加者全員で共有できた幸せな時間でした。
 こんな風に「愛を叫ぶ」ことができる家庭はきっと大丈夫。そんなに心配ないのかなぁ~と思います。それくらい「愛」の力は大きいし、人は愛が原点なのだと思っています。

 「いのちの授業」で学校に行くと様々な子どもたちと出会います。一人一人違って当たり前ということ、「あなたはあなたのままでいい。生まれてきてくれてありがとう」という思いをどれだけ伝えても、それを実感できる場所がない子どもたちは、苦しくて辛い。そんな苦しんいる子どもたちにも出会ってきました。
「あの親が、そんなこと思う訳がない。」
「自分には親がいないから、よく分からない。でも親っていいなと思いました。」
 そんな感想をもらった時、親じゃなくてもいい、誰でもいい、ありのままを受け止めてくれる人たちがいる、ということが大事だと、「ここいく」の拠点でもある「あいのね」が誕生しました。あなたはあなたのままで「あ~いいのね」と感じられる愛の根っこを育む「あいのね」はそんな地域の居場所です。ここに来る子どもたちに、ここいくのメンバーが心で愛を叫んでいます。
 誰もが幸せになるために生まれてきました。
 生い立ちは変えられない。でも未来は変えられます。
そして、自分の気持ち次第でその出来事の意味も変わってくる。
私自身もたくさんの愛をもらって幸せに生きていることを「いのちの授業」を通して出逢った人たちに伝えていきたいです。

今回、「いのちの授業」を受けてみたいという声と、届けたいという思いが重なれば、こんなふうに小さな集まりでも実現できるという新たな可能性を感じました。授業に興味のある方はお気軽にお声かけ下さい!(費用は要相談)

担当:ここいくメンバー・古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.198 トンガからこんにちは! 連載-4

トンガ語でラグビーのことを’Akapulu(アカプル)と言います。トンガ人は’Akapuluが大好きです!
夕方になると裸足になってラグビーをする子供がたくさんいます。男の子も、女の子も関係ありません。それが、トンガ人がラグビーで強い理由の一つかと思います。

 国民10万人中でラグビー選手約6万人!その内、登録選手(プロ・アマ)約2万4千人いるそうです。ちなみに、日本は人口1億2千万人中選手が約30万人、登録選手は約10万人いるそうです。(WORLD ROGBY 2018)

人口の割に選手率が高く、競争率が低い割に一人ひとりが強い!!トンガナショナルチームも強いけれど、その他にオーストラリア、ニュージーランド、フィジー 、そして日本でもトンガ人が代表選手に選ばれています。一言で、ラグビー王国としか言いようがありません。では、先進国のような最新のトレーニングを小さな頃から受けられるわけではない環境で、どのように強くなっていくのでしょう!?
私は、なんと言っても、その「ラグビー愛」であると思います。

 そう、去年の11月2日に大西洋開催の大会で、久しぶりにオーストラリアチームに勝利したトンガは、11月15日を祝日にして、翌日の土曜日に1日かけてパレード、トークイベント行いました。各選手が出身の島を訪れ挨拶してくれました。もちろん、優勝してませんよ。ワールドカップで優勝したら、どうなっちゃうんでしょうね!?

 みんなトンガカラーの赤い服を身に纏い、早い者勝ちで選手の近くに行って写真は撮るしサインはもらうし、プレゼントもしてました。このプレゼントがすごくて、島のおばちゃん、総出で頑張ったんだろうなぁと言う事が簡単に想像できるほどの大きな手編マット(トンガではお嫁入り道具にするくらいのもの!!しかも名前入りの特注!!)まで用意されてました。トンガのいいところは、選手との距離がとっても近い事で、選手から一般人へのサービスもとてもオープンなのですが、試合を盛り上げてくれた選手への労いも素晴らしいなと思いました。選手が乗る車がトラックに椅子をのせただけってことがまた、トンガらしかったです。

 遺伝的に骨格がしっかりしているし、「大きい身体がかっこいい」という美意識から、食べ物も芋類を中心によく食べるので、ますます大きくなります。そして、自給率の高い彼らは、小さな子供の頃から、日々の暮らしの中で、畑仕事も、動物の世話も家族一緒に行っています。この習慣がどれだけ影響しているか、測りしれません。

想像してみてください!マーケットで売っているのは、20kg、30kgもする芋類ばかり。1kgに満たないトマトやきゅうりではないんです。この芋類を母親に「運んで」と言われれば、まだまだほっそりした子供でも運んでしまいます。30kgの米袋をどれだけの日本人が運べるでしょう。極め付けは、ココナッツ!ココナッツを収穫して投げる時の姿は、まさしくラグビーです。ラグビーボールの何倍の重さもあるようなココナッツをいとも軽々とホイホイ投げます。朝にはそのココナッツを大きな鉈型ナイフで割って、中身を削って豚にあげます。5歳くらいになれば、どこにでもついていくので、子供と言っても私の足よりもよっぽど分厚い足をしています。

 もう、ラグビーをやるために生まれてきたのか、トンガ人の動きがラグビーと言うスポーツになったのか、分からないくらい!!
 そんなトンガ人のラグビー観戦は、もちろんグループ観戦です。スポーツバーはもちろんないので、テレビのある家にわらわらと集まり、20ー30人で真剣に観戦!お酒を飲むわけでもなく、何かを食べるわけでもなく。大人数で観戦する楽しさもさることながら、テレビもバヘバヘ(シェア)でeco friendly !! それが無意識に、当たり前に、習慣的にできるトンガ人、かっこいいでしょ!?


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘 密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有す る健康大国になることを願って日々奮闘中。


vol.198 プレゼントコーナー

1- あなたが今年チャレンジしたことor来年チャレンジしたいことは?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※A、Bは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係り
までお送りください。
〆切:11月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.ゆりかごカレンダー2021
  ゆりかご助産院様より…3名様

毎年好評の月と暮らすカレンダー。月の満ち欠けと大潮の表記、月の出入り時間と潮の干満時間表示が便利。旧暦・六曜・二十四節気・十二支入り。月の情報満載です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」
    加藤麻美様より…3名様

ゆったりとした時の流れを感じながら生活する、静かで穏やかな集落、種蔵に惹かれて通い撮り続けた加藤さんの温かい視線を感じる写真集です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


C. CINEX 映画招待券
シネックス様より…ペア3組様

主人公と一緒に見たり考えたり笑ったり…。大きな画面に集中して観ていると、作品が伝えたいことをより感じやすい気がします。写真は「もったいないキッチン」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


D.アフタヌーンJazzライブご招待
  アートギャラリー是様より…1名様

久々のライブです。臨場感、音の響き、演奏者とのふれあい…。そんなライブの楽しみをたまにはいかが?今回は、ピアノとドラムのデュオです。大人な時間をゆったりとどうぞ。
12/19(sat)14:00〜16:00
アートギャラリー是(関市武芸川小知野489)





vol.197 あなたは差別したこと、ある?ない? 

差別とは何でしょう

 差別とは何でしょうか。ある人は「これは、差別だ」といいますが、別の人は「差別で はなくて、区別だ」といって、 意見が分かれることがあります。 この差別と区別の 違いの背景には、 区別は「しても許されるもの」、差別は「してはいけないもの」というとらえ方があります。 では、1つの行為が、社会的にみて許されるのか、許されないのか。これらは、文化・宗教、価値観などによって大きく違います。また、時代によっても大きく変化しています。 長いスパンで見れば、今の時代に生きる人が差別ではない、ととらえていることも20年、30年後には、差別だととらえられることが起こるかもしれません。

 考え方は、社会情勢によっても揺れています。今は、「ブラック ライブズ マター」で世界中でデモ行進が繰り広げられています。しかし、差別のとらえ方に意見の一致がみられないからといって、議論することを放り出してしまっては、せっかくのチャンスを逃してしまいます。意見の食い違いの中に、「見えてくるもの」「気づくこと」がたくさんあると思うから。
 異なっ意見に対しても合理的だと考えて「納得がいく」とみるのか、「納得がいかない」となのか、さまざまな意見の食い違いの中に、自分が気づいていない差別感情が現れてくるかもしれません 。 意見の違いの背景には、それぞれどんな見方をしているのかが浮かび上がってきま す。自分がどのような価値観を大事にしているのか、気づくようにもなります。

差別する側・差別される側

 私の友人にアフリカ系アメリカ人の女性がいました。初来日で、小牧空港に降り立った時に彼女は「日本は第二の故郷」とインスピレーションを得て、その後なんども来日しては我が家にホームステイしていました。家族が寝静まった後、お茶を飲みながらいろいろなことを話しました。
 自分が黒人であることで、教育の差別を受けたことが悔しかったこと。自分の肌を消しゴムで何度もこすり白い肌になろうとしたこと。平和行進でアメリカ南部に入る時ドキドキしたこと、そして石を投げられたこと、などなど。そんな話に耳を傾けながら、人種差別について当事者から聞く言葉は私の胸に深く入り込みました。日本や自身のルーツである西アフリカ・ナイジェリアの文化の話になった時、「なんで日本に藍染があるのか」と聞かれました。藍染はナイジェリア独自のものだと思っていたそう。逆に私は日本独自の文化だと思っていた。それを皮切りに、国境を越えた子育ての話、親の気持ち、なども交えて話しました。話せば話すほど知らないことに気づき、そして知ることに新鮮さを感じ、夜がふけることも度々ありました。

 「肌の色、文化、言語が違ってもみんなの想いはきっと同じよね。」彼女が帰国した後、そんな思いを手紙に書いてエアメールで送りました。しばらくすると、全く同じ内容の手紙が彼女からも届いたのです。ほぼ同時に手紙が空を交差してお互いの手元に届いた!シンクロした感じです。

 それを記念して、彼女の友人がデザインしてできたのが、このTシャツです。にらめっこの7周年記念に出会ったアリーン・ロビンソン。記憶にある方もいらっしゃると思います。
 彼女は49歳の時、腎臓がんで亡くなりました。お見舞いに渡米した時、街を歩いていたらすれ違いざまに白人ふたりに「イエロー」と蔑むように吐き捨てるように言われたことはいまだに忘れることができません。「人種」による差別感を強く感じた一瞬でした。この時から、私は「人種差別」について心のどこかでいつも意識するようになりました。

差別・偏見
日常に潜んでいるかも・・・

 単一民族で島国だからと勝手な理由で自分には関係ないように思っていた人種差別。・・・でも今はグローバル化が進み、日本でも様々な国の人たちが入り混ざって暮らしています。
 「差別」という言葉を調べてみると、こんなにもたくさんの種類がありました。
・ おたく差別・学歴差別・間接差別(一見性別が関係ないように見えるルールや取り扱いでも、運用した結果どちらかの性別が不利益になってしまう扱いのこと)・逆差別・言語差別・種差別・宗教差別・障害者差別・職業差別・人種差別・身長差別・性差別・性風俗産業に対する差別・年齢差別・部落差別・ルッキズム(Lookism容姿による差別)・エイジズム(年齢による差別)・セクシズム(性別による差別)・・・

そして新たに、コロナウイルスとともに広がる差別、偏見。

さて、果たして私(あなた)の中に差別感情があるかないか。
 そもそも差別感情とは、他者に対する否定的感情(不快・嫌悪・軽蔑・恐怖)と、その裏返しとしての自己に対する肯定的感情(誇り・自尊心・帰属意識・向上心)、そして「誠実性」の危うさの中で揺れ動く感情…そのあたりを、じっくりと考えてみたいと思います。


vol.197 日常に潜む差別

日常に潜む差別

 障害について考えてみたいと思います。「にらめっこ」の活動の一つに「風の芸術村」という美術教室があります。ここに通う人たちは、みんな素敵な特性を持っています。
 私は、すべての人に凸凹があると思っています。得手不得手、と言い換えてもいいかもしれません。障害者という言葉は使いたくないな、そんなことを思っていたある日、「優生思想について」の記事を読みました。以下はNHKが行った世論調査の結果です。

 あなたは、今の日本の社会に障害のある人への差別や偏見があると思いますか?
▽「かなりある」-18%、▽「ある程度ある」-60%、▽「あまりない」-15%、▽「まったくない」-2%と、「ある」と答えた人が77%に上りました。
自分自身に障害のある人への差別や偏見があると思うか?
▽「かなりある」が3%、▽「ある程度ある」が22%、▽「あまりない」が46%、▽「まったくない」が22%で、「ある」と答えた人は25%でした。
障害者への差別や偏見について聞いたところ「社会にある」と答えた人が80%近くに上りました。しかし、自分自身に問われると25%まで低下しています。

 アンケート結果では「差別・偏見が社会にはあるが、自分にはない」と考えている人の方が多いと言えるように思います。しかし、私たちは本当に障害者に対する差別・偏見の意識を持っていないと言えるのでしょうか。例えば、出生前診断のとらえ方はどうでしょう。優生思想に関わりが深いとされている「出生前診断」における判断は、社会的な線引きは決まっておらずグレーゾーンではないかと思います。(下の表参考)ですが、優生思想が極端になっていくと、「差別」的な思想・行動につながりかねないことは事実です。

理解広げ、社会を変えていく必要がある

 障害者の施策に詳しい浦和大学の河東田博特任教授は、社会に差別があるという回答が8割近くに上ったことについて「障害のある人にとって生きづらく大変だと思う。障害や福祉の政策立案の過程に当事者の方、特に知的障害の方がほとんど参加できていない現状を考えると、私たちは本当の意味で障害のある人と向き合いながら物事を考え整理をしているのか疑わしくなる。共に生きることを浸透させ理解を広げていき、少しずつ社会を変えていく必要がある」と指摘しています。

一方、自分自身に「差別や偏見がある」と4人に1人が答えたことについて、地域で生きる重度の知的障害者の姿を追った映画を製作した宍戸大裕監督は「差別や偏見を持ってしまう自分というのを、まずは大事にしていいと思う。差別をしていたことに気付いていく過程があった先に、差別してしまうよね、でも、それはなぜだろうねと、繰り返し問い直していく。そして差別を解消していくため、障害のある人と日常的に出会っていくことが必要だ」と話しています。

私たちはどうあるべきか

 「内なる優生思想」という言葉。やまゆり園事件の後に多く語られた言葉の一つです。NHKの調査が明らかにしているのは、差別や偏見の問題を身近にある “自分たちの問題”としてとらえようとしない考え方ではないでしょうか。まだ、私たちの社会はやまゆり園事件から十分に学べていないのではないかと思います。差別をなくそう、偏見をなくそう、優生思想をなくそうではなく、私たちはどうやったらみんなで 同じ地域社会で生きていけるかという「共生」を考えないといけないと思います。
 先日、嘱託殺人というセンセーショナルなニュースが飛び込んできました。ALS患者がSNSを通じて知り合った医師に投薬を依頼し死亡したという事件です。
 自らもALSの日本ALS協会副会長のコメントには、「生きることが当たり前の社会で、私たちは常に生と死の間におかれています。誤解して欲しくないのは、彼女の意思表明は、生きたいと思ったからこそのものであること、そして事実生きていたということです。安楽死という希望は彼女が作り出したものではなく、社会が作り出した差別の中で生み出された彼女の叫びなのだとわたしは思います。私も彼女も同じです。
 ちゃんと私たちが直面している苦悩に、現実に目を向けてください。彼女を死に追いやった医者を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩は、尊厳死や安楽死という形では解決できません。そしてその医師を擁護する医師や医療者、社会があるとするなら、その社会自体が否定されるべきです」。

 患者本人や支援する人たちからは、事件を機に「死ぬ権利」に注目が集まり、「生きる権利」がないがしろにされるのではないかとの声が出ている。生命の尊厳を共有し、懸念を払拭することが、ALSに限らず、様々な障害のある人と共に生きる社会を築くことに通じる。(朝日新聞社説より抜粋)

そしてコロナ禍での差別

 「ウイルスそのものは差別をしません。私たちの過度に恐れ、遠ざけようとする心が、差別の根につながっていくこと。そして、その大人の姿をいま子どもたちも見ているんだということを一人ひとりが認識しておく必要があります」。臨床心理士の森光玲雄さんは大人の行動を見ている子どものためにも差別の根を摘もうと語っています。

最後に“病気を治そう”の藤原ひろのぶさんの言葉をご紹介します。

《ごめんなさいと言うな、言わせるな》

コロナに罹って謝る人がいる
コロナに罹って謝れと言う人がいる

残念ながら風邪に効く薬はない
自らの免疫力でウイルスに負けない身体づくりを作るしかないのに、救世主が現れるのを待望するような報道が毎日のようにされている

『本日の感染者は3万人で死者は50人です』

こんな報道がされれば多くの人はパニックを起こすだろうけど、
上の数字は毎年のインフルエンザの現実

誰かに謝っただろうか?謝れと誰かを責めただろうか?

簡単に頭を下げている人は考えた方がいい
頭を下げれば下げるほど、感染者=悪の図式ができ上がる

コロナに罹った人を責めている人は考えた方がいい
責めているその相手は、明日はあなたやあなたの大切な人かもしれない

未開の地で静かに暮らしていたウイルスを目覚めさせたのは僕たちだ

意識を向ける先を変えれば、見える景色も大きく変わる

 差別や偏見の問題は「私たち」の問題であり、私たちの日常にあるとても身近な問題です。差別は私たちの当たり前の考え方の延長にあるのではないでしょうか。



vol.197 ぎむきょうるーむ 熱中症対策

「熱中症」の症状とは?

熱中症は、高温多湿な環境に、
私たちの身体が適応できないことで生じる様々な症状の総称です。以下のような症状が出たら、熱中症にかかっている危険性があります。
・めまいや顔のほてり
・筋肉痛や筋肉のけいれん
・体のだるさや吐き気
・汗のかきかたがおかしい
・呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
・体温が高い、皮ふの異常
・水分補給ができない

 お盆休み明けは特に熱中症に注意が必要なタイミング

 これから先、「お盆休み明け」は熱中症患者が増えやすい要注意タイミングです。休み前は体が暑さに慣れていますが、休みの間に快適な環境で過ごす時間が増えることで、体が涼しさに慣れてしまうのが主な原因です。休日の生活リズムから平日モードへの変化も相まって、夏バテや休み中の疲れが溜まりやすい時期であることも影響します。例年、お盆休み明けはまだまだ残暑が厳しい時期なので、注意が必要です。
 熱中症にかからないようにするために、以下の対策をぜひ実践してみてください。

対策1 シーズンを通して、暑さに負けない体づくり

 熱中症を予防するためには、暑さに負けない体作りが大切です。気温が上がり始める初夏から、日常的に適度な運動をおこない、適切な食事、十分な睡眠をとるようにしましょう。

対策2 日々の生活の中で、暑さに対する工夫をしよう

 暑さは日々の生活の中の工夫や心がけでやわらげることができます。適度な空調で室内の温度を快適に保ったり、衣服を工夫することで、熱中症の危険を避けやすくなります。また、日よけをして直射日光を避けましょう。自分のいる環境の熱中症危険度を常に気にする習慣をつけることも重要です。

対策3 特に注意が必要なシーンや場所で、暑さから身を守るアクションを

 炎天下でのスポーツや、空調設備の整っていない環境での作業時などでは、熱中症の危険からしっかりと身を守るアクションをとることが必要です。適度な水分と塩分の補給をおこない、こまめに休憩をとるようにしましょう。

知っておきたい 熱中症の応急処置

 もし熱中症かな?と思うサインがあったときは、すぐに応急処置を行い、場合によっては救急車を呼ぶなどして医療機関に連れて行きましょう。

熱中症の応急処置 大切な3つのポイント

(1)涼しい場所へ移動する
 まずはクーラーが効いた室内や車内に移動します。屋外では、風通りのよい日かげに移動し安静にしましょう。
(2)衣服を脱がし、体を冷やして体温を下げる
 衣服をゆるめて、体の熱を放出しましょう。氷枕や保冷剤で両側の首筋やわき、足の付け根などを冷やします。皮ふに水をかけて、うちわや扇子(なければタオルや厚紙)などであおぐことでも体を冷やすことができます。
(3)塩分や水分を補給します
 できれば水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクなどを飲ませます。おう吐の症状が出ていたり意識がない場合は、誤って水分が気道に入る危険性があるので、むりやり水分を飲ませることはやめましょう。
 救急車を待っているあいだにも、現場で応急処置をすることで症状の悪化を防ぐことができます。熱中症は命に関わる危険な症状です。甘く判断してはいけません。

よりパーソナルな診断ができる
「熱中症セルフチェック」
 適度な水分・塩分の補給やこまめな休憩といっても、具体的にどれくらいの量や時間なのか分からない、という方も多いと思います。そんな方のために、「熱中症ゼロへ」は、年代・活動内容・現在いる場所の環境に応じた「自分だけ」の熱中症情報を提供する「熱中症セルフチェック」をウェブページで公開しています。無料で簡単に診断できますので、ぜひご活用ください。

熱中症セルフチェック

 コロナ禍で、夏休みが短縮となり、暑い時間帯の登下校、授業中の換気、マスクの着用など、熱中症がとても気になります。各務原市では、教育委員会が「冷感タオル」、「塩タブレット」の配布を決定。アレルギー等で塩タブレットを食べられない場合の代用として「アクアソリタ」(500ml)を熱中症対策として用意しているとのこと。この決定事項をどう受け止めるか。保護者に聞いてみると、「食育の絶好のチャンス!この機会に、丈夫な体を作ることに焦点を当て、学校全体、地域全体で取り組んでほしい」「子どもの意見、保護者の意見をきいて対策を共に考えたい」「熱中症対策として、塩タブレットや冷感タオルを配布してもらっても、体力がなければ乗り切れないから、ここはやはり“体つくり”に取り組むべきでは?その第一歩が食育と思います」「塩タブレット以外の選択肢もほしい。うちの子は梅干しがいいと言っています」などなど。柔軟な対応を望みたいですね。

 コロナ禍で、色々な課題が噴出して、そのつど保護者たちは真剣に話し合いを重ねています。子どもを取り巻く環境は大人の働きかけで大きく変わります。地球温暖化、エネルギー問題、ゴミの問題、教育の問題・・・それらをひも解いていくと、根っこはみんな繋がっていることに気づくことになるでしょう。大きな問題に立ち向かう、とーちゃん、かーちゃんの姿はともてかっこいい!子どもはちゃんと見ています。小さなことでも、変だと思うことに「異議あり!提案あり!」と声を出すことは貴重な情報発信にもなります。そんなことを踏まえつつ、まずはこの夏を乗り切りましょう!


vol.197 5Gを知ろう!

便利•快適を追求すると、同時に
リスクを背負うことにもなる

 私は全国各地でお話会をさせてもらっています。今コロナ禍で、ニュースではほぼ毎日「○○人が感染」と伝えています。一体コロナの何が怖いのでしょう。死ぬこと?それとも感染?
 「人と違うことを選ぶことを怖がる」、「ブレーキのかからない状態になる」。今回の騒ぎでは見えないものに対峙して、みんなが同じ方向を向いている。これは戦前の空気感にとてもよく似ています。私はこのことの方が怖いです。

 さて、今回はリクエストがありました“5G”について少しお話ししたいと思います。5Gとは第5世代移動通信システムのことです。この危険度をお伝えすることは専門家ではないので詳しくお話しできる立場にありませんが、直感的にヤダなと思うわけです。スマホは情報をあらゆる方面から取得できる便利なツールですが、その発信元は巨大なコンピューターです。情報量が多くなればなるほどそれは巨大化します。そして危険度も増します。「オリンピックのために5Gを!」「経済をより活性化するために!」と声だかに喧伝されている5G。その結果、情報量と危険度は100倍から1,000倍にもなります。今でも電波塔から電波が飛んでいるわけですが、山の中など場所によっては届かないエリアもあるので、それを解消するためにあちこちに電波塔を建ててきました。
 5Gは大容量のデータを瞬時にダウンロードできます。周波数が短いので(ミリ波)、アンテナをたくさん作る必要があります。ですから、信号機や電柱、マンホールの中、果てはバス停にまでつけることになり、ほぼ100m間隔に設置されることになります。私たちは、その弊害について、また電磁波、化学物質に弱い人がいることを、もっと知る必要があります。欧米では設置に反対する運動も起きています。
 今となっては、ほとんどの人が手放せなくなっているスマートフォン。命の次に大事!とまでいう人もいる。頼りきっているというか依存してますね。その弊害を今更言っても…と思っていましたが、昨年6月、長野県伊那市の小学4年生のR君と出会って、自分の考えが一変しました。

  彼は電磁波や化学物質にとても過敏な子で、高遠という山の麓で生活しています。化学物質や電磁波に弱く、常にマスクをして自己防衛をしていました。ところが、伊那市はデジタルテクノロジーの最先端を取り入れる市で、小学校では早くから電子黒板とパソコンを設置していました。そんな環境にいると、頭に槍が刺さった感じになるようです。(絵1参照)。さらに、スクールバスに乗ってある場所を通った時、頭の中が真っ暗になって、3日間登校できなくなってしまったのです。(絵2参照)それからはご両親が遠回りして学校の送迎をされています。そんな事情を抱えている彼から、講演後に周りに生えている熊笹をもらいました。R君は「これを持っていると体が楽になるよ」って。

 今は全国がコロナ禍で、授業もまともに受けられない状況になり、オンラインになりそうです。R君のこともあり、「もう黙っているのは無理、なにか行動をしなきゃ」と思い、即署名用紙を作りました。ほとんど効果はありませんが、情報を知ってもらう意味で署名はとても大事なツールです。そうして集めた署名用紙を持って、総務省、環境省に2度提出しました。その答えは、「放射線は低線量だと被曝し体に入りやすいが、5Gは大容量なので皮膚まではいくが、そこから先には入りません」、というとても理解できない内容でした。現実、電磁波の影響を受けて苦しんでいる人たちが署名しているのにもかかわらず、です。5Gは水分に反応すると聞いていますから、人体では腎臓、眼などに反応が起きるのではないか。頭痛、めまい、学習記憶障害、DNAの劣化なども気になります。さらに動植物に影響を与え、その遺伝子にも影響すると私は考えています。

 今後R君のような過敏症は一気に増えるでしょうね。
 このままだと、どんどんアンテナ設置が進行して行きます。電磁波は免疫力や免疫機能が低下するとも言われています。さらに、兵器(藪の中に潜んでいる兵士が頭がふらふらになって出てくるように仕向ける)として開発され、平和という名を借りて化学兵器が農薬にすり替わったように私たちの生活の中に知らないうちに入ってきます。また、5Gとコロナウイルスとの関係も無視できません。
 国策を翻すのは不可能ですが、地方行政にアタックして、「住宅街には設置しないで」と訴えることは必要です。小さなことでも大きな問題につながります。5Gのこの事実、ぜひ知って欲しいと思います。


山田 征(やまだ せい)1938年生まれ。東京都武蔵野市在住。反原発運動、石垣島白保の空港建設撤回運動、食や洗剤、環境、貧困についての問題、フィリピンのスモーキーマウンテンでの取り組みなど、命と直結した課題に対して多岐にわたり活動。隠された真実を知る勉強会「菜の花の会」主宰。


[5G反対]を決議した町議会・市議会

世界では各国の自治体が、5G展開に「反対」の決議をしています。イタリアでは2019年3月、首都ローマ市にある19区のうち12区が、「市による5Gプロジェクトへの反対」を決議。イギリスでは、イングランド南部にあるトトネス町の議会が、「5G展開の一時停止」を決議。同町の住民約8,000人のうち1,600人以上が「5Gの更なる研究」を求めて5G展開に反対する請願書に署名。これを受けて町議会が決議したもの。アメリカでは2018年9月、カリフォルニア州のミルヴァレー市議会が、「住宅地における新たな5G基地局の設置を禁止」した。新設が認められるのは商業地域や公園などのオープンスペースのみ、ただし、商業地域であっても「基地局は450mごとの設置」が義務づけられている。

市町村、都道府県レベルで条例を

「ブリュッセルの人々はモルモットではない」として5Gをストップしているベルギーの首都ブリュッセルのように、日本でも都道府県で「5Gの一時停止」などを決めることは可能です。市民の一人ひとりが5Gの危険性を認識し、署名や陳情などで行政に働きかけ、無視できない数となれば、行政も動かざるを得なくなります。

小学校で子どもに電磁放射線被曝をさせない

日本の政府は、全国に小中学校に通う児童生徒が2023年度までに、一人一台のパソコンを使える環境を整備する方針を決めた。また、「GIGA(ギガ)スクールネットワーク構想」と銘打ち、2020年度から全ての小中学校を結ぶ超高速通信網(通信速度10Gbps<ギガ・ビット毎秒>相当)の整備にも乗り出している。2018年(11月21日〜12月12日)には、総務省が「技術試験事務」における「5G総合実証試験」として、小学校で初めて東京都小金井市立前原小学校で「5Gを活用した動画再生とファイルダウンロードを体験する学習会」を実施した。

「学校では有線LAN」を法律で決める

『もし誰か「5G」の詳細を知ったなら『すぐ逃げなさい』と、PCC(米国の連邦通信委員会)の元委員長トム・ウィーラーが言うほど危険な5G。それに小学生をさらして平気なのが日本政府。フランスでは2015年1月に、公衆への電磁放射線放射を管理する法律で「小学校で無線LANなどの機器は、授業で使う時以外は停止させること」を決めている。アメリカのオレゴン州でも2019年6月、「学校無線LANの有害性を各校に知らせ、有線LANを利用して被曝を最小限にするよう」求める法案を採択している。日本でも、「校内では有線LANを使う」、「無線LANは授業で使う以外は停止」を法律で決めるべきです。

バクテリア・昆虫・鳥がいなくなる

アマゾンの奥地でもヒマラヤの山頂でも携帯電話が繋がるように、5G用の人工衛星を打ち上げ、電磁放射線を放射することは、生態系を壊す行為ではないでしょうか。この貴重な惑星・地球は人間だけのものではなく、あらゆる微生物や植物、動物などが住まうところでもあるはずです。元国連職員のクレア・エドワーズさんによれば、「過去20年間で、電磁放射線によって昆虫の80%がすでに失われている可能性」があるといいます。そしてさらに、「自動運転車、バス、電車の継続的な5Gシグナリングを確保するために、何百万本もの木が伐採されるリスクがある」と。

『5Gから身を守る』より
古庄 弘枝・鳥影社(500円+税)


vol.197 しょうがいをみつめるvol.8

心が動くとき

 10年以上も前のことですが、今でも覚えている出来事があります。

 当時勤めていた学校では毎朝、着替えの時間というのがありました。しかし、担任していたBさんは全然着替えをしません。ただ、ニコニコしながら周りの様子を見ているだけで、教師からの働きかけがなければ、何分でも何時間でもそこに立っているというお子さんでした。初めは教師が手伝って一緒に着替えていましたが、一人で着替えをするスキルがないわけではありませんでしたので、自分でできるようになってほしいと、ついたてを立てて集中できるようにしてみたり、タイマーで着替えの時間を意識できるようにしてみたりとさまざまな方法を試してみました。しかし、まるで効果はありませんでした。
 困った私は、事例研でそのことを大学の恩師に相談をしました。すると恩師は、「Bさんの生活の中に着替えをしたいと思わせる何かがありますか。」と問われました。それを聞きハッとしました。それまでの私はどう着替えをさせるかばかりに意識が向いていて、最も大事なBさんの気持ちは無視していたのです。
 それ以降はBさんの好きなことや楽しめることを意識的に取り入れるようにしました。それでもすぐに着替えをしてくれるようにはなりませんでしたが、今では寮に入り、介助を受けながらも自立して生活を送られています。

 印象的な出来事がもう一つあります。
 Cさんはさまざまなことに不安感を抱きやすく苦手なこともたくさんあるお子さんでした。担任して間もない頃、ちょうど図工の絵の具遊びの時間でした。「図工しないの」と言って教室を出て行ってしまったCさん。追いかけて連れ戻そうとしたら、今度は「嫌ぁ」と言って泣くは暴れるは•••。なぜ嫌なのか問いかけても答えるだけの言葉はもっておらず、理由も分かりません。仕方がないので、教室の外でCさんと並んで座り、「今日は絵の具ペタペタだよ。でも嫌なのか。」などと話しかけながら様子を見守っていました。どの位たったでしょうか、何となく中の様子をチラチラ気にし始めたかと思うと、ついには自分から教室に入り着席。差し出された絵の具で洋服や手、顔を汚しながら目一杯遊ぶことができました。

 私たち教師は、子どもたちに対して「〇〇できるようになってほしい」「〇〇させたい」と思ってしまいがちです。そう思うこと自体はむしろ教師としては大切なことでもあるのですが、その思いが強ければ強いほど、時には子どもたちの心を置き忘れてしまうこともあるのではないかとも思うのです(10年前の私のように)。
 私たち一人一人に心があるように、子どもたち一人一人にも当然心があります。心が動けば自然と為すべきことをしてくれます。しかし、障がいのある子たちはその障がいゆえ、心が相手に伝わりにくいことがあります。だからこそ、私たち教師は彼らの心に人一倍敏感でなくてはならないと思うのです。
 その子の『心が動くポイント』って何だろうと考えられること、その子の『心が動くタイミング』を粘り強く待ち、適切なタイミングで支援できることが、教師の腕の見せ所なんだと、私は考えています。

 先述の恩師の講演を聞いた時のこと。「学校の先生たちは担任する1〜2年、長くても学校生活の12年間の子どもの姿や成長しかイメージできていないことが多く、また、その中で結果を出そうと焦っている。しかし、子どもの人生は学校を卒業してからの方が長く、その後の成長は目を見張るものがある。」それを聞いて、またしてもハッとさせられました。子どもたちの長い人生の成長を信じ、じっくりと目の前の子どもの心と向き合っていける教師でありたいと思います。  S.I


vol.197  niramekkoGallery「海の生き物」

タイトル「海の生き物」

作者:小池 蒼空

魚とイカがサメから逃げてる怖がっている

蒼い空と書いて、「そら」と読みます。そら君はよく犬を描きます。小池家が飼っている「ノン」ちゃん、2歳のシェットランド・シープドッグです。そのほか、季節感たっぷりの絵を描きます。そんな中で珍しいのが「魚」の絵。しかも、魚とイカがみんな上を向いて一斉に泳いでいます。とっても勢いのある絵だなぁと思って、そら君にタイトルを聞きました。すると、なんとサメに追いかけられて逃げている「海の生き物」だとか。しかも怖がっている魚とイカなんだって。この絵は、そら君の表現力にそら君の想像力がマッチした傑作です。絵って面白いですね。


vol.197 人生これから!

「やってみた」シリーズ 第3弾

ボタニカルアート入門してみた! 太田 豊志さん(60代)

 太田さんがボタニカルアートを始めたのは今年2月のこと。各務原市のサークル発表の会場でボタニカルアートの展示作品が目に留まった。「ああいいなあ、やってみたいなぁ」。その何日か後、新聞でボタニカルアートの通信講座の広告を発見。ハーモニカのサークル、料理教室、家庭菜園など、多趣味で忙しい日々だが、通信講座なら隙間時間でできると早々に申込んだ。昔から絵画や美術が好きで、以前は版画や油絵も描いていた太田さんだが、ボタニカルアートをいざ始めてみたら、形のとり方、葉のふくらみや葉脈の書き方、花びらの重なる微妙な色具合、色の重ね方やぼかし方…。難しいことばかり。

 ボタニカルアートは植物をデフォルメしたり色を変えるのはNGで、忠実に描かなくてはいけない。「僕は元来がせっかちで早とちり、キッチリしたことが苦手な性格。なのに、こういうのに惹かれるのは不思議だねえ。でも、一枚描き終えたときは嬉しいね」
 難しくて筆がなかなか進まない時は無理して描き上げず、日にちを少し空けて描いた方がうまくいく。自分に合ったスタイルも少しずつわかってきた。教材や身近な植物を描いては送り、返ってきた添削・講評されたものを見るのも楽しい。「どういうところに気をつけないといけないとか教えてくれるでしょ、そしたら、よし次はそこを気をつけて描こうってね」。時にはパソコンでyoutubeの動画を参考にするなどし、少しずつ自分の力を積み上げてゆくことも楽しい。
 当面の目標は来年の春まで講座を無事やり通し、終了証書を受け取ること。「でも、講座終わっても描き続けると思うけどね」その頃には今は未だ難しくて手を出せずにいる薔薇や紫陽花も、太田さんはきっと作品に仕上げていることだろう。

愛車の軽トラには自作の イラストがキラリと光る

 好奇心おう盛な太田さん、なんでも挑戦して楽しむ姿はまさしく「人生まだまだこれから!」。

※ボタニカルアート:「Botanical」は植物学の、ARTは美術(画)と言う意味。植物のありのままの姿を植物学的な見地から 何の誇張もまじえずに、正確、細密に描きあらわしながら、芸術性を併せ持った絵画。近代科学が発達する前のヨーロッパで本草学(薬物を研究する学問)で薬のほとんどが植物だったため、正確に描写された植物図が求められたのがボタニカルアートが生まれ発達した背景にある。

 あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!


えんぴつカフェ<自分の葬儀、どうしたい?>

自分の葬儀は「残されたものが好きにやればいい、任せる派」と、「自分らしい葬儀を望む派」と分かれました。2回にわたって話しあった<自分の葬儀>それぞれの思いを拾ってみました。

6月20日(参加者12名)
・ 自分が亡くなった時に、家族が困らないように、必要なことはノートに書いてあるし、葬儀の費用のためにと生命保険にも入っています。葬儀に関しては残された家族がいいようにやってくれると思っているので、何も心配していません。
・ 私も自分の葬儀は残った家族が好きなようにやればいいと思う。先日印象に残った葬儀に出席しました。簡素で小さな式でしたが、バイオリン奏者が「糸」という曲を演奏し、見送りました。彼女らしい式で、それまで本人が家族とどう向き合ってきたか、どう接してきたのか、そこが問われると思いました。
・ 今、親の墓じまいを思案中です。私たちは親の墓の面倒は見ても子どもには期待できない世代かなと思う。自分のお骨もどこかに撒いてもらってもいいな、と思っています。今は余分なものは持たないように気をつけながら、日々を楽しく過ごしたいと思っています。
・ うちにもお墓はあるけど、どうにかなると思っています。ただ、自分の遺影は自分で選んでおきたいな、と。家族に任せるといいのを選ばなさそう。
・ 私の住む地域では昔からお墓がありません。お骨は京都の本山に収めて終わり。なのでお墓の管理や墓じまいとかそういう心配はないんです。

7月16日(参加者13名)
・葬儀会社を始めて18年目、お客さんの想いを形にしたいと思いながら仕事をしています。
・印象に残るのは嫁の葬儀。家族だけで行ないましたが、棺に入れませんでした。葬儀の常識、と言われるけど、出来る範囲があるはず。亡くなった方に「こうしてあげたい」とした事は、残された家族のその後の人生に大きく関わって来ます。豊かな人生を送ってほしいです。
・私は今まで3回喪主を務めました。2、3回目は自分でプロデュースし、値段も抑えました。自分の時は葬儀はしても、49日や一周忌などその後はなにもしたくないとお寺さんに伝えて了承もいただいてます。
・先日老衰でなくなった方のお通夜に行きました。枯れるように亡くなって、最後はとても細かった方なのに遺影はとてもハンサムでいいお写真でした。聞けば、以前叙勲を受けて東京に行かれたときご夫婦で撮ったものだそう。奥さんが亡くなった時にもその時の写真を使う約束で、そうすればあの世でわかるからって。すてきなご夫婦でした。
・直送ということも選択肢としてあるんだけど、本当に直送でいいのか、ということ。亡くなった方をキチンと送ってあげなかったという気持ちは遺族のその後の人生にずっと尾を引きます。お金だけが問題なら、何とかやりようがあるのでは、と思います。

えんぴつカフェは毎月第3木曜日 13:30-15:30
にらめっこ編集室にて。



vol.197 えんぴつカフェ

自分らしく生きる!

人生これから!は定期的にえんぴつカフェを開催しています。ライフデザインノート『ゼロの昇天』をどんどん書き込んでいきます。

次回は…2020年9月17日(木)13:30〜15:30

参加費500円(お茶とお菓子付き)
場所:ミニコミ紙「にらめっこ」編集室
 各務原市蘇原新栄町3−15

9月のテーマは「お墓、どうする?どうしたい?」

葬儀と同時に発生する「お墓」について、皆さんはどう思っているのか、その思いを共有し、自分の想いをノートに書き込みます。
(コロナウィルスの収束を祈りつつ、感染拡大防止に最大限の努力を惜しまず取り組みます。9月初旬に開催の可否を判断させていただきます)

「もしもの時の写真撮影会」を実施します。11月吉日。撮影場所は“学びの森”(雨天図書館展示室Bの予定)参加したい人、NPO「人生これから!」までご連絡ください。詳しくは次号で!

えんぴつ・カフェとは・・・
毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお菓子をつまみながら、持ち寄った課題をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、どう生きるかを念頭に置いて書き込んでいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージが湧いてきます。そんなカフェです。

主催:NPO「人生これから!」
問い合わせ 090-5638-7044(田辺)
      090-7854-4561(三上)


vol.197 熱中人 細野 達矢さん

誰もが幸せに暮らせる日々を願って
フィリピンの子どもたちの支援活動を続ける

細野 達矢(ほその たつや)さん

 「TTY’s little help」。TTYとは達矢、自分の名をさす。その活動名が表すように、小さな支援活動を続ける細野さん。
 2016年に語学留学で初めてフィリピンセブ島を訪れた。そこで目にした、ストリートチルドレン、スラム街やゴミの山で生活する子どもたちの姿は衝撃だった。その衝撃はやがて疑問に変わってゆく。「これほどまでに貧困なのに、幸せそうな、このキラキラ輝く瞳はどこから来るのだろう?」
 方や日本は、経済的、物質的には豊かな人が多いのに、人々が感じる幸福度が低いといわれ、自殺者も後を絶たない。
 「自分なりに考えてみれば、その違いはひと言で言えば「人間関係」かもしれない」と細野さん。

 困ったことがあればお互いさまと、みんなで助けあうのが当たり前。家族の誕生パーティーを開いている家の前を人が通りかかれば声をかけ呼び込む。人との結びつきが強いと感じたフィリピンの人々。路上生活している人からは富裕層の生活も垣間見えるはずなのに、彼らにはネガティブな思考はないようだ。しかし決して捨て鉢ではなく「いつか自分の家を持ちたい」と自分なりの夢や希望を持っている。出会った人たちからは心の豊かさが感じられた。

写真集「What Is Happiness? Are you enjoying your life now?」

 そんなフィリピンの人々に惹かれカメラを向け、写真集「What Is Happiness? Are you enjoying your life now?」を帰国後に自費出版。写真を撮らせてもらった恩返しに少しでも、と本の売上金の全てを、食事支援や孤児院へのお金と物質の寄付に使用。その後も自分にできる支援活動を続けてきた。
 今年6月には新たな活動を始めた。自身がデザインしたTシャツを作成し、希望者が1枚購入するごとにその収益の一部で、現地の子どもたちに シャツ1枚がプレゼントされる。プレゼントの シャツの制作は現地のスタッフが担当、雇用とまでもいかないが、わずかでもお金が動く。今はコロナの影響で思うようには動けないが、そんな状況でもできることがあるはず、と生み出した支援だ。
 今まで6度フィリピンに足を運び、活動を続けてきた細野さん。「まだまだ自分は知らないことばかり。もっとフィリピンに滞在して、現地のことを良く知ったうえで、日本のみなさんに伝えていけたらって思います」。
 厳しい貧困生活を送りながらも、陽気でフレンドリーな人々、街のいたるところには音楽が溢れる。「僕と肌があう」、そう感じたフィリピンという国。その向こうに日本がくっきりと浮かんでくる。
 「日本では、こうでなければいけない、と常識とされることに縛られてそこで苦しい思いをしている人が多いように感じます」
 いろんな形の幸せがあっていい。だからフィリピンの子どもたちの輝きを日本の人にも知ってほしいし、フィリピンの人々の支援を続ける。文具などの寄付や幸せに関するアンケートやインタビュー、現地の子どもたちの絵画展など、今後の活動プランは次々と湧いてくる。活動を通じて、日本でもフィリピンでも、幸せを感じる人がひとりでも多くなれば、細野さんはそう願っている。(岐阜県揖斐郡在住)

※Tシャツは1枚3,000円。コットンの黒地にプリントされた細野さんのデザインは6種類。後日購入者にはTシャツを着た子どもたちの写真が贈られる。Tシャツのデザインはインスタグラム参照。購入希望は細野さんまで電話かメールで。
Instagram:photographertatsuyahosono 
Email:tatsuyahosono59@gmail.com
電話080-9486-7391


・2016年 6月〜フィリピンへ語学留学、10月〜写真集自費出版
・2019年 3月フィリピンで食事支援、孤児院へお金と服の寄付、12月孤児院、小学校、スラムへ服のプレゼント
・2020年6月〜Tシャツ販売開始


vol.197  夢か悪夢かリニアが通る!vol.26

 山梨県にリニア中央新幹線の実験線建設が計画されていた1990年代の初めからリニア計画の反対運動をけん引してきた懸樋(かけひ)哲夫さんが5月31日、亡くなりました。69歳でした。94年に出した共著「リニア・破滅への超特急 テクノロジー神話の終着点」(柘植書房)のあとがきで懸樋さんは、ベストセラー「パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」の一節を紹介しこう述べています。「スピード追求社会の現在でも、私たちはかなりの大事なものを失ってきたことに気付かされる。ましてこのリニアで失うもののスケールは計り知れないと思われるのである」。リニアで失われる大井川の水と南アルプスの自然を巡り、静岡県知事とJR東海社長、国土交通省事務次官との会談が6、7月、立て続けに開かれました。
                              井澤宏明・ジャーナリスト


「静岡のせい」という風評

オンラインが速い

 川勝平太・静岡県知事と金子慎・JR東海社長による初めての会談が開かれたのは6月26日。焦点は、南アルプストンネル静岡工区の準備工事着手を川勝知事が認めるかどうかでした。金子社長は5月末の定例会見で「6月中に準備工事の了解が得られないと、(品川―名古屋間の)2027年開業は難しくなる」と発言していました。
 6月もあと5日を残すのみとなったギリギリのタイミングで開かれた会談でしたが、結果は最初から明らかでした。会談に先立つ6月16日、川勝知事は大井川流域10市町首長とオンラインでの意見交換会を開き、「国交省の有識者会議の結論が出ていない段階で、トンネル掘削工事と一体である準備工事を認めるべきではない」という意見で一致していたからです。
 会談では、川勝知事が「私は国土審議会の委員もしていたから、この(リニア)計画には全面的に賛成」としながらも、「今、コロナウイルスの関係で、誰がリニアに乗るのか、リニアが許されるのか、時代遅れだとか(いう意見もある)」と中日新聞(静岡版)の識者インタビューを紹介し、「オンラインの方がリニアより速いですからね」などとコロナ時代にリニアが必要なのかという根本的な問いを投げかけましたが、金子社長がまともに答えることはありませんでした。

進捗状況の公表を

 続いて7月10日に川勝知事のもとを訪れたのは国交省の藤田耕三・事務次官です。当時、熊本県をはじめ列島各地が豪雨に襲われ、河川が氾濫、道路や線路が寸断されていました。防災の指揮を執らなければならない国交省の事務方トップがのこのこと静岡県を訪れたのです。
 新聞の「首相動静」は7月3日、東京・赤坂の日本料理店で安倍晋三首相と葛西敬之・JR東海名誉会長が会食したことを伝えています。この場で川勝知事と金子社長の会談不調が話題に上ったことは想像に難くありません。9日には藤田氏の退任報道がありました。藤田氏は旧運輸省出身で鉄道局長も務めた人物。最後の「ご奉公」だったのでしょうか。
 藤田氏が川勝知事に提案したのは、次のようなことでした。国交省の有識者会議の結果、トンネル坑口などの位置変更が必要になればJR東海に応じさせるから、7月の早い時期に準備工事を始めさせてやってほしい。国交省自らが開催する有識者会議の存在をないがしろにし、既成事実を積み重ねるかのような提案に応じられるわけもなく、川勝知事は提案を拒否しました。
 川勝知事は藤田氏との会談後の記者会見で、「(6月23日の)株主総会の前に、JR東海さんは一度、(27年開業をあきらめる)決断をされていたみたいです。だけど、有識者会議で国交省が汗かいてるんだから、静岡県に社長が行って、川勝にノーと言わせろと」と発言、27年開業延期の責任を静岡県に押し付ける「シナリオ」があったという見方を示しました。

 岐阜県中津川市のトンネル陥没、名古屋市の異常湧水もあり、リニア工事の遅れは明らかです。JR東海によると、リニアが走る予定の本線286キロのうち、山梨実験線をのぞき着手しているのは岐阜県の日吉トンネルと山梨県の南アルプストンネルの計2か所だけ。川勝知事は「JR東海が進捗状況を明らかにすることが、(静岡のせいで工事が遅れるという)風評をなくす解決策になる」と述べています。

金子社長にアピールする市民団体のメンバーら(6 月26日、静岡県庁前)
知事との会見後に囲み取材に応じる金子社長。報道陣が殺到し「3密」状態に(6月26日、静岡県庁)
大井川にかかる全長897.4メートルの木造歩道橋「蓬莱橋」(7月24日、静岡県島田市)



vol.197 ボーダーレス社会をめざして vol.56

抱え込まない

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 障がい者の生活支援サービスを行っているNPO法人に関わって、もう20年ほどが経ちます。この20年の間に支援サービスの利用をお断りしたことが2,3件あります。「誰でもいつでも利用できる」というサービスを謳い文句にしていた事業所だったのにです。優秀なスタッフがいるため、かなり対応が困難な人でも受け入れていました。しかし、利用されるご家族の方が、ここしか見てもらえないという気持ちになられた時が危険です。本来は役所の相談窓口に行き、いろいろな人に関わってもらいサービスを使うことを考えるべきなのです。支援に自信あるからと言って一つの事業所が、抱え込まないことが大切です。自信過剰がいちばんいけなく、謙虚であるべきです。
 行政に関わって下さるようにするにはどうしたら良いのか?お断りすることが一番なのかなと思い、お伝えしました。ご家族はきっと「見捨てられた」と思われたでしょうが、そうではありません。若い障がいのある人には、これからの生活があります。その後、私が思った通り、行政主導で会議が始まり良い方向に向かいたくさんの人に関わって頂けるようになりました。
 また、書道でもお断りをしたことがあります。親御さんが熱心で、字が書けることに喜びを見つけられているようでした。しかし、ご本人は最初こそ珍しかったのか、書いて下さいましたが、時を経つごとに書道をする状態ではなくなっていきました。書道は芸術の域のものなので、喜んでやってもらわなくては意味がありません。「私には、お子さんを教える能力がないので、お断りをします」と言いました。書道をする前の段階だと判断したからです。障がいのある人と書道をすることは、決して簡単なことではありません。誰が書道をするのか?ご本人です。何より書道を楽しむことができないのであれば、「ごめんなさい。」と私が謝るしか方法がないのです。
 しかし、私以外の人だっら、もっとうまく指導ができるかもしれないなとは思いました。自分の子どもに関しても同様です。「私しか、この子を理解できない。」なんて思わないことです。私がいなければもっと、子どもは自由に生きられるかもしれません。人はそれぞれです。相性があります。苦しい時は一人で抱え込まないで、いろいろな人に関わってもらえるようアンテナを精一杯張り巡らせ、いい人に出会えたら躊躇せずキャッチすることです。


vol.197 食中毒!家庭で気をつけることは??

岐阜市を中心に、飲食店のHACCP(ハサップ)に対応する衛生管理指導のコンサルティングに取り組む野崎利晃さん(メディカルサロンM経営、学校薬剤師、薬剤師)に、家庭で気をつけるポイントを伺いました。

とにかく乾燥!生乾きは一番のNG

・台所ではまな板が一番危険です。切り痕に雑菌が繁殖しやすいから。使用後は水分をしっかり拭き取り、できれば日光(紫外線は殺菌力抜群)にあてて乾燥させましょう。 
・台ふきは乾く間もなく使いがちです。ペーパータオルを使い捨てするか、布巾を多めに用意して毎日洗濯しましょう。
・残り物など、調理済みの料理は必ず冷蔵庫に。その際にはラップは使用せず、密封容器に入れましょう。(シール付き袋でもOK!)食品保存は3密にすることが重要です。(密閉=水を入れない、気密=空気に触れない、密封=しっかり閉じる)。
・ 意外と落とし穴なのがスマホ。料理サイトを見ながら料理する人が増えていますが、スマホの画面は雑菌だらけ!画面に触れてそのまま食材に触ってませんか?キッチンに持ち込む場合は消毒しましょう。
・ 手ふきタオルはどうでしょう。しっかり手洗いうがいをしても、その手や口をふくタオルが生乾きで雑菌だらけでは意味ないですね。毎日洗って、常に乾いたものでふくようにしましょう。
・ 外食するときは必ずハンカチの持参を。お店のトイレの手ふきがタオル、という場合は意外と多いんです。持参したハンカチを使いましょう。

・ ハサップに取り組んでいる飲食店は真剣に衛生管理に取り組んでいるといえます。その目安の1つとして写真のようなステッカーがあります。

マスクは雑巾より汚れてる!?

一時間お話しいただいた野崎さん。おもむろにマスクを外し綿棒で擦ってそれを機械で測定。雑菌数が1523という数値が出ました。一方、ヨレヨレの雑巾は656!なんと一時間喋ったあとのマスクは雑巾よりも雑菌が多かった!「マスクは1日中同じものを使用するのではなく、昼間1回取り替えるといいですね。布製マスクも洗ってしっかり乾いたものを取り替えながら使用しましょう」と野崎さん。この数値は衝撃的でした!


 まな板の数値、気になりますね。先着3名まで無料で測定してもらえますよ!詳しくは、メディカルサロンMまで。https://pleaseconsultwith.com/


HACCP(ハサップ):原材料の入荷から製造・調理、出荷までの各工程で衛生管理をチェックし、安全を確保するための管理手法。2018年6月の食品衛生法改正で全ての飲食事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められることになった。21年6月から完全義務化される。


vol.197 半農半X vol.38

育てて用いる

 娘が生まれたら、桐の木を植えたいと思うようになったのは、いったいいつの頃からでしょう。高校の頃、祖母から、日本では女の子が生まれたとき、桐の木を植えて、嫁ぐとき、大きく育った桐の木を用いて桐タンスにしてもたせたと聞いたからでしょう。軽いし、火に強いなど、「桐の特性」を知り抜き、必ず来る未来(=嫁ぐ日)を見通し、今から行動し、それを準備するという先人の知恵には未来への確かなヒントがあるような気がします。「育てて用いる」。それが脈々と培われた日本の哲学、生活美学です。今では、知る人も少なくなってしまった日本の話ですが、この桐タンスの話は大事な何かを私たちに教えてくれている、そんな気がするのです。

小さな友のために

 山里の秋の風景である柿が生っている姿を見ると思い出す先人の知恵があります。どんなにお腹が空いていても、生っている柿をすべて収穫せず、鳥たちのためにいくつか残すという日本の先人の知恵です。そんな先人のすてきな思想を知ってから、ぼくもそうするようになりました。こうした考え方は日本だけのものではなく、お隣の韓国にも同様の考え方があることを本で知りました。いまの私たちは根こそぎとってしまったり、すべてを自分(人間)だけで独り占めしてしまったりするけれど、鳥や虫などの友のためにそうしたことができるということはやはりすてきなことだし、次の世代に伝えていきたい大事な生活哲学だと思うのです。
 アイヌ民族は根っこを必ず残すという循環の思想がある。ある日、ぼくは旅人のために街路に果樹を植えるという思想に出会った。奈良時代、東大寺の僧・普照(ふしょう)の提案で旅人の休息や飢えを防ぐため、全国の駅路の両側に果樹が植えられたという。すてきな提案をする僧がいたものだ。韓国も、たとえ飢えていてもすべての実をもぎ取らず、鳥たちのために残すという。


塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.197 菌ちゃん野菜応援団 vol.18

今年は雨が多かった!

気温も低く市場の野菜がかなり高騰してますね。

 こんなにも社会が発達しても自然には勝てないなぁ、自然の摂理を無視して人の都合の良いように便利愉快快適を求めてきた結果がこういうときに弱さとして露呈するのかなぁ、と思いますね。
 私たちの畑も無傷、とは言えませんが、被害はかなり少なかったのでは、と思います。私たちの畑は草を執拗なまでには抜きません、それは雨抑えとなり苗が痛むのを防いでくれます。
 菌ちゃんとミネラルを土に増やし、それを吸い上げてゆっくり成長する野菜を見守る私たちのやり方は、最初は他に比べて育ちが悪いようでドキドキしますが、地下にぐーーーーっと根をはったお野菜達は、時期が来ると一気に花を咲かせ実を付け始めます。そこからは手間無し。病気にもならずピッかピカの野菜達が目の前にどんどん姿を表してくれます。

 この感動はちょっと言葉では言い表せないほど。そして畑でかぶりつく生温かいスイカの美味しいこと!!!身体中に染み渡ります!!野菜には意思がないとか言ったのは誰でしょう?こんなにも「生きてるよ!!!」とエネルギーを爆発させているお野菜たちを見ると、あぁ、このエネルギーを余すことなく頂きたい!と思うのです。かくして、せっせと畑に通い「焼けたねぇ」「ハワイに行ってきたからね〜!!」を毎年繰り返すことになるのですね。

 もちろん食卓には夏野菜がわんさか乗るのですよ。食べるってとても大事ですよね!今年はこの魅力にとりつかれた仲間達がそこかしこで自分のお野菜自慢をしています。こういうの、良いですね‼しかし、この頃の夏は半端ない暑さ。皆様も熱中症に気を付けてお過ごしくださいね。

簡単な熱中症対策に赤紫蘇で作るシソジュースはいかがですか?クエン酸が一気に身体の疲れを取り去ってくれます。夏のお供にピッタリ!

材料(2リットル分)
赤しその葉…300g、水…2リットル、砂糖(きび砂糖など好みでOK)…500g~1kg、クエン酸…25g
りんご酢で作るときは
水1.8リットル、砂糖(きび砂糖など好みでOK)150~300g、りんご酢150~200cc
作り方
1-赤しそをよく水で洗う。
2-大きめの鍋に分量の水を沸騰させ赤シソを入れる。再度沸騰したら中火で15分ほど煮出す。粗熱が取れたらザルで液をこし、ヘラなどでしそを絞る。
3-こした液を鍋に戻し、砂糖を加え弱火にかける。砂糖が溶けたら火を止め粗熱をとる。
4-クエン酸を入れる(リンゴ酢もここで入れる)よく混ぜて完全に冷まし、保存します。


vol.197 未来に続く暮しの学びPrt-38

集中することの大切さ。

 今、南半球のオーストラリアは冬。だんだんと寒さが増してきました。と言っても、亜熱帯気候の冬は日本の春先と似ていて、日中太陽が出ていれば暖かく、日が沈むと寒くなるといった気候です。冬の畑では、キャベツ、レタス、ブロッコリー、青梗菜、インゲン豆を育てています。一箇所を集中的に使い、他のエリアは、この冬はおやすみ。マルチで完全にカバーして休息させます。
 オーストラリアのコロナ対応は少しずつ変化してきています。今後どのように行政が個人経営のビジネスに対応していくか気になるところではあります。
 しかし、私は今こそ生活スタイルを見直すべきチャンスだと思います。コロナ禍で、その意識が人々に定着することで持続可能な生活が始まると思うからです。初めての家庭菜園で、実際に野菜がどう育っていくか、その過程や成長が芳しくないのはなぜか?などの質問もたまに受けます。野菜作りの情報をお互いに交換できるのはいい影響だなと思います。
 先が見通せなくて、落ち着かない日々を過ごす中、強く感じるのが、「今」に集中することの大切さ。少しずつですが規制が緩和されると途端にタガが外れて、また新しい規制が作られてしまいます。実際、その状況の変化についていくのが大変です。しかし、うれしいことまありました。以前よりも人との交流の場が増え、近況を話し合う中で「文化、アートの社会での重要性」を熱く語り合うことがあったからです。これからの時代は文化・芸術にシフトしていくべきと強く感じるようになりました。それは、このコロナ禍で、リアルに、アート、音楽、絵、パフォーマンスに触れることが難しくなって、より一層アートに触れたいと言う欲求が増えていることの現れだと思います。

 ということで、次回からは、文化、芸術が社会にもたらす素晴らしい影響をオーストラリアのアーティストの活動なども含めながら、一絵描きとしての目線でお伝えしていこうと思います。今後ともよろしくご愛読をお願いいたします。   yao

カラスより一回り小さい鳥•ジョージ。最近キッチンに出入りしつまみ食いをするので「棲み分け」のため出ていってもらいます。


vol.197 ここいく日記 はじめの14歩!

体ってス・テ・キ!

 「これから男の子の体のしくみについて話をします。これは『ペニス』です。」
 このフレーズで「射精の話」がはじまります。(私の担当)
 唐突に耳に入ってきたワードに、びっくりする子、笑って食いついてくる子、恥ずかしそうに下を向く子・・・反応は様々です。私も初めの頃は、とても勇気が要りました。それは、まだ学びが浅く、伝える内容が自分の中に落としきれていなかったから。しかし、ここいくメンバーで授業内容を吟味し、繰り返し授業をしていくうちに、何のためらいもなく、むしろ「みんな、聞いてね!」という気持ちで大きな声で伝えられるようになりました。
 小学校高学年~中学生の第二次性徴期の男の子は、自分の体の変化に戸惑う時期。親にも友達にも相談できずに悩んでいる子がとても多いそうです。
 そんな子どもたちに正しい知識を伝え「自分だけじゃないんだ」「恥ずかしいことではないんだ」と安心し、体の変化・成長を前向きに受け止められるように話をします。
・ペニスが勃起すること。男の子はお母さんのお腹の中にいる時から勃起してるよ。それは、大人の体になった時に、上手に命をつなげられるように!
・勃起しないと射精できないのは、セックスの時に女性の膣内へ精子を空気に触れることなく安全に送り届けるため。(精子は空気に触れると生きられない)
・毎日射精しなくても、絶対に溢れないよ。(体内に吸収され、老廃物として排出)
・セルフプレジャー(マスターベーション)は射精の時に快感を伴うことで、罪悪感や後ろめたさを感じる子が多いけれど、それは自分の体を知る勉強。とても大切なこと。でもマナーとエチケットがあるよ。

 射精は命を繋いでいくとても大切で素敵なこと。本当に「知る」「学ぶ」って大切ですね。これらを学ぶことで、夫や二人の息子を、とても愛おしく感じるようになりました。

 私は話終える時「男の子も女の子もお互いの体の事を知って、相手を思いやれる優しい大人になって下さい」とできるだけ優しい声のトーンとなるよう心がけます。
 「自分の体を知ることができ安心しました」「セックスはいやらしいことではなく、命を繋ぐ大切なことだと分かった」
 こんな感想を多くの子が書いてくれます。「伝わってる!」と確信できる嬉しい瞬間です。
 新型コロナウイルスの影響で、今年度の「いのちの授業」が軒並み中止。毎年、年に2回の授業を行っているフリースクールだけが、今年も変わらず授業を実施して下さいました。
 「今、学校では学習時間の確保に重きを置いていますが、こういう時だからこそ、生き方を学ぶ『いのちの授業』が必要だと強く思います。」この校長先生の言葉はとても嬉しかったです。
 こんな時だからこそ、一人でも多くの子どもたちに「いのちの授業」を届けたい。ここいくとしても、少人数の依頼やオンラインなどでも対応できるよう、あらゆる可能性を模索しています。そして、いつかは県も超えて、全国の子どもたちに授業を!そんな壮大な夢も抱いています。
 早く生の授業を届けられる日が来ますように。

担当:ここいくメンバー・横山里美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.197 トンガからこんにちは! 連載-3

自給自足大国!トンガ王国

Mālō e lelei !! Fefe hake ?? Hau o kai !
(おーい!元気?ご飯食べにおいで!)

 トンガではこんな会話がいつでも飛び交っています。vahevahe(分け合う)文化のトンガでは、いつも誰かが食べ物を分け合ってくれます。トンガの国民は自分たちに何が必要か、どんな暮らしをしたいかを分かっているのか、心にも時間にもゆとりがあるようです。

田畑で作物を作った事がある人は、こんな言葉を聞いた事がある人も多いのでは!?トンガの人は、むしろ、自足しているけれど、自給が難しくなりつつあるように思います。
 私が帰国するときに言われた言葉。「美希、日本に帰る間に体力が下がらないようにしなさい。コロナもトンガより流行っているし、店で買い占めが起こっている国があるってニュースで見た。トンガでたくさん栄養のあるものを食べて、免疫を高めて帰りなさい。私たちのことは心配ないよ、トンガはすごく幸せな国だから。店が閉まっても、畑に行けば芋もバナナもあって、海に魚がある。日用品なんてどうにでもなる。雨がふれば石鹸がなくても汗は流せるし、トイレットペーパーがなくなれば、海に洗いに行けばいい。私たちは店に依存した生活をしていないから、何も困らない。」

 この国の豊かさを改めて感じずにはいられませんでした。実際、1月末に、コロナによる中国人の中傷被害が出ないように、島の理事が中国人経営のお店を全店一時閉店にしました。何のパニックが起こるわけでもなく、もちろん中傷被害も出ていなかったように思います。
 首都でさえ、3階建以上の建物はないし、信号は国で1台。車社会が問題になるほど、人の暮らしは近代化しつつあるのに、裸足で歩いている人もたくさんいます。みんな携帯は持っているけれど、離島の家の住所はまだない。そして、そんな国にみんな誇りを持っています。
 一家のお父さんが畑で家族分の主食(タロ芋、ヤム芋、キャッサバ、サツマイモなど)を育て、お母さんが民芸品を作って現金収入を得る生活が主流です。朝晩は子供も含めて家族で畑に行く姿もよく見かけてました。オフィスで働く人は本当に限られた人で、そんな人でも家族の畑があるから、仕事には遅れ気味。来ても休憩時間が多いし、暑ければ涼みに行って一日が終わる。残業ではなく、畑に行くためのフライング帰宅は日常茶飯事。働き者でもあるし、地べたに座って喋ったり、お昼寝したりしてて、怠け者なイメージもあります。ただ言えるのは、食べ物、食べる事をとても大切にしているということ。

 私のいたハーパイ諸島では、真夏の間、マーケットから野菜が消えます。理由は、暑い中、誰も作りたくないから。元々、トンガは野菜を食べる習慣が古くからあるわけではないので、野菜が食卓になくても大丈夫と言えば、大丈夫なんです。それでも、その中にはもう一つの大きなこだわりがありました。“農薬”です。「暑くなってから無農薬で作るのは大変。誰もやりたがらない。でも、農薬や化学肥料を使ってまで育てたくないし、そうゆう野菜は身体に悪いから、食べない方がいいでしょ?」と言われたことがあります。

 動物の育て方もあくまで、自然に、その辺を駆け回ってます。
(鶏が、あんなに高く飛んで木に登れるなんて知りませんでした。)今は、冷凍輸入肉が安く手に入るから、普段はそれで済ます人が多いものの、豚や鶏の餌はココナッツ、米、人の食べ残し、などなど人と同じものが基本です。人間より健康的に暮らしているかもしれません。特別な日は、そんな贅沢に育った動物を屠殺して、丸ごと料理します。それがまた、柔らかくて、美味しい!日本でベジタリアンを気取っていた私が嘘のような自分勝手具合でした。
 人間が食べる事が基本で、育てるのに何を使うか、使わないかに焦点を当てる日本人。動植物を自然に育てるのが基本で、育てるか、育てないかを選ぶトンガ人。

 面白いなぁ、何でこんなに違うんだろう!?そう思えるのは、体型だけではありませんでした。今日もきっと、Alu ki fē ??(どこ行くの?)と言う掛け声と、大きな笑い声が町中に響き渡っている事でしょう。


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中。


vol.197 プレゼントコーナー

1- あなたの「免疫力アップ法とは?」
 免疫力アップは最善のコロナ対策!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※B、Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係り
までお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.大人のピアノ個人レッスン 30分間無料ご招待
       安西様より…3名様

昔ピアノを習いたかったけれど叶わなかったという方、家にピアノがないけれど弾いてみたい、楽譜がないけど…。どんな方でもOK!コロナで不安に思う日々だからこそ、音楽を楽しみませんか?坂祝町でピアノ教室を主催する安西さん宅でのレッスンです。


B.作家さんの器2個セット
    にらめっこより…2名様

遊び心満点の陶芸作家さんの作品。ピンクと濃いグレーの釉薬が織りなすランダムな模様が斬新です。ワイン?お茶?それとも…?使い方をあれこれ考えてしまう楽しい器です。にらめっこ編集室でお受け取りください。
(直径約75mm×高さ約130mm)


C.CINEX 映画招待券
シネックス様より…ペア3組様

広い空、遠くまで続く海、そんな壮大な景色に身を置くような臨場感を味わえるのは大きなスクリーンだからこそ!写真は「グランド・ジャーニー」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


D.ヨウ素入り食塩
  にらめっこより…2名様

ベルギーのきれいな海水から作られたヨウ素入りの食塩。海草類を食べる習慣のある日本では見かけませんが、海外ではヨウ素欠乏症を防ぐため、ヨウ素入り食塩が販売されています。
にらめっこ編集室でお受け取りください。
(595g入)     


vol.196 アフターコロナorウィズコロナ?

わたしの「あたりまえ」って、なんだろう?
あなたの「あたりまえ」はなんですか?

 物的な破壊を伴わないコロナ禍は今までの社会のあり方、私たちの暮しを強制的に変化させました。新しい行動をすることによって「価値の新発見」があった人は少なくないと思います。新たな行動をして感じた「良さ」や「意味」を通して、元に戻るのが本当に求めていることなのか、ここはまさにターニングポイントとなるのではないでしょうか。
 コロナ騒動は必ず収束するでしょうが、コロナウィルスの終息はあるのだろうか…。「アフターコロナ」の時代の幕開けはこれまでと違う日常なんだろうか。今まで「あたりまえ」だったことが「あたりまえ」ではなくなるってことなのでしょうか?一人ひとりがこれから何に向き合い、どう生きるかもまた考えるべき時に来ていますね。

「あたりまえ」の英語はnaturally(副詞)<当然,もちろん,本来,元来,当たり前>他にもordinary<普通の、通常の、並の、平凡な>などがあります。
 「naturally」を和訳すると、<自然の、自然界の、自然のままの、加工しない、自然の過程による、自然的な、生まれつきの、生得の、普通で、平常で>という意味。
 例えば「自然」。今まであたりまえにあった目の前の自然が、さまざまな環境トラブルで損なわれています。私たちを取り巻く環境にはとても敏感になります。あたりまえに海水浴がゴミだらけ、川で泳げないほど汚くて異臭がする、山はがけ崩れで登山道が通れなくなり…登山好きにはショックです。晴ていたら富士山だって見えていたのが見えなくなり、太陽光に干した布団には、はるか遠くから運ばれてきたPM2.5が付着し…なんて書き出したらきりがないくらい。日常のあたりまえは脅かされています。そして、見えないコロナウィルスが私たちの日常の「あたりまえ」をさらにことごとく塗り替えていく。

あなたの「あたりまえ」はなんですか?

 わたしの「あたりまえ」は、朝の目覚めから、夜眠りにつくまでの全てがあたりまえで、本来なら「あたりまえ」と思っていることは果たして本当に「あたりまえ」なのだろうか、という問いから出発することが大事かと思っています。
 食べること一つとっても、食卓に並ぶ食材は誰かが作ってくれて、運んでくれて、店先に並んで、料理をして初めて自分の口に入る。食卓の背景に想いを馳せることで、たくさんの人たちが関わっていることを知る。わたしの「あたりまえ」を実現できていることは、もう「感謝」しかないです。「あたりまえ」(そうであるべきこと 当然)の対義語は「ありがとう」(めったに受け取ることの出来ない恩恵・好意・配慮に感謝したいという気持ち)なんですね。

 コロナ禍も、緊急事態宣言が解除され3ヶ月に及ぶ自粛生活にようやく日常が戻りつつあります。しかし、まだ感染者があちこちで「数字」として発表されています。「アフターコロナの時代」とはまだまだ言えない状態。では、「ウィズコロナ」?
 ウイルスは人が人へ運びます。離れて暮らす家族、親戚、友人たちと会いたい気持ちを抑えているのが日常となってしまっています。そんな状況にインターネットが大活躍。テレワークを始め、e-ラーニング、ZOOM会議、お家飲み会などもネット環境を利用して、「ビフォーコロナ」を維持しようとしています。このような現実がいつの間にか「あたりまえ」になっていくんだろうか…

 naturalに含まれる<自然のまま>という言葉に未来のキーワードがあるような気がします。未来を想定して、今何をすべきか。本紙が過去何度も取り上げてきた「環境に影響するさまざまな問題」。大気汚染や温暖化、マイクロプラスチック、農薬、化学肥料、化学調味料、化学物質、香料、水、などなどは明らかに「自然のまま」に遠く及びません。コロナ禍で暮しや社会が変わろうとしている今こそ未来を見据えて、今後はどう過ごすか、を真剣に考える時が来たと思います。中でも「持続可能」は最も重要なキーワードです。コロナ禍で経済活動が停滞したため、空気が、川が、海がきれいになったという報告がありました。<自然のまま>に限りなく近づいてほしい。希望を持ち続け私たちをそれを維持し未来を作っていきたいです。

 メディアアーティスト 落合陽一著『2030年世界地図帳①』には、キーワードとして「SDGs(sustainable development goals)持続可能な開発目標」が登場しています。SDGsとはいっても新聞やニュースでは見かけるものの、それがどういうことなのか、まだピンと来る人は少ないのではないかと思います。コロナ禍を機に、私たちや企業や国は持続可能な開発目標のために何を考えどう行動していけばよいのかじっくり考えてみたいです。
 世の中を「テクノロジーがもたらす変化」、「人口」、「世の中が向かう方向(SDGs)」のポイントから眺めると2030年にわたしたちはどんな暮らしを送っているか少しは見えてくるかもしれません。未来を完全に見通すことは不可能ですが、こうなるだろう未来の予想に対して悲観するのではなく、余裕を持って今から対応することが大切だと思います。

近未来 あなたの「あたりまえ」が続く世界か、「あたりまえ」がひっくり返るような世界になるか… 未来を予想してみよう。
近未来 あなたはどんなイメージを抱きますか?


vol.196 アフターコロナor ウィズコロナ?-Part2

これからは「持続可能」と「循環」がキーワード
自分らしさの追求が、持続可能性につながる。

エコロジーの視点

 「手つかずの環境は素晴らしく、それを破壊する人間は悪というとらえ方ではなく、人間が生きるということは自然とすごく密接につながっていて、その相互作用の中で環境があり、そこには自分たちの営みも影響している。その感覚でエコロジーを捉えることに可能性を感じています。」
 「例えばインドでは、若い世代を中心にヨガといった伝統文化への回帰と再構築が起こっています。これらは個別に見ると様々な領域でばらばらに起こっているように見えますが、少し引いた眼で見ると、人を取り巻く様々な環境や、地球との関係を今一度考え直していくという大きなうねりがあるのです。

多様であることが、持続可能性に貢献できる

「みんなが同調して同じ方向を向くのは本末転倒であり、複雑なシステムがより持続可能であるための一番の鍵は多様性にある。一人ひとりが感じたままに違うことをする。実はそれが最も持続可能であるために大事なことです。」
 「多様性については日本でもたくさん議論がありますが、単にジェンダーや国籍の問題ではなく、一人ひとりが違うことをする。そのためには、自分自身が自分の生きている感覚に基づいて大事なことを選択していく必要があります。それが結果として全体の多様性やレジリエンス(弾力、復元力)を創っていくのです。」

「外」に向けた活動と、自分の「内」との
つながりを取り戻す

 「社会のためにと頑張り続けて、気づいたら自分のWHY(なぜやるのか?)を見失ってしまい、燃え尽きてしまう人にもたくさん出会いました。その経験から、外側に向けてインパクトを起こそうとしている活動と、自分自身の内側とのつながりを取り戻すこと、真のリーダーシップが大事だなと気づいたのです。」

「そもそもわからない世界がある」という前提に立つ

 「仏教も、もともとはわからない世界を前提にしているのですが、近年の仏教ブームではこの世界をすべて理解するために仏教を求める人が増えてきている気がする。しかし、実際にはこの世界のすべてを人間がわかるという前提に立っているから、いろいろなものがちぐはぐしているのではないかと。」
 「たしかに、スマホ画面の一分一秒を争っている現代の情報化社会は、『わからなさ』と向き合う耐性が落ちてしまっているのではないかと思います。でも、わかるものだけを前提に生きていると、頭で理解できる世界だけに閉じていってしまいます。だからこそ、わからないものにじっくりと向き合うことにこそ、新たな地平を拓く可能性があるのだと思うのです。」

システムの内側にいる存在として、向き合っていく。

 「仏教哲学者で環境活動家でもあるジョアナメイシーという方が、『アクティブホープ』という本を書いており、彼女はつながりを取り戻すワークショップをやっています。アクティブホープとは、どのような状況でも前向きに関わっていくという意味です。例えば台風の被害を見ると心が痛むと思いますが、なぜその痛みを感じるのかを考えたとき、そこにはこうなってほしいという願いや、愛や感謝があるはずです。まずは、その痛みを感じる自分がいるということを感じることが大事だと。その痛みは自分の内側や他者、周りを取り巻く環境との関係性のなかで起こっているはずで、そのことに気づいて行動を始めるのが大事だということです。」
 「逆にそのつながりがないまま社会のインパクトを追い求めてもしんどいですし、結局は目の前で認知できる範囲の課題をつぶしていくモグラたたきのような状況になってしまいます。それはそれで大事な側面もあるのですが、一人ひとりの在り方としては、いったん頭で考えることを手放して、身体で感じ、身体で受け取った情報を身体で処理していくというパラダイム(物の見方や捉え方)が大きなヒントになるのではないかと思います。」

新しい暮らしを始めよう!

新しい経済モデルで注目の循環型経済

「最近は持続可能性の流れのなかで循環型のモデルがとても注目されていますが、その先には「再生させる」という在り方があります。環境負荷を下げるためにマイナスをゼロにするという考え方はまだ人と  環境がある意味切り離された状態です。その先にあるのが、人間を“ともに地球の生態系を繁栄させていく存在”として捉えるという考え方です。」
 「たとえば、ダイクルというおむつメーカーは、土に還るおむつを作っています。循環型経済は『ループを閉じる』モデルなので、使い終わったものを回収し、リユースするといった発想になると思いますが、ダイクルでは、使い終わったおむつをそのままコンポストすると、それが土に還り、そこについた人の排尿が栄養となって植物が育ち、それを食べて育つ子供たちがまたそのおむつを使うというような、人間以外の取り巻く環境も含めてみんなで繁栄していくというモデルなのです。」

自分とまわり、社会はすべて相似形

 「それは頭で考えてもわからないので、身体感覚に意識を向けられるように余白をつくる必要があります。余白づくりには空間、時間、心の3つがあり、一番は時間です。日々忙しく生きていて自分の感覚に気を向ける時間がないという人も多いと思いますが、まずは毎日15分でもいいので、自分がシステムの一部として何を感じているのか、見つめ直してみるとよいかもしれないですね。」

社会との向き合い方や生き方のヒントを教えてくれるのが、エコロジーや生態系をテーマにこれからの時代の人間観やビジネスの在り方を探る領域横断型サロン、「Ecological Memes(エコロジカル ミーム)」。同サロンを主宰する小林泰紘さんのことばを拾いました。IDEAS FOR GOOD社会をもっとよくする世界のアイデアマガジンより。



vol.196 アウトドア特集

 Stay Homeが合い言葉のようになり、外出も必要最小限に。そんな自粛生活が数ヶ月…キャンプもままならない?そんな折に朗報!!
「太陽光が強い殺菌力を持っていることは、人類の歴史の中で、古くから知られていました。殺菌力が、太陽光線中の紫外線の作用によることは、皆さんも良くご存知のことだと思います。ですから、直射日光が当たる屋外で、何かの物体に新型コロナウイルスが飛沫核として付着したとしても、短時間で不活化され、何日間も感染力を維持することはありません。」という情報を知ると、外に出たくてウズウズ!緊急事態宣言も解除されたことだし、夏を満喫しよう!ただし、エチケットは守ってね。

野外映画を楽しむ オープンシアター

プロジェクターと白い布があれば、即席映画館に。外ご飯を食べた後、みんなで好きな映画を楽しもう!心をリフレッシュしよう!アウトドアで「観たい」映画TOP5をご紹介。・シザーハンズ(意図せず人を傷つけてしまうが弁解もできないエドワード(ジョニー・デップ)の不器用さが見ていて切ない。・天使にラブソングを(コメディタッチで気疲れせずに気楽に)・E・T(キモかわいいE.T.と少年との交流が微笑ましい)・スターウォーズ(「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」という語りで始まる、言わずと知れた名作SFシリーズ)・千と千尋の神隠し(ごくふつうの女の子が様々な苦労を乗り越えて成長してく)・ボヘミアン・ラプソディ(イギリスのロックバンド「クイーン」の軌跡を描いた伝記映画)

アロマキャンドル(虫除けキャンドルにもなる!!)

虫たちに恨みはないですが、プーンと顔の周りに飛んできてプチッと刺されて、かゆいのはイヤ。しかもそれが寝入り端だったりすると、もう恨んじゃう!でも、強力虫除け剤の化学的成分が、とても苦手という方にオススメがこれ!。

 シェラカップでつくると、キャンプの雰囲気がでますねー。うちにあるろうそくを溶かして、火を止める。固まり出す直前に、虫除けにいいとされるアロマオイル(シトロネラ・レモングラス・ユーカリなど)を投入。居場所の四隅に、虫除けキャンドルと強力虫除け線香で、結界を張らなきゃ。

右は虫除け結界の写真。
森林香(屋外用蚊取り線香)を2つ。虫避けアロマキャンドルも2つ(奥にも置いて4ヶ所に)。虫に悩まされずに眠れますよ。

夜カフェでちょっぴりおしゃれに過ごす。

たまには気分を変えて練乳たっぷりのベトナムコーヒーでもいかが?
淹れ方
①カップに練乳を入れ、ドリッパーをセットする。
②コーヒーの粉を入れて中蓋で押さえる。
③熱湯を少し注ぎ、蓋をして20~30秒蒸らす。
④ドリッパーいっぱいに熱湯を注ぎ、蓋をする。
⑤コーヒーが抽出できたらドリッパーを外し、よくかき混ぜる。
フィルターはアルミ製とステンレス製の2種類。アルミ製は安いものだと100円からありとってもお手軽。ステンレス製は高いものだと1,000円ほど。)

夏の風物詩、花火を楽しむ

 夏のお楽しみのひとつと言えば、花火。少人数にも、おひとりにもおすすめなのが、パチパチと静かなはじける線香花火です。線香花火ならスペースもそんなには必要ないので、お家でも楽しめます。オススメは水を張ったバケツ。バケツが風除けになって、火の玉がなかなか落ちないし、何より水に映る花火を愛でることができる。これぞ一石二鳥!


自然の中で過ごす効果
 自然の中で過ごす効果は、子どもたちにとって良い影響を与えるのはもちろんですが、ストレス過多な大人にとっても様々な良い効果をもたらしてくれます。
 例えば風や川のせせらぎ、鳥の声などの自然の音を聞くことは、ストレスを解消させる癒し効果が非常に高いです。
 また太陽の光を浴びる事で、皮膚上でビタミンDが生成され、免疫力が格段にあがり病気を未然に防ぐ効果が高まりますし、昼夜の体内リズムが整えられ精神的にも安定していきます。
 さらに自然のエネルギーを浴び、木々の多様な色彩をみたり土や木に触れる事で、脳が活発に動き脳の発育に非常に効果的です。森や川、朝や昼の香りを嗅ぐことで五感が刺激され感性豊かに五感が研ぎ澄まされていきます。
 子どもたちの成長のためにも、大人たちがリラックスして本来の姿で過ごす手助けをするためにも、自然と触れ合って、自然の恩恵に感謝した生活を心がけていきたいところです。
ぜひ今週末あたりちょっと自然に触れる時間を作ってみてはいかがでしょうか?本紙174号に掲載した「自然欠乏症候群」より抜粋


vol.196 ぎむきょーるーむ 号外!各務原の学校再開に向けてのアンケート〜結果報告〜

 こんにちわ。「各務原の学校再開に向けて保護者の声を届ける会」です。緊急事態宣言の解除が視野に入ってき、学校一斉休校の解除が取りざたされてきた2020年5月17日~5月24日の期間で、各務原市立小学校・中学校に在籍の児童・生徒・その保護者に「学校再開に向けてのアンケート」を実施しました。

 休校期間中の学校や教育行政の対応や、学校再開に向けての情報が少ない中、私たち保護者の多くは不安を抱いていました。いよいよ再開か、という段階になっても、あまりにも情報が少なく、不安感が高まってきた声を保護者間で耳にするようになり、それならば、保護者有志でアンケートを実施しよう、と取り組むことになりました。アンケートで頂いた皆さんの声を各務原市教育委員会、学校教育課へ届け、安心できる学校運営と再開指針の策定の参考にしてもらおうという趣旨で行いました。(※私たちはいち保護者有志グループであり、意見を届けるものの、このアンケートの声に応えるよう行政に対応を迫ることを目的としていません。

以下は自由回答からの抜粋です。
紙面ではすべてご紹介できず、一部ご紹介します。
※webでは、すべての自由回答も掲載しています。
https://note.com/kakamigaharaclub/n/nb520250ad9a9

子どもたちの意見

・早く登校したい。
・学校行事がなくなるの?
・今年が中3なので、部活動が出来るのか心配。
・休校中にまだ習っていないところが宿題で出ている。
・修学旅行、音楽発表会、やりたい。
・学校で咳などをしてコロナだと思われいじめが始まるのではないか心配。
・簡易給食で5時間目、6時間目まで学習するのは嫌。給食は学校生活での楽しみの一つ。普通の給食が食べたい。
・学校が休みになり、大喜び‼
・ともだちとあそべないし、おかあさんがしごとでいないときに、ひとりでるすばんするのが、かなしいです。

保護者の意見

・簡易給食の内容が成長期の子どもに悪影響だと思う。
・仲間と過ごせる事が嬉し過ぎて、ソーシャルディスタンスなんてとても守れないと思います。
・多様な支援体制を整えて頂きたい。
・逆に、家にいれば安心
・一斉授業よりeラーニングに効果を感じています。補助制度 があればなお良いです。
・不安を取り除けないお子さんと今後再開後に交流することになること。
・発症した子と接したときの状況を教えてもらいたいです。
・運動不足による肥満・選択肢に「時間に厳しい生活」とあるが、厳しいと感じるご家庭だけではないと思う。学校生活を厳しいだけのものとしては見ないでほしい。


簡易給食:小学校-パン、牛乳、ジャム、ゼリー。
(中学生はパン2個)ときどきナンも。
すべて個別包装され衛生的ですが、育ち盛りの子どもたちには圧倒的に量が少ないかと。小学1年の子と6年の子が同じ量については、もう少し配慮してほしいところ。内容は今の現状を考えると、しばらくは致し方ないかと。しかし、食べることは生きること。大切な「食」です。給食に関して、また左記のe-ラーニングについてもさまざまな意見があると思います。これを機に意見交流ができると嬉しいです。関心のある方は下記へお問い合わせください。
citizensvoice.kakamigahara@gmail.com

e-ラーニング:一般的にインターネットを使った学習を意味し、オンライン学習とも呼ばれます。
学習者側の4つのメリット&デメリット
メリット:1.場所や時間にかかわらず、自由な時間、場所で学習ができる。2.個人の習熟度、理解度に応じて学習を進められる。3.視覚的に理解がしやすい。4.学習進捗状況や小テスト結果などがすぐに確認できる。

デメリット:1.モチベーション維持が難しい。2.講師やほかの学習者との交流が図りにくい。3.実技を伴う科目には向かない。4.インターネット環境を常時確保できない学習者の受講が難しい。


【教育長にお渡ししてきました】
 結果は222件の回答を得、市内全小学校区にまたがり、328人の子どもたちの声が反映されています。2020年5月27日(水)に会を代表して、加藤教育長に集計したアンケート結果をお渡ししてきました。教育委員会の委員長他、市役所の職員の方2名様に同席して頂き、アンケートに至った経緯・趣旨の報告をしました。また、日頃から感じている学校と保護者の距離が遠い事などについても率直にお話ししてきました。
 教育長は、面談中に集計結果にざっと目通しした感想として、「大体こちらで把握しているような声が多いように思いますが、中には想定していない意見もあるかもしれません。頂いた声を現在策定作業中の指針と照らし、各学校の指針作りの参考にするようにしていきます」とお話し頂きました。

アンケート活動を通して感じたこと

今回、実施に至ったアンケート活動を通して、保護者と学校・教育行政とはどのような関係を築くことが必要か、など、感じることが多くありました。とても多くの壁・情報伝達不足・システム的な問題があるのではないか、という実態が以前よりもよく見えてきました。

<今後の活動>
この取り組みを機に、多くの保護者・地域住人の方と、学校、教育行政と一緒に各務原の公教育を考えていきたいと思いました。学校が再開され、分散登校から一斉登校になり、子どもたちの生活が段階的に平常化していく経過を見守りながら、新しい取り組みを模索していこうと思います。ともに学校の在り方・教育行政とのかかわり方について考えていく活動をしたいという仲間を増やしていきたいと思います。
どういうことをやるのか関心のある方、一緒にやってみたい方、とりあえず話を聞いてみたい方、ご意見などがありましたら、下記までご連絡ください。

citizensvoice.kakamigahara@gmail.com




vol.196 しょうがいをみつめるvol.7

新型コロナウィルスの流行により学校が休校になって3か月が経とうとしています。最近になり、ようやく再開の見通しが立ってきたものの、子どもたちの声がしない学校のさみしいことといったらありませんでした。この休校期間中、子どもたちは家の中でどのように過ごしていたのでしょうか。i.s

子どもたちの気持ち

 振り返れば2月末。突如として出された全国一斉休校の宣言とともに、いつ終わるともしれない休みに突入。「3月はこんなことをしたいな」「こんな風に一年を締めくくれたらいいな」と、立てていた計画は吹っ飛び、予定されていた卒業式も一から練り直すことに。入学式・始業式をはじめとして、感染予防をしながらどう学校を再開するかと、課題も山積でした。私はというと、別れの挨拶もままならなかったこと、一年をきちんと終えられなかったことに対する悔しい気持ちを感じてはいたものの、ウィルスという見えない敵を相手に愚痴を言うこともできず、「仕方がないよ」と自分に言い聞かせながら新年度を待つ日々でした。

 迎えた4月。感染拡大は止まらず、やはりというか、予想通り休校延長。私たち教員も3密を避けながらの勤務がスタートしました。普段であれば、ああだこうだと子どもたちのことや自分たちのことを話しながら始業準備を進め、チームとしての結束を高めていく時期なのですが、今年度は一人、まだ見ぬ子どもたちをイメージしながらの作業となりました。政府からは非常事態宣言が出され、終息までの見通しももてない中、これからどうなっていくのかという漠然とした不安やストレスが溜まっていくのを感じていました。あれこれと思いを巡らせているうちに、障がいのある子どもたちは普段からこのような不安やストレスを抱えながら生きているのではないかということに気づき、はっとしました。自閉症の子どもたちにみられるパニックは見通しのもてない不安から来ていることが多くあります。身体が不自由な子どもたちは自分でやりたいことをしたり、行きたい所に行ったりすることが難しく、フラストレーションを抱えがちです。一時的ではあれ、このどうすることもできない状況の中で彼らの気持ちを追体験できたことは、私自身の学びにもなったように思います。
 4月末になり、県内の特別支援学校では、web会議システムを利用したオンラインでの授業がスタートしました。私自身、始まるまでは生の触れ合いなくしてどの程度の教育効果があるのかと懐疑的だったのですが、実際画面の向こうに子どもたちの姿が見え、声が聞こえてくると…やはり、うれしくなるものですね。次はどうすれば子どもたちが興味をもってくれるか、楽しい活動ができるか、双方向の良さを生かしてやりとりできるかなどと、試行錯誤が始まりました。画面を通してではありますが、やはり『人と人とがつながりあう』というのが学校という場なんだということを再確認しました。

そして迎えた6月1日。まだ分散登校ではありますが、学校には子どもたちの元気な声が戻ってきました。オンラインでは会っていたものの学校で会うのは初めましての子どもたち。休校という長いブランクを感じさせないほど学校にすんなり戻ってきてくれました。しかし、やはり久しぶりに友達と会えたのは相当うれしかったようで、おしゃべりは止まらず、一緒にトランプやお絵かきをしてずーっと一緒に遊んでいます。
 ようやく、新たな学校生活が始まりました。これまでお休みだった分、これからは学校でいーっぱい楽しいことをしていこうね!


vol.196  niramekkoGallery「春・夏・冬」

タイトル「春・夏・冬」  作者・川上真輝

 パステル使いのキング!というか、一心不乱に描く姿につい声をかけそびれてしまい、服も見事にパステルに染まります。紙いっぱいに繰り広げられる絵は、まるで色が歌って踊って、観る人に話しかけているよう。まぁくんの絵を見ていると音楽が聞こえてくる…不思議でパワーに満ちています。

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私たちの暮らしは意味や役割があるものに囲まれています。そうすると、意 味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動した りすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュ したり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.196 人生これから! 

やってみたシリーズ第2弾

サックス習って娘の結婚式で演奏してみた! 林 則夫さん(60代)

 13年前、映画「スィングガールズ」(※)を観た林さん。竹中直人演じる高校教師・サックスを吹けると言ってしまった姿に何故か「あれ、自分みたい」。2回も観てしまった。サックス、かっこいいなあ、よし習っていつか娘の結婚式に演奏してみよう、と決意した。
 始めにちょっとお高いサックスを購入。自分が形から入るタイプということもあるけど、高価なものを買えばもったいなくて途中で辞められないから。(家族には借りていることに。だけどバレバレだった)

週1回教室に通い、年に1、2度は発表会で演奏する。大きな音を出すことは自宅では難しく、スーパーの屋上駐車場に停めたマイカーの中、人の少ない公園、伊木の森の頂上がもっぱら練習場所。昨年は念願かなって娘の結婚式でドリカムの「未来予想図Ⅱ」をサプライズでソロ演奏し、家族も喜んでくれた。

 定年の1年前に退職し、家業の農業を継いで6年。退職する時はこれでいろんなストレスともオサラバできると思っていたら、家業というのも意外とストレスは多い。でもそんな時は趣味のサックスとバイクがあるさ、飲みに行く友人たちもいるし。と気持ちを切り替える。
 「サックスもあくまで素人の趣味なんだから無理はしない。裏拍とか16音符の連符とかはムリムリ!

発表会に吹く楽曲も、難しい部分は自分に合うレベルに先生がアレンジしてくれる。今まで吹いてきた曲は、長渕 剛の「乾杯」、尾崎 豊の「I love you」、スタンドバイミー、中島みゆきの「時代」、松田聖子…吹くのはポップスが多いけど、ジャズもロックも音楽は何でも好き。会話は常に冗談まじりの林さんだが行動はきっちり。メリハリは必要だから発表会には出ると決めている。「ただ、発表会に向けて数ヶ月前から一生懸命練習しても、終わったら抜けちゃうけどね(笑)」。サックスは難しい、でも楽しいと語る林さん。
 娘の結婚式に吹くという第1目標は達成した。「今後?このまま健康でいつまでもサックスが吹けたらそれでいいな。息が続くまでね。目指せ、90歳プレーヤーだね。高いとこ目指さなくていいの。生き甲斐でいいの。人生は楽しまないとね」。

※『スウィングガールズ』は、2004年公開の日本映画。東北の片田舎の落ちこぼれ女子高校生がビッグバンドを組んで、ジャズを演奏する青春映画。キャッチフレーズは「ジャズやるべ!」。 楽器店での管楽器の売り上げが数割ほど伸びるというある種の社会現象まで引き起こすなどといった反響を得た。

えんぴつカフェ 
4月16日に開催予定だったテーマについて。 
<自分の葬儀をどうしたい?>

人生これから!「これからをどう生きるか」を念頭に、「自分の葬儀について」どういう準備が必要で希望はどの程度叶えられるかを調べてみました。

自分の葬儀、どうしたい?(7月16日開催)

 今まで様々な方の意見を聞いてきました。意見や希望は大きく3つに分かれます。
1つは、普通の葬儀で行いたい。
2つ目は、本人の希望通りに行う。
3つ目は、残されたもののやりたいように。
 いい悪いという問題ではなく、自分はどうしたいか、が大事。今回は無宗教葬儀(自由葬)について。特定の宗教宗派の儀礼を行わずに葬儀と告別式を行う自由葬について情報を共有します。

 ・決まったルールはない・どんな葬儀を行いたいか生前から決めておく・葬儀社とよく相談しておく。無宗教葬儀(自由葬)では、宗教的な縛りがないため、葬儀内容をしっかりと組み立てる必要があります。
 例えば「音楽葬」。故人が生前好きだった音楽を流しながら進行していく。 ピアノやバイオリン、トランペットなどの楽器による生演奏や合唱隊による歌などもいいですね。あらかじめ録音しておき、BGMとして流すこともできます。「大好きな絵本の朗読」で送ってもらうのもいいね。一つアイデアが出ると、連鎖していき、思わぬ展開になることも。
えんぴつカフェでは、自分の葬儀の設計図を起こしてみます。文章でもイラストでもオーケー。おしゃべりしながら書いていきます

えんぴつカフェは毎月第3木曜日 13:30-15:30
にらめっこ編集室にて。詳しくはお知らせのページ参照ください。
「人生これから!」(非営利活動市民団体)
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)





vol.196 熱中人 岡田 千穂さん

その人の人生の節目に立ち会える
 一瞬を切り取る写真は、伝えるためのツールともなる

写真家 岡田 千穂(おかだ ちいほ)さん

基本「人」を撮るのが好き

 「私にとって写真は伝えるためのツールです。思っていることを人にうまく伝えられなくて…写真が代弁してくれたことはたくさんありました。自分の視点と考え方、想い、感情を通して写真になっています。」と語るちいほさんは、大学は人文学部でコミュニケーション学科を専攻だった。授業ではメディアリテラシーの講義が多かった。情報を読み解く、鵜呑みはしないとか。それを通じて自分が発信する力を身につけるという授業内容は興味深かかったが、自身はコミュニケーションに興味があった。写真を撮るのはセッションだというちいほさん。対話をしながら、その人の顔の表情や声、何気ないしぐさから、その人らしさを引き出すのが自分の役割だと。

 卒業してから三重県亀山市の写真館で働き始める。結婚式の写真を撮る仕事でいきなり現場に放り込まれた。さまざまな現場に通い撮影を学んでいった。ライブハウス、クラブ、フェスなどの撮影も多く、人の動きを追っかけたり、暗いところでも撮影した。映像とか照明とかのシチュエーションを整えたりもした。徹底した現場主義。その経験が今すごく活きているという。
 「写真は独学です。カメラは全てマニュアル設定。自分が大切にしていることは『臨場感』かな。ライブでは撮影しているのを気づかれないようこっそり撮っていましたね。ファインダーをのぞいていると、撮られてるって思われますし、そうすると緊張してしまいますから。今、この瞬間!ありのままを大事にしたいので。」
 相手が撮られているのが気持ちいいと思ってもらえるような雰囲気を作ってきた。基本的には、気づかれていない間に撮ることを心がけている。

 今、津市内で「10×10展」を開催している。10店舗に自分の写真を置いてもらう。一ヶ月ごとに写真を入れ替え、10ヶ月間続けるというプロジェクト。お金を介さないで、お店の商品や、三重の風景など、そのお店を醸し出す写真を撮っている。それはお店とのセッションとなり、そこに来る人を想像して撮る写真ともいえる。そこから来店された人とつながることができる。とても学びの多い企画だ。
 「津市内で展覧会をしている気分です。今はコロナの影響でお休みのお店もあり展示できないことはありますが、昔ながらのお店とか、年配のオーナーさんは何一つ変わらない。何があっても動じない。肝が座っているというか、お店はその方の人生の一部なんですね。」

たいようをおとづれた人を撮影しギャラリーに展示。

カメラとの楽しい時間

 さらに新しい試みも。愛知県春日井市の、たいようhuman connection naturalで、CPWの新しい写真展「『ポートレイト』/インスタレーション作品と撮影会」を5月6日にスタートした。たいようで出会った人の写真を撮影させてもらい、その場でプリント。ギャラリースペースにいっぱい飾って繋いでひとつにした。30日のクロージングにはインスタレーション作品は見事にたいようの形になった。(写真)
 「ポートレートの撮影は、その人の人生の節目、それまでの自分を封じ込めることもできる。そういう瞬間に携わることで、撮影者である自分が次のステップへ後押しをしている感じで、その方の内面に触れセッションしている感覚になります。」
 「ある時、『仕事を辞めて、今までの自分と違う自分になりたい、何も纏わないあるがままの自分を取ってほしい』という依頼がありました。写真を撮ることで、自分を客観的に見ること、見えること、自分って結構いいじゃんって思えること、コンプレックスとか、その人のエネルギーとか、気持ちいい、元気になれる…。そんな側面があるのが写真です。美しさも大切だけど、その人らしさが映り込むよう努力をしています。」と、当時を回想するちいほさんは、未来を見据えた表情になった。

今後は “ 写真でセッション”を世界で繰り広げたい。

 これからは本当にやりたいことだけをやろうと決めた。そのために独立した。
 セッションは対話。言葉ではなくても、写真というツールでコミュニケーションを取り続けるのが、ちいほ流写真なのだろう。


おかだ ちいほ
1989年生まれ。三重県出身。フォトグラファー。
写真活動10年目にして
写真ユニット「Chiiho photography&works」(CPW)を2019年より始動。
愛とエネルギーの伝わる人物写真を得意とする。


vol.196  夢か悪夢かリニアが通る!vol.25

 旧国鉄の分割・民営化を推進したJR東日本元社長の松田昌士氏が5月19日、84歳で亡くなりました。JR東海名誉会長の葛西敬之氏らとともに「国鉄改革3人組」の一人。労組元組合長との蜜月、道路公団民営化での一徹さなど評価は割れるようですが、リニア中央新幹線を特集した日経ビジネス2018年8月20日号では歯に衣着せぬ次のような発言が紹介されています。「歴代のリニア開発のトップと付き合ってきたが、みんな『リニアはダメだ』って言うんだ。やろうと言うのは、みんな事務屋なんだよ」「俺はリニアは乗らない。だって、地下の深いところだから、死骸も出てこねえわな」。新型コロナウイルス感染拡大で価値観が激変する今、松田氏ならリニアをどのように語ったでしょうか。     井澤宏明・ジャーナリスト


揺らぐ「便利」「速い」

リニア南アルプストンネル工事の模型。トンネル掘削で湧き出した地下水を「導水路トンネル」で大井川に戻す計画だというが(国土交通省提供)

“強行”された会議

 政府が緊急事態宣言を発令して「不要不急」の外出自粛などを求めた4月下旬、集団感染も疑われていた国土交通省が“強行”した会議が波紋を呼びました。
 会議はリニアを巡る有識者会議。主なテーマは、南アルプスを貫く巨大トンネルを建設する影響で静岡県の大井川の流量が減る問題です。同県や流域自治体はこれまで、「JR東海の対策は県民が安心できるレベルに達していない」として着工を認めてきませんでした。品川-名古屋間の開業予定の2027年が7年後に迫る中、同省が「調整役」に乗り出した形です。
 4月27日の初会合はちぐはぐさが目につきました。会議は感染拡大防止のため「オンライン形式」で、取材も一部を除いてオンラインに限られました。ところが、委員7人のうち4人が同省に集まりました。建物内にある同省自動車局で9人(その後11人に)の感染者が確認されていたのにも関わらずです。
 会議の冒頭で、同省の水嶋智鉄道局長は「国民の大きな関心事項。いたずらに時間をかけるわけにはいかない」と開催の大切さを訴えました。が、JR東海の金子慎社長が名古屋からオンラインで出席して、「私どもはリニアが有益な事業だからと環境保全を軽んじるつもりは全くないが、県も南アルプスの環境が重要であるからといって、あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ、着工も認めないというのは法律(環境影響評価法)の趣旨に反するのではないか。有識者会議では、県の提起している課題の是非、即ち、いくら何でも事業者にそこまで求めるのは無理なのではないかという点も含めて審議をいただければ幸いだ」と発言してひんしゅくを買いました。
 県と自治体は猛抗議、国交省が金子社長の発言は「会議の趣旨にそぐわず反省を促す」などと文書や口頭で注意する騒ぎになり、金子社長は発言の撤回、謝罪に追い込まれました。「『3密』を避けている。集中的にやりたい」(同省の事務局)と急いだ会議は裏目に出ました。

静岡県民を中傷

 舌の根も乾かぬうちに金子社長は5月29日の記者会見で「6月中に(静岡県の)準備工事の了解が得られないと、27年開業は難しくなる」と発言しました。静岡新聞は「県民を中傷 ネットで相次ぐ」という見出しで、リニア問題で県民への心ない中傷が相次いでいることを伝えていました。
 6月2日に開かれた有識者会議の3回目の会合後、出席した宇野護副社長にオンラインで尋ねてみました。筆者「金子社長の発言によって、『静岡県が27年の工事を遅らせている』という風当たりがネット上で強まっているようだが、もう少し配慮が必要ではないか。実際、沿線の色んなところで工事は遅れていて、27年(開業)というのは客観的に不可能ではないか」、宇野副社長「静岡工区のような状況になっているところはないと思っているし、色々苦労しながら着実に進めてきているというふうに考えている」
 東海道新幹線の大型連休の乗客は前年より94%減りました。オンライン会議やテレワークが急拡大しリニアの意義も揺らいでいます。建設自体に反対ではなかった静岡県の川勝平太知事も4月30日の定例記者会見で「リニアが立脚している哲学『便利、速い』だけを追求していいのか」と疑問を投げかけています。

「集団感染」が疑われていた国土交通省で開かれた有識者会議(4月27日、国土交通省提供)



                                  井澤宏明・ジャーナリスト


vol.196 ボーダーレス社会をめざして vol.55

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

青年学級

 毎月1回、ボウリング、バス旅行、お茶会、博物館や美術館での鑑賞、飲み会、料理教室などを行っている障がい者で作る「青年学級」というものがあります。忘年会は毎年、岐阜グランドホテルで会食します。いつも静かに皆さんフォークとナイフを使い、昼食をいただきます。騒ぐ人は一人もいません。青年学級に来ているレベル(一人で公共交通機関を使える)の人は、ほんの少しの的確な支援で、理解し行動できます。本当に彼らの特徴を知っていれば、少しの支援で普通と呼ばれる人たちと何も変わらないくらいにできるのです。
 息子が、特別支援学校の高等部を卒業する時に、障がいのある人が社会に出てから孤立しないようにという趣旨に賛同して下さった人と青年学級を立ち上げました。当時、私はPTA会長をしていて、学校を卒業した後、障がいのある人が楽しく過ごせる時間を持つことができないか?25年前ですが、岐阜市にはすでに、青年学級というものがありましたので、各務原市にも作れないか考えていると校長先生にお話をしたら、先生方がボランティアでお手伝いをするから、始めましょうということになりました。
 息子が卒業した翌月の4月から、毎月1回何か行事をするということでスタートしましたが、当初は世話人2人、参加者2人というように人気のない青年学級でした。しかし、今では30名弱の登録者がいて、毎回5人以上の参加があります。年度初めに、開級式というものを行い年間計画を作ります。「ボウリングは年2回やりたいから減らさないで。」「旅行は京都などの観光より、○○狩りとか、遊園地がいい」など、年度末に皆さんの気持ちを聞き、世話人の集まりでそれを反映し年間計画を予め作っておきます。それをもとに開級式で、月毎の行事を進行する当番やバス旅行先を決めます。バス旅行の行き先は、3つの案から行程表や費用を考え挙手により多数決をします。
 今までユニバーサルスタジオ、長島スパーランド、志摩スペイン村、ラグーナテンボス、京都、奈良などいろいろな所へ行っています。できる限りご本人たちの意思を尊重するよう、世話人が前に出ないお手伝いを心掛けています。現在は青年学級を理解して下さっている人たちで「知的障がい者の余暇活動を支える会」というものを作り運営をしています。私は今、世話人の一人となり少しだけお手伝いをしています。
 2年前の忘年会の帰りのバスで「今日、楽しんだから、明日からまた頑張る!」と言った人がいて、青年学級を続けてきた意義は、この一言に尽きると思いました。今年は、残念ですが新型コロナウィルスの関係で、1年間お休みになりました。笑顔の皆さんにまた会えるのを楽しみにしています。


vol.196 菌ちゃん野菜応援団 vol.17

 ようやく緊急事態宣言が解除されてホッと一息ついているところですね。とはいえ、畑は夏にむけて忙しい時期。
 畑活のメンバーたちとは気を遣いつつも濃厚接触ならぬ農耕接触をしまくり、やれ芽が出ただの、花が咲いただの自粛ならぬ自祝をしまくっておりました。あまりに込み合ったところは「ソーシャルディスタンス大事だからね」と間引きをし、引いたお野菜はありがたく頂き。 こうやってややもすればストレスでキューっとなってしまいがちな気持ちを笑いで切り替え切り替えしていくことも大切ですね。こどもたちも畑ではのびのびと走り回っているのをみてどれだけホッとしたかわかりません。部屋の中ばかりでおかしくなりそう、と畑に親子で来られる方も多くいました。

 身体をうごかして新鮮な空気を胸一杯吸い込む。これがどれほど大切なことか。そして、病に負けない身体を作ることがどれほど大切か。

 この春改めて思ったこと。人も野菜も菌活だ!でした。みていると、弱い苗にはあっという間に虫がつき、瞬く間にぼろぼろにされてしまうんですね。あかんあかん、とあわてて草を敷いて菌ちゃんを振り掛けて。1週間もすると見事に蘇っているのを見るともう感動!!

 人もお野菜も弱ったら病気や虫にやられるんやもん、元気でいるためには菌ちゃんが必要なんやな。人も野菜も免疫力の低下が一番あかんね。コロナを乗りきるにも菌活だねぇ、
なんて話したりしていました。

菌活の第一歩は除菌殺菌をしないこと

 アフターコロナにむけて心も身体も免疫力アップしていきたいですね。

http://www.famunitylink.com/hatakatsuchat
畑活に興味がある人、畑活したい人、
畑活をしている人のオープンチャットグループです!


vol.196 未来に続く暮しの学びPrt-37

変化。受容。進化。

 ここ数か月、外出禁止令や罰金など法律的にかなり厳しく取り締まられていました。スーパーと薬局と銀行以外は締まり、学校も休校、社交生活の機会も途絶え、普段の生活が停止していた期間です。そんな中この地域では、自給自足の意識が芽生えたように感じます。

 まずは畑!!自家菜園、家庭菜園で必要な情報を交換したり、いままで畑に興味をもっていなかった友達も、パラダイスの畑を手伝いながら、野菜の育て方を学んだり、種を集めたり、コンポストの作り方を学んだりし始めました。

 パラダイスのメンバーも、畑に対して愛が芽生えたようで、みんなが参加するようになり、雑草林だったところがすっかりにきれいになりました。たくさんの手が畑に入るとこんなにも変化するものかと、みんなで感心しながら、お互いの顔を見るとつい笑みがこぼれます。

 ここの畑はかなり規模が広いので、すぐ雑草に覆われる場所が多いのですが、この数か月の手入れで、見違えるように美しく変化してとてもうれしく感じています。雑草やつたに埋もれていた、苗木や、果樹の木を再発見したりと、歳月をさかのぼって、もう一度、7年前に始めた畑と向かい合うという作業をしているように感じます。

 果樹の木の成長具合をみて、歳月がたっていることを再実感して、振り返り、ちょっと感傷的にもなったりして。。。。

 ここのメンバーは、ほぼアートを生業として生活している人たちなので、社交生活ができないなら、創作と畑をやるしかないなという感じで、ありがたいことに平和に暮らせています。ま、田舎なのもありますけどね。そこは自然の恵みにほんとに心から感謝です。そんなわけで畑が中心のコミュニティーに変化しました。

 もともと、そうあるべきなのが、土地の管理、経営、運営に手間取りすぎていたんだなと、この数か月を振り返りつくづく感じています。

 少しずつ普段の生活に戻りつつある状況ですが、一度起こった意識の変化は、これから前向きに変化して、進化していくように感じています。自然とともに、安心して生きられる生き方を見つけていきたいですね。

やお


vol.196 半農半X vol.37

遠慮のこころ        

 「遠慮する」といえば、他者に対して、控え目にすること、出しゃばらない意味ですが、その原意は、「遠い将来まで見通して、深く考えること」だそうです。遠い未来への配慮。「遠慮」とは、何とも尊い言葉なのですね。いまはすこし遠慮のない時代となっています。孫子が暮らすことになる時代に対して、私たち大人世代が少しでも配慮することで地球温暖化など、結果は大きく変わっていくと思います。こころに余裕を少し持ち、遠慮のこころをもってゆっくり生きる。いまの私たちにはそんなことが問われているようです。

新しい和の時代

 いまは「和ブーム」「和の時代」のようです。月の満ち欠けの入ったカレンダーや手帳が人気だったり、旧暦を見直す本もたくさん出版され、旧暦を大事にする人が着実に増えていることを実感します。特に若い人にそうした傾向があるのはこの国の希望の1つといっていいかもしれません。時代はますます月のリズムや先人の知恵をライフスタイルに取り入れる方向にゆっくり流れているようです。人間中心主義を超えて、万象と調和し、平和に暮らし合う「和」の考え方や発想は、おそらく今後の世界にとって、大きな財産になるであろうし、日本が世界に真に貢献できることの核の1つなのかもしれません。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.196 ここいく日記 はじめの13歩!

~自分らしく~自分を大切に~

 ここいくの授業の中で、随所に出てくるワード「自分らしく」。これは「あなたはあなたのままでいいよ」という私たちの想いが入っています。
 みんなと同じように出来る子が“良い子”だと見られ、みんなと違うことをすると、“変わった子”という目で見られ、“問題児”というレッテルが貼られます。又、自分は人と違うと感じると、不安になり自分を出せなくなる子もいます。身体つき、勉強、運動など人と比べ、劣等感を抱く子も多くいます。
 特に性違和を抱える子ども達(大人も)は誰にも打ち明けられなかったり、理解されなかったり、差別を受けたりと苦しんでいることが多いです。
 『3億もの精子から、たった1つ卵子にたどり着いて命になる。もし他の精子が入っていたらみんなとは違う他の誰かになっていたんだよ。』
 いのちの成立ちの授業の中で、精子と卵子の出会いを伝えます。一人一人違って当たり前なんですね。

 自分らしく生きる、こんな当たり前のことが、なかなか難しい現代になってきていると感じます。違いを認め合える人間関係を築いてほしい、そのために変わるのは大人、教育、社会だと思っています。
 もう1つ授業の中で、特に心の話、性交の話の中に出てくる「自分を大切に」という言葉があります。
 「自分を大切にしていれば、相手のことも大切にできる」
 新型コロナウイルスの影響で自粛期間が3ヶ月ありました。その中で中高生の妊娠に関する相談が急増しているそうです。その背景には自粛期間中、彼(彼女)の家で会う回数が増えたことによる原因が多いそうです。親は仕事でいない場合が多いからですね。

 相談の多くは、妊娠したのかも・・・という不安を抱えた女の子からが多いそうです。
 又、妊娠検査薬で陽性と出たことを信じたくない、現実を受け入れることができない子もいて、その裏に、親に言えない、学校に行けなくなるという不安があります。中高生のうちにSEXに及んでしまう子どもの多くは、「親に言えない」子がほとんどだそうです。親子関係が密接に関係しているとも言われています。私たちの授業は、親子で見てもらうことが大事だと思って活動をしています。
 正しい性の知識を親子で知る事で、自分の身を守ることができ、親もまたタブーな性の事が、大切なこととして話せるきっかけになり、子どもも話しやすくなります。

 昨年“人間と性”教育研究協議会 全国夏期セミナーで、ある高校の模擬授業を受けました。そこで『自分を大切にする』とは『自分で決めること』だと聞き、なぜか号泣してしまいました。その頃、色んな不安を抱えていた私は、何かあるごとに悪い方向に考え、気持ちがゆらゆらとしていました。自分で決めることは、覚悟がいります。でも『あ~自分で決めていいんだ』という安堵感が生まれました。私自身、何度も聞いている言葉なのに、よくわかっていなかった。。。自分の中に落ちた瞬間でした。

 性教育は、小さい頃から何度も繰り返し聞くことで、自分のものになってきます。いざという時には自分や大切な人を守る事にも繋がります。
 今年度、学校の再開が2ヶ月遅れて始まります。昨年度40件あったいのちの授業はかなり少なくなると予想されます。でも現実を考えると、一人でも多くの子ども達に伝えたい。。。ここいくの活動の仕方も、大きく転換する時なのかなぁと感じています。
 今年はここいく10周年!コロナのことで先が見えなくなっていた企画もそろそろ動き出します。
 詳しくはまた今度!楽しみにしていてくださいね(^_^) 

担当:ここいくメンバー・今尾幸子でした。


vol.196 トンガからこんにちは! 連載-2

 Malo e lelei !!(こんにちは)いかがお過ごしでしょうか?
 さて、緊急事態宣言中はどのように過ごされましたか??

 トンガの離島は、娯楽施設がないです。あるのは、海。透き通るような海。そして、その海を映し出しているかのような、爽快な空。夜になると満天の星が輝いてます。その海にぷかーんと浮いたり、近所の犬と遊ぶと、トンガ人と擦り合わなかった感情や何もできない自分への虚無感も、スーーーーーっと、流れていく気がしていました。

 いつもいつも、波の音を聞き、海を横目にして過ごした7ヶ月間。肥満対策に行く!と張り切っていた気持ちは、なかなか活発な活動につながらなかったのですが、海のおかげで、快適に過ごしておりました。
 そして、ふと「あぁ、このテンポ。ここ、農業省なのに、暑い日は日陰で涼みながらおしゃべり。何にも進んでないけど、このテンポがいいんだ。何にも進まないくらいが、海を清潔に保てるスピードってことなのかもしれない。」なんて思ったことがあります。コロナウィルスによる避難帰国の通達を受ける1週間ほど前のことでした。
 そしたら、やっぱり朗報、経済活動が止まったことによる環境の変化(一時的だとしても)と言えるようなニュースが続々と集まっているんだとか。ベネチアの水路が綺麗になったとか、ヒマラヤ山脈が見えるようになったとか…
 私たちは今、何をして生きるかと共に、どういうスピードで歩んでいくのか?にも目を向ける時なのかもしれないと思っています。

 と言うと、トンガの暮らしがさもクリーンで、環境問題がないかのように聞こえますが、あります。あるんです。ゴミ!プラスチックゴミ!金属!車!森に捨て放題!
小さな離島には工場がないので、森がゴミ捨て場です。

 ハーパイではペットボトルやお菓子のパッケージ、様々な輸入商品は最終的に森に持っていくことになるのですが、このようなものに対する「ゴミ」の意識が全くありません。お菓子を食べ終わった後は、オフィスであろうと、道端であろうと、ビーチであろうと、スルスルと彼らの手から抜け落ちてしまいます。むしろ、物に対する執着?関心?が極めて低くて、まだ中身があっても、その辺に転がって行きます。それは時に、Bahebahe(バヘバヘ)と言う「分け合う」精神にもつながっていて、良い面もあります。しかし、ゴミ拾いする私に「熱でもあるの?」とバカにされた時には、流石に教育の差を感じました。普段は学校教育の必然性をあまり感じていなかったのですが・・・

 その一方で、日本と違い、「フードロス」(食品廃棄物・可食部)「フードウェイスト」(食品廃棄物・可食+非可食部)は限りなくゼロに近い気がします。それぞれの家庭で豚や鶏、犬などの動物を飼っているからです。私は家で生ゴミが出たら、庭に”ポーイ”と捨てて、お隣の犬や鶏に勝手に食べてもらってました。 コンポストすら必要なしです。会食をした時に魚や肉の骨が出ても、みなさん動物用に持って帰っていたし、食べ物=ゴミにする感覚はない気がします。そうして、元気に育った豚さん、鶏さんを晴れの日に丸焼きにしていただきます。

 食の循環が分断された日本の多くの都市では、こうゆう食糧サイクルは見られません。加工品も多く、全てがパッケージされています。フードロスの削減はプラスチックゴミの削減にもつながる、食の一大問題と言えるでしょう。コロナをきっかけに、増えているテイクアウト用プラスチックパッケージ・・・環境問題に目を背けず、一人ひとりが自分ごとにできる日は訪れるだろうか!?

 ゴミ処理工場があろうがなかろうが、分別してリサイクルできようが、まず自分が手にとり、使うもの、食べるもの、関わるものに責任を持った行動をしたいですね。私は、俄然あの綺麗なトンガの海を守るために!頑張ります♩

全隊員の帰国指示
COVID-19の影響でJICA全隊員一時帰国中。多くの途上国では医療が整う先進国へのアクセスか良いことが活動の安心材料でもあります。いつトンガに帰れるかはわかりませんが、トンガの魅力が伝わるように頑張ります!引き続きよろしくお願いいたします!


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中。


vol.196 プレゼントコーナー

1- あなたの「おこもり術は?」
 StayHome中はなにをしてた?教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係り
までお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.神のお米【神月】 3合
 自然農縁 月とたね様より…2名様

お米つくりは水が大切、と美味しい米作りにこだわり、東白川村に移り住んだ「自然農縁 月とたね」さん。昔ながらの農法を家族で営んでいます。八分つきか玄米、どちらを希望か明記してね。


B.『人生これから!Note』
    人生これから!様より…5名

NPO「人生これから!」が昨年度の活動を通して得た“いきいき暮らすヒント”満載のハンドブック。食(薬膳)・運動(ゆる体操)・脳活(歌)・これからの生き方について、など。A5サイズ36ページです。


C.作家さんの豆皿
アートギャラリー是様より…2名様

こんな可愛い豆皿があると便利なだけでなく、食卓がグンとセンスアップしちゃう!花形か、豆形、ご希望の皿を明記してね。にらめっこ編集室でお受け取りください。
花形・直径約80ミリ4枚セット
豆形・約70×40ミリ5枚セット


D.CINEX映画招待券
  シネックス様より…ペア3組様

おうち時間もいいけれど、やっぱ大スクリーンで観る映画は最高!コロナ対策しっかりして心ゆくまで楽しもう!写真は「三島由紀夫VS東大全共闘50 年目の真実」より。


*** にらめっこ レンタルスペース

障子も張り替え、だんだん心地よい空間になってきました。この空間をみなさんとシェアしたくて「レンタルスペース」としてお使いいただけたらと思います。ヨガや整体とか、きまぐれランチ会とかミーティング、ワンデーカフェなど、人が集う空間としてご活用ください。興味がある方はにらめっこ編集室までご連絡ください。


vol.195 見えないものに対峙するPart-1

 新型肺炎コロナウィルスが世界中で猛威を振るっています。さまざまな情報が新聞、テレビ、SNSなどに氾濫していますが、目が回りそうになってませんか?
 どの情報を選択し、納得するかは自分が選ぶことですが、
ここはひとつ基本に立ち返りたいもの。ではその「基本」とはなんでしょう?「自然は人間を必要としない。人間には自然が必要。」Webサイト“NATURE IS SPEAKING”~自然は語る~をぜひご覧になってください。私はここで発信していることが基本であると考えます。今回のコロナウイルスと直接には関係が見出せないと感じるかもしれませんが、私たちが地球に与え続けているインパクトについて、今こそしっかりと考える時ではないでしょうか。
 今号では、まず、コロナウイルスにどう対峙したらいいか。その「基本」を特集しました。

コロナウィルスの感染拡大が深刻化するニューヨークで、カフェを営んでいる友人から、こんなメッセージが届きました。

ー私はたぶん感染しました。すぐ隣の大きなビルで陽性者が確認されました。私と友人3人はあっという間に熱が出ました。友人たちは3日くらいで回復。私は9日間ほど熱が上がったり下がったりでしたが、ジンジャードリンクと緑茶をガンガン飲みました。食欲はなかったけど、梅干しやキムチ、鶏肉を食べて乗り切りました。
 病院は咳などで苦しくならないと診てもらえないので、行かなかったけれど、あのウイルスのしつこい感じは今まで経験した事のない強い感じでした。人によって症状はだいぶ違うようだけど、私は咳は出なかったので多分軽い症状だったんだと思います。自分の免疫とウイルスが体の中で戦っている感じでした。最後いよいよ自分の免疫がキックインしたって感じが良くわかりました。
 だから普段から免疫力を上げるような生活を心がけなきゃね。中でも食べる事はマジ大事だと実感しました。熱で汗がめちゃ出たけど、体が冷えないように温め続けました。私が取った処置は普通の風邪を引いた時の強化版みたいなベイシックな事だけど、いろんな病気に効くような気もします。ひどくなってしまえばお医者さんに行かねばムリだけど、最小限に症状を抑える事はできるかも。もう大丈夫ですが、お店は閉めているので、この際だからゆっくりしてます。
 今は「おばあちゃんの知恵袋」のように、大勢の人が知恵を出し合って新しいウイルスや病気ときちんと向き合っていく時代なのかもしれません。
 人の身体は食べた物でできるので、強化するには、簡単でもいいから自炊して安心して食べられる物を摂取していくのが良いよね。常在菌は自分に1番あう酵素を作るわけだから。これを機に、自炊する習慣がない人がお料理に関心を少しでも持てるようになって欲しいと思います。     from NY

 ニューヨークの友人のメールにもあるように、人間の体にはすばらしい「免疫システム」が備わっています。その免疫力がコロナに打ち勝ったという内容には、改めて人間の体の神秘さに触れた気がしました。

免疫とは自己防衛システムのこと

 免疫力とは「疫(病気)」を免れる力のこと。外から侵入した細菌やウイルスを撃退したり、体内のがん細胞を退治したりするために、体に備わっている防衛システムです。

免疫力が下がると
■ ウィルス・感染症などにかかりやすくなる
■ 肌が荒れる
■ アレルギー症状(花粉症・アト ピーなど)が生じやすくなる
■ 下痢をしやすくなる
■ 疲れやすくなる

免疫力を高めるには、毎日の生活が大切です。
① 適度な運動をする
② ぐっすり眠る
③ 栄養バランスを大切に
④ 入浴で身体を温める
⑤ 思いっきり笑う

免疫力を高めるには、
1-腸内環境を整える
 人間の身体は、口から肛門まで続くトンネルのような構造になっています。
腸は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているのと同じです。 食事や呼吸をするたびに、腸は食べ物だけでなく、病原体となる細菌やウイルスにも毎日触れています。免疫細胞の約6割は腸にいると言われます。 腸内の免疫細胞を活性化できる食べ物をとっているかどうかが、免疫力を大きく左右します

2-体温を上げること                   <身体を温める食べ物•陽性>野菜類…生姜、唐辛子、ニンニク ニラ、大根、長ネギ、ゴボウ、タ マネギなど
果物・ナッツ類…栗、松の実、桃 ざくろなど
魚介類…サバ、アジ、イワシ、エビ カツオなど
肉類…羊肉、鶏肉、鹿肉など
その他…卵、みりん、ごま油、味噌 など2-体温を上げること<身体を温める食べ物•陽性>野菜類…生姜、唐辛子、ニンニク ニラ、大根、長ネギ、ゴボウ、タ マネギなど
果物・ナッツ類…栗、松の実、桃 ざくろなど
魚介類…サバ、アジ、イワシ、エビ カツオなど
肉類…羊肉、鶏肉、鹿肉など
その他…卵、みりん、ごま油、味噌 など

<身体を冷やす食べ物•陰性>
・穀類…そば、小麦
・果物・ナッツ類…バナナ、柿、梨、  マンゴー、パイナップルなど
・魚介類…カニ、牡蠣、しじみなど
・肉類…馬肉
・その他…こんにゃく、バターなど
・飲み物…牛乳、緑茶、コーヒーなど

体を冷やす食材を摂る場合は、加熱調理をしたり、体を温める性質のある陽性の食材と一緒に摂ったり、香辛料や香味野菜を添える、発酵させるといった工夫で、バランスをとるようにしましょう。

 私たちは何段階にも組織された複雑な免疫システムを持っています。その免疫力を十分発揮できるような生活を!実はそれが意外と簡単で、1か月以内に免疫力はかなり上がります。

方法は大きく分けて3つ

① 腸内を発酵環境にすること
1-腹八分目。おなかが空いてから食べる。
  空腹時が最高に免疫力が高くなる。
2-おなかだけは冷やさない。
3-よく噛むことで唾液と食べ物を混ぜてから飲み込む。
4-本物(無添加)の発酵食品(みそ、醤油、酢、漬け物)を選ぶ。
5- 旬の有機野菜を食べる。
6-寝る前におへそに手を当てて、「おなかの菌ちゃんありがとう」って言いながらおなかをの字を書くようにさする。
1〜6を実践すると1日~数日で腸が発酵環境に!

② 微量栄養素を取ること
1-小魚を頭ごと食べる。お勧めは毎日煮干しを10匹、嫌いな人は、昆布でも可。
2-野菜は生で食べるより、味噌汁や煮物にしてスープごと食べる。きれいな皮や生長点 は微量栄養素が集中しているので捨てない。
3-ご飯は分づき米にする。できれば雑穀や豆 を混ぜる。

③ その他
1-「あいうべ体操」で、口呼吸から鼻呼吸へ。
2-ジュースやお菓子など甘いものを食べすぎると、
  免疫細胞の働きが速攻弱まります。
3-ワクワクする。笑う。

この機会にできるだけたくさん、
本気でやってみませんか。

 今回のウイルスは無症状なのに、陽性で感染力がある人と、陰性で感染力のない人に分かれます。同じ無症状でも、ウイルスは体中に蔓延してしまっている人と、そうなる前に押さえ込んで人に感染させることのない人がいると言うことです。自分は元気だからと言って、身体が弱くて一生懸命生きておられる人に感染させたくありません。最高に免疫力を上げて、誰にも感染させない体になりましょうよ。


vol.195 見えないものに対峙するPart-2

感染を防ぐには

宮沢孝幸氏(京都大学准教授)のメッセージより

まず、自分は今、感染している!(無症状で)「誰にも移しちゃいけない!」そう考えるところから始まる。移らないようにするより、「移さないこと」に意識を集中する。それをみんなでやれば、たとえ今自分が感染していなくても、他から移されないということだ。みんなでやれば、みんなが助かる。

ウィルスが出てくるのは、咳とか唾とか呼気とかから。感染者がマスクをすればほぼ防げる。普通の呼気だけでは移らない。なるべく鼻で息を吸う。口呼吸で思い切りウイルスを肺の奥に吸い込むことはNG。(肺の奥でウイルスが増殖しだしたら終わり)

次にどこかについているウイルスからの感染。実はこっちが重要!大抵は手から移る。外出中は手で目や鼻、口を触らない。
意外と難しいが、気にしていれば大丈夫!

感染症流行期のメンタルヘルス管理

世界保健機構(WHO)が推奨するメンタル面の新型コロナウィルス対策

一般の人
✿「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」という名称を民  族や国籍につけて用いない。COVID-19にかかった人」とし  以下の言い方は避ける。
  COVID-19患者 COVID-19患者の家族 犠牲者 病人
✿ストレスや不安を起こすニュースを極力回避。噂やデマで  はなく事実を入手する。
✿ COVID-19から回復した人の話や支援グループなど、ポジ   ティブで希望に満ちた話や画像に触れる。
✿ 医療従事者や対応に当たる人たちに敬意を払う。
✿ 子どもにはポジティブな感情表現を促す。創造的活動を行  わせ、可能なら日課を続けさせる。

外出制限の人
✿ 電子メール、携帯電話、ソーシャルメディアなどで、他人  とのつながりを維持する。可能であれば、日課を続ける。  新しい日課を作る。
✿ 自身の要求や感情に注意を払う。楽しく、リラックスでき  ることをする。

高齢者、基礎疾患のある人
✿ 毎日簡単な体操をし、日課を続ける。環境が変わった場合は、  新しい日課を作る。
✿ 衣料品を入手する手はずを整え、生活を支えるサービスを  受けられるよう連絡をしておく。
✿ 個人情報、連絡先、医薬品、衣類、飲料水などを入れた非  常用バッグを準備しておく。

 感染症が当たり前の自然界では、「社会的距離」をとる戦略はとりたてて新しい概念ではない。事実、いくつかの社会的な種は、病原体に感染した仲間をコミュニティーから追放する。

 霊長類学者のジェーン・グドール氏は1966年、タンザニアのゴンベ国立公園でチンパンジーを研究していたとき、感染力の強いポリオ(小児まひ)ウイルスによる感染症になったマクレガーという個体を観察した。仲間たちはマクレガーを攻撃し、群れから追放した。あるとき、体の一部がまひしたマクレガーが、樹上でグルーミングしている仲間たちに社会的接触を求め、あいさつしようと手を伸ばした。しかし、仲間たちは立ち去り振り返ることすらなかった。人間と同様、チンパンジーは視覚に頼る生き物だ。ポリオに感染した個体が汚名を着せられるのは、外見が損なわれることへの恐怖や嫌悪という感情はそれ自体、奇形を催す病気を回避する戦略の一部だ。

 ハツカネズミのメスは、パートナーの候補が病気に感染していないかどうかをにおいで判断できる。

 グッピーのメスは圧倒的に、寄生虫のいないパートナーを好む。ひれをたたむ、体の色が薄いといった視覚的なヒントと、感染した皮膚から放出される化学物質を手掛かりに、メスは病気のオスを遠ざける。

 このように、様々な動物に社会的距離戦略があるわけだが、重要なことが1つある。動物は私たちと異なり、「自宅にとどまれば、感染率が下がる」ことに気付いていないと、キーセッカー氏は説明する。「私たち人にはその能力があります。そこが大きな違いです」 ナショナルジオグラフィックより

「すぐに効く薬もワクチンも治療法もない。効果があるのは行動のみだ。各人の行動により、今後30日間でこのパンデミックの状況を変えることができる」と強調した。(バークス氏:米ホワイトハウス 新型コロナウイルス対策調整官)

イラスト:現役医師(長野県)

緊急事態宣言は当面5月6日までとされました。7都道府県に続いて、地方自治体から自主宣言も出されたことを受け、私たちは現実としてしっかり向き合い、感染を広げない努力に集中したいものです。そのためにはできるだけ外出は控えること。これは簡単ではありません。今までの生活を見直さざるを得なくなり、仕事ができなくなり、その保障も不透明で…不安でいっぱいになり…それでも外出は控えなければ。そんな状況を私は“さなぎ”をイメージしてみました。さなぎの中で、あの芋虫は一旦ドロドロに溶けてから蝶になるんですって。身体を溶かすのは、身体に入ってきた病原体を分解して無害にする食細胞の働きだそう。ただし、記憶などの神経回路は溶けないというから驚きです。

私たちは、さなぎにはなれません。しかし人は自然界の一部の存在だという意識を深く持ち、今後の生き方を見直すことが迫られている気がします。緊急事態宣言で外出の自粛を要請されている今、この与えられた時間をどう過ごすか。想像力を発揮し、いろいろなことに気づき、取捨選択をする時期なのかもしれません。そして、さなぎが蝶に変態を遂げるように、その時、私も基本を身につけ進化した自分になっていたいと思います。


vol.195 アウトドア特集


人が多い場所には出歩けない昨今。感染リスクの少ない外遊びは大いにやるべき!そこで、普段使いのアイテムで、気軽に「デイキャンプ」をしてみませんか?デイキャンプといえば、「外メシ」

サバ缶をアヒージョにアレンジ!肉や魚介は夏場に傷まないよう持ち運ぶのが大変ですが、缶詰なら安心ですね。簡単なのにおしゃれに仕上がる、キャンプでもおすすめのおつまみです。

材料(2人分)
サバ水煮缶 1缶(140g)汁けをきる
長ねぎ 1/2本 一口大
にんにく 1カケ 薄くスライス
ミニトマト 5〜6個 ヘタを取る
オリーブ油 適量
黒こしょう 適量
ディル(あれば) 2枝程度

作り方
1.フライパンの表面を薄く覆う程 度のオリーブ油、にんにくスライス、長ねぎ、サバを入れて、中火で加熱。長ねぎがしんなりしたら火を止め、黒こしょうをふり、ディルをあしらい完成。

ポイント
直径が小さめのフライパン(鍋)を使うとオリーブ油の使用量を抑える事ができます。洗った野菜の水分はしっかりきることで、加熱時の油ハネを防止します。ディルは魚料理の臭みを消すハーブですが、ない場合はバジルやローズマリーなどお好みのハーブか、青ねぎでも問題ありません。

材料
きゅうり 8本(縞々にピーラ
 で剥き、4cm位にカット)
A 昆布茶か昆布だしの素 大さじ2
A 砂糖 大さじ1.5
A すし酢 250cc
鷹の爪(あれば) お好みで

作り方
1.ポリ袋や保存容器でAを混ぜ合わせ、きゅうり、鷹の爪を入れます。
 (水分が出て来て全体が漬かります) 2.一晩漬けたら出来上がり


バゲットをくり抜いて材料を詰め手頃な大きさに切っておけば準備はOK。温めるだけで、簡単に出来上がるというのが嬉しい。

材料
バゲット(20~30㎝のもの) 1本
玉ねぎ 1/2個 薄切り
ベーコン 約60g 薄切り
ピザ用チーズ 80g
マヨネーズ 大さじ2
パセリ・黒こしょう 適量

作り方
1.フライパン用ホイルシートを敷き、玉ねぎとベーコンを中火で炒め、玉ねぎがきつね色になったら取り出し粗熱を取る。
2.バゲットの両端を切り落とし、半分に切り中をくり抜く。(中身のパンはパン粉などにして利用してね)
3.ボウルに①とパセリのみじん切り、ピザ用チーズ、マヨネーズ、黒 こしょうを加えて混ぜます。2のくりぬいたところにスプーンなどで詰める。
4.食べやすい大きさにカットし、②の両端も戻し、その形のままフライパン用ホイルシートにのせ、形が崩れないようにしっかりと包む。 トースターやグリルなどで10分焼く。

ポイント
バゲットは焼く前の方がカットしやすいです。隙間があるとカットしたときに具が落ちやすいので、具は隙間がないようにギュッとしっかり詰め込んでください。

材料
1.ミニトマト 12個
2.オニオンドレッシング 大さじ4
3.フライドオニオン 大さじ2
4.スィートコーン(ホール) 大さじ5
5.紫玉ねぎ 1/8個
6.レタス 2〜3枚

作り方
1.ミニトマトはヘタを取り、縦半分に切り、ジャーに入れる。
 オニオンドレッシングと、フライドオニオンを加える。
2.スイートコーン(ホール)の水気を切ったものを加え、スライスした紫玉ねぎを重ねる。
3.最後にレタスをちぎって蓋をする。

ポイント
層になるように、きれいに重ねてください。ドレッシングや、水気の多いものは一番下に入れるのがポイントです。そのまま混ぜて食べてもいいですし、お皿に移しかえてもGood。


vol.195 ぎむきょールーム いまどき思春期模様

対談 岩宮 恵子(臨床心理士)×岡崎 勝(小学校教員)

思春期の入り口に立った時に

岡崎:ボクは親から子どもの相談をずっと受けてますが、家族のあり方はずいぶん変わってきています。だけど、子どもはあいかわらず思春期に入っていくというのがあって、ボクの経験のなかで小学生を見ていると、やっぱり5、6年生くらいからいろいろと態度などが変わってくると思うんです。
岩宮:思春期は身体的な成長と切り離しては考えられないと思います。第二次性徴(※1)というどうしようもない身体の変化がまずあって、気持ちの面でも情動などのコントロールが難しい(※2)時期だといわれています。

 そういうシンプルな切り口とはまたべつに、「良い・悪い」という善悪のどちらかしかないような世界観から、外にあると思っていた「悪」が自分のなかにもあると気がついたり、その逆に自分だけが「悪い」と思わなくていいのかもしれないと感じたりするような、「悪」について相対化できるような視点が生まれてくる時期が思春期ではないかと私は思っています。
 そして、なぜ自分は生まれてきたのかとか、なぜこの親で、この家に生まれ、この顔で、この能力なのか…と、いろいろ複雑な感情と向かいあわなくてはいけなくなります。このような問いが出てくると、たとえそれが第二次性徴の出現のずっと前の年齢であったとしても、思春期の意識の入り口に立っているなと私は感じます。

子どもを抱きしめることができない

岡崎:子どもを抱けないというお母さんは、最近はけっこういるんですよね。そういうお母さんがいたとき、ボクは「子どもをかわいがってあげてください」としかいいようがなくて、それがいちばん簡単でやりやすいのが抱っこだから難しいんですよね。

岩宮:下の子はいくらでも抱っこできるけど、上の子はできないというお母さんはけっこういらして、それは訓練が必要なのだなと思います。子どもが3人いるお母さんで、3番めの子には愛情大爆発で、かわいいとはこういうことなのだとはじめてわかったという方がいましたが、最初の子は一生懸命育てたけど、かわいいと思う余裕がなかったというんですね。その長子にちょっとトラブルが起きたとき、学校の先生に「この子をぎゅっと抱きしめてあげてください」といわれたそうなのですが、それはとてもハードルが高いことだと嘆かれました。「じゃあ、どれくらいのことだったら自然にできますか」と聞いたら、そのお母さんは「指きりだったらできる」といわれました。だったら、「子どもが朝出かけるときに、指きりをしてみてください」と話したことがあります。
 でも、なかにはハードルという意識もなく、軽い調子で「ベタベタしてくるのがいやで」「めんどくさいです」とある種、無邪気な感じで言葉にされる方もいて、これは子どもの意識のまま、親になってしまわれたんだなと思います。

親は自分が未熟だと自覚して

岩宮:いまも、子どもの思春期に本気でぶつかっておられる親御さんたちももちろんたくさんおられます。でも、子どもと向きあえていない親御さんは、自分ができていないことを指摘されるのではないかとこわくて、相談などにも来にくかったりするのだろうなとは思います。
岡崎:ボクはいつも親に対して、「いくつになっても未熟だという自覚を持ちましょう。だから学べるものは学びましょう。だって自分は未熟なんだから、と思いながらやりましょう。六十代後半のボクらもそうです」ということを話しますが、いえるのはそれくらいです。
岩宮:ほんとうにそうだと思います。
岡崎:そこには年齢も上下関係もない。みんな同じ。そうであることを自覚できなくなると、ちょっとこわいなとは思います。ただ、大人と子どもの線くらいはどこかで引きたいとボクは思いますが。

大人と子どもの線を引くために

岡崎:ボクは学校のよさがもしあるとしたら、たぶん大人と子どもの線引きをずっとやってきたことだと思うのです。親は教員のことを内心ろくでもないと思っていても、子どもに対しては、いちおう「先生だよ」といっていましたし、教員の方もあの親かと思っても「親にそんな口の利き方をしちゃダメだよ」と子どもにいっていました。ところがいま、親は学校の先生の揚げ足取りをしますし、教員の方も「お前のところの母親は」と口に出さなくても顔に出す。子どもはそういうことには敏感なので、大人に対してある程度敬意をもつとか、いちおう頼りにできると思うとか、包容力を感じるとかいうことができなくなっているように思います。
 学校にかぎらず、学校の外でも、フリースクールでもそうですが、「大人は頼りになる」という安心感があると、子どもたちに元気が出てくると思うんです。そういう意味では、地域の大人が子どもたちに声かけすることなども同じですよね。子どもと大人がボーダーレスの時代であっても、やっぱり大人が大人として、子どもが子どもとして生きられる。そういう場が必要なのだろうなとボクは思います。

※ 1 脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌され、男性の精巣や女性の卵巣が発育し、精巣からは男性ホルモンが、卵巣からは女性ホルモンが分泌される。
※ 2 脳科学の分野では、男女とも情動や衝動をつかさどる分野は第二次性徴が始まるころ急激に発達し、それを抑制する前頭葉の発達はそのあとから始まるため、この時期、情動や衝動が抑えにくくなるといわれている。

いわみや・けいこ
臨床心理士、島根大学人間科学部教授、島根大学こころとそだちの相談センター・センター長。大学で教鞭をとる傍ら、スクールカウンセラーや相談センターの相談員として思春期の子どもたちやその親との対話を重ねている。小説、漫画、アニメ、アイドルなどにも造詣が深く、著書に「フツーの子の思春期—心理療法の現場から」(岩波書店)、「好きなのにはワケがある—宮崎アニメと思春期のこころ」(ちくまプリマー新書)、「思春期をめぐる冒険—心理療法と村上春樹の世界 増補版」(復元社こころ文庫)ほか

おかざき・まさる
名古屋市公立小学校教員。「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人。「アーレの樹」理事として、フリースクールの子どもたちにかかわる。男性専門の相談にも応じている。著書に「きみ、人を育む教師ならば—「小学校の先生」といわれる私たちの仕事とその意味」(ジャパンマシニスト社)「センセイは見た!「教育改革」の正体」(青土社)、『子どもってワケわからん!』(批評社)ほか。

ジャパンマシニスト社 おそい・はやい・ひくい・たかい 108号より


vol.195 しょうがいをみつめる-6

初めまして。特別支援学校に勤め、障がいのあるたくさんの子ども達と接している中で感じたことや考えたこと、そして彼らから学ばせてもらったことなどをを綴っていきたいと思います。よろしくお願いします。

シンプルで、大切なこと

 私の働く特別支援学校には、居住地校交流といって支援学校に在籍するお子さんが、自分の住んでいる地域の小学校で同学年の子ども達と一緒に勉強するという取り組みがあります。
 ある日、私は重度の自閉症で、分からないことや嫌なことがあるとパニックを起こし、自分を叩いてしまうこと(自傷)もあるAさんの居住地校交流の引率をしました。授業の前に自己紹介をする時間がありました。自分で話ができないAさんの代わりに私は何を話したらいいだろうか、どうしたらAさんのことを子ども達に伝えられるだろうかと迷い、ならばと交流学級の子ども達から質問を受けることにしました。
すると、
 子ども 「Aさんの好きな食べ物は何ですか。」
 わたし 「パンとお肉が好きだよ。野菜は苦手だけど、給食は頑張って食べているよ。」
 子ども 「わあ、俺と一緒や!」
 子ども 「じゃあ、好きな勉強は何ですか。」
 わたし 「音楽が好きだよ。だから今日みんなと一緒に音楽ができるのをAさんも楽しみにしてるんじゃないかな。」
 子ども 「私も音楽好きが好きです。」 「私も〜」

 Aさんとの共通点を発見した子ども達は、担任の先生が制止するまでAさんのことを興味津々に尋ねました。そしてそのことをきっかけに、それまで何となく張り詰めていた空気が一瞬にしてほぐれたような感じがしました。
 いよいよ音楽の授業が始まりました。「Aさん、一緒にやろう。」と方々から声がかかり、「こっちだよ。」とあちこちから手を引かれるAさん。私は、その賑やかで少々強引な子ども達の様子にAさんが嫌がってしまわないかとヒヤヒヤしながら見ていましたが、Aさんはまんざらでもない様子。横目で友達の言動を伺いながら、終始穏やかな表情で音楽を聴いたり、一緒にゲームに参加したりすることができました。
 そして授業が終わると、子ども達はAさんを囲んで「一緒にできて楽しかった。」「Aさんまた来る?」などと次々と話しかけてくれました。

 私たち大人はどうしても自閉症児と健常児という分け方で子ども達を見てしまいがちです。どうしたらお互いに上手く関われるかなとあれこれ考えすぎてしまう傾向があるようにも思います。けれども子ども達にとって障がいの有無などは関係なく、ただ同い年の子の一人として接してくれました。好きなものが同じだという共通点を見つけ、楽しい時間をともに過ごしてくれました。さまざまな違いはあろうとも、『相手を知り、同じ時を過ごすことで仲良くなれる』、こんなシンプルで大切なことをAさんと交流学級の子ども達から教えてもらった出来事でした。S.I
 


vol.195  niramekko Gallery「夜の海」

大将と書いてひろまさ。名は体を表す。まさに、ひろまささんは大将のムード満点です。でも心はとっても繊細で敏感。集中している時ははなうたを歌っているよう。集中できないと席をはずれほかの場所で、はなうた…そんなふうにいつも絵を描いています。

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私たちの暮らしは意味や役割があるものに囲まれています。そうすると、意 味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動した りすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュ したり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.195 人生これから!

だから、前からやってみたかったことに
今からチャレンジしてみませんか?

映画「最高の人生の見つけ方」は、人生に空しさを感じていた二人がこれまでの人生で決してやらなかったことを体験していく中で、今まで気づくことのなかった生きる楽しさと幸せをかみしめていく…そんなストーリでした。人生は誰のもの?自分らしく生きるには?常に問いかけられている気がしています。今号から「人生これから!」を合言葉に「やってみた」シリーズを展開します。

青春18きっぷで全国津々浦々旅をしてみた!

NPO法人「だいじょうぶ」代表理事 田辺桜子さん(70代)

ネットで旅先の情報や電車の時刻表を調べる田辺さん

 以前から旅行が大好きで、マイカーで出かけていた田辺さん。が、年を重ねるうちに運転しての遠出に不安を感じた。そんなとき、青春18きっぷの存在を知り、「鈍行にゆられて行く旅、いいじゃん!」
 利用してみたら、沈み行く夕日、ゆっくり現れる山…のんびり味わう車窓の景色。駅で急行をやり過ごす時のまったり感。のんびり味わう旅は自分にあっていると実感した。以来きっぷの利用期間には毎回必ず夫婦で旅に出る。時には職場の仲間も一緒に。行きたい場所は常にあるけれど、新聞や雑誌、テレビで見た情報に「ここいいじゃん、行ってみたい!」と思えば即検索。電車で行けるとわかればしめたもの。パソコン、タブレット、スマホを駆使し、スケジュールと宿を決める。

大好きな豊島美術館


 昨夏は四国一周へ。岐阜→米原→高松→阿波池田→大歩危・小歩危→高知→宇和島→伊予→松山→今治→徳島。鈍行列車に揺られての旅は、何度も訪れた地を違う味わいにしてくれた。「旅にはそれぞれ思い出があるでしょ。だから人と話すのにも話題が事欠かないの。それもいいよね」
 15年間続けて全国都道府県は網羅した。それでもまだまだ行ってみたい場所はある。鈍行列車の旅は田辺さんの人生にもはや必要不可欠となっている。

『青春18きっぷ』JR線の普通列車、快速列車が1日乗り放題を5回利用できる、販売と使用期間(毎年春・夏・冬)が限定の特別企画乗車券。

 書道にチャレンジしてみた!
 子どものころ、習字の時間が嫌だった。中学生の時の何度やっても昇級できない自分に先生がお情けで一級あげてくれた記憶がいつまでも忘れられない。硬筆も下手で、字に対する劣等感を持っていたので、習うことに。先生は「好きに書けばいいんだよ」と言ってくれる。「はね・とめ・はらい」ができなくたってそれがどーした!って。好きに書けばいいと言われトラウマからポロリと抜け出せた感じ。今は書道の時間が楽しい。70代•男性

体験記、募集!!あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には、 人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!

えんぴつカフェ 3月7日に開催しました。 
<情報をどう整理整頓するか>

人生これから!「これからをどう生きるか」を念頭に、モノ・コト・ヒトの整理整頓を考えました。

今回は、コト・「情報」について

 今まさに「コロナウィルス問題」で、いろいろな情報があふれています。参加者の情報源はSNSが一番多く、次いで新聞、テレビと続きました。大事なことはそれぞれ鵜呑みにしないこと、という意見でまとまりました。そして「情報の裏づけ」をとりたいがどうすればいいのか、という問題に突き当たり参加者全員が首をひねる場面も。

情報の選択について

 大きな渦の中から一つの情報をピックアップするのは至難の技。どの情報選ぶかは自分の勘とか志向に頼りがちですが、大切なのは、今回のえんぴつカフェように、対面して人から情報を得るのがいいのではないかという意見に参加者全員がうなずきました。
 また、どの情報が正しくて、正しくないか、ということが重要ではなく、情報のバックグランドを複数の人と話してみることで、問題点が明らかになってくる。その問題点にきちんと向き合うことができるかどうかが大切なポイントではないか、と話し合いました。

自分らしく生きる!

人生これから!は定期的にえんぴつカフェを開催しています。ライフデザインノート『ゼロの昇天』をどんどん書き込んでいきます

2020年 5月21日(木)13:30~15:30

参加費500円(お茶とお菓子つき)  

場所:ミニコミ紙「にらめっこ」編集室
 各務原市蘇原新栄町3−15

エンディングというと、「わたしにはまだ早いわ」、「ぼちぼち考えるわ」、「親に書いてもらうわ」とさまざまな反応が返ってきます。人生のエンディングは誰もが迎えるということはわかっていても、準備をするときを決めかねてしまう・・・
エンディングという言葉に抵抗を感じる人も多いですね。だから、ライフデザインノート「ゼロの昇天」にしました。いま、これから、どう生きるかが大事。だって、人生これから!ですから。(^o^)

えんぴつ・カフェとは

毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお菓子をつまみながら、持ち寄った課題 をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、どう生きるかを念頭に置いて書き込ん でいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージが湧いてきます。そんなカフェです。

コロナウィルスの収束を祈りつつ、感染拡大防止に最大限の努力を惜しまず取り組みます。5月中旬に開催の可否を判断させていただきます。

主催:NPO「人生これから!」 問い合わせ 090-5638-7044(田辺)090-7854-4561(三上)



vol.195 熱中人 「アースディいわき」仕掛人 インディアン吉田さん

電気を消して、星を眺めてみよう
  人生を変えた出来事に感謝できる余裕を

「アースディいわき」 仕掛け人 インディアン 吉田さん

幻の聖火ランナー

 「正直ホッとしているんです。そもそも復興を冠にしたオリンピックには違和感を覚えていましたから。」そう語る吉田さんは、福島県いわき市出身。原発から40キロほど離れたところに住まいがあった。原子力発電所には小学校の時に社会見学に行くなど、日常の中に原発があったので特別に意識はしてこなかった。だが大人になって、なんかおかしい、事実が報じられてない、それどころか隠蔽してるんじゃないか?と不信感を覚えはじめたという。そんな時に、震災があり、原発事故が起こった。事故後さらに事実が報じられてない現実に、見えない放射性物質とどう向き合えばいいのか、当時1歳4ヶ月の子どももいてすごく悩んだ。
 「ライフラインが止まり、物資も入ってこないし身動きも取れない。4月11日にまた地震がありさらに混乱しました。こんな状況で子育ては厳しいなと感じ、愛知県の小牧市に自主避難を決意したんです。」

フクシマのありのままを伝えられるチャンス

 「2020東京五輪。日本での聖火のスタートが福島県のいわき市に決まった。そうであるならば、福島がふるさとである自分としては『実はわたしは自主避難をしています。こうして聖火を持って走りに来ました』そんな気持ちとともに、生まれ故郷で何かのメッセージを伝えたいという気持ちが強くて聖火ランナーに応募したんです。」という吉田さんは、問題含みの東京オリンピック開催については、賛成でも反対でもなく、悪いイメージも抱いていない。純粋にスポーツを楽しむ世界的なイベントであれば、反対する理由もないと。「日本の文化としていいもの、特に『もったいない精神』を世界に紹介できたり広めたりできるいいチャンス、とも思っていました。そして、ありのままのいわき市を走って、復興には今道半ばという現状を世界に伝えたかったんです」。と聖火ランナーに応募した当時の気持ちを語る。

自主避難した地で「アースデイいわき」開催

 小牧に来ても故郷を離れたことに負い目を感じる日々。もともと福島県の山奥を買い取って、子ども達に自然体験をとおしてたくましく育って欲しいと、インディアン村を運営していた。その旗振り役の自分がこちらに避難した・・・。人に会うのも辛い日々が続いていた。その時、福島県の友人から、「今までどおり君らしく活動して愛知の人にちゃんと恩返しをしなさい」とお尻を叩かれ、ようやく外に出ることができた。それで福島の山の中でやっていた「アースディいわき」という活動をもう一度やってみようと、いろんな人に声をかけたら県外から自主避難をされている方が1200人以上もいることを知った。そう人たちの応援隊、そういう事実を知ってもらう啓発イベントとして「アースデイいわき」をイベントの聖地・名古屋の久屋大通で復活させたのが2013年。
 「翌年はモリコロパークで『アースデイいわき』をやったんですが、その頃かな、オリンピックが東京に決まったのは。『アンダーコントロール』と世界に発信した安倍首相。その前の野田氏も『収束した』と・・・。現場を見てないのか?と、ますます不信感が湧き出てきました。フレコンパック(汚染土を詰めた黒いビニール袋)の行先も決まらず、山積みのまま。タンクの汚染水の処理も決まらずに、ですよ。この事故をきっかけに原発はやめよう、という論調に変わると思っていたのに、なかったことにしようとしています。」
 原発事故の後から生活スタイルを変えた吉田さん。エネルギー消費を少しでも削減しようとした結果、夜型から朝型にシフトした。
 「夜は電気を消して星空を眺めます」。かすかな輝きも心にしみるという。

 今回のコロナウィルス問題は、9年前の原発事故による放射能問題「見えないものに、怯える」いう状況にとても似ているという。もし復興五輪として予定通りオリンピックが開催されていたら、東北の支援はもうそこでストップしてしまうんじゃないかという一抹の恐れみたいなものもあった。その可能性もある。
 「だから、聖火ランナーとして『復興はまだ道半ば』を伝えたかったんです。」

インディアン村のシンボルインディアンテント「ティピ」

インディアン吉田(吉田拓也)プロフィール
2007年、福島県いわき市の山奥で「インディアン村づくり」をスタート。その村で「アースデイいわき」を開催。震災の影響で村づくりは道半ばとなってしまう。未だ復興への道のりは遠いが、東北にエールを送るとともに、第二の故郷「こまき」のみんなと誰もが楽しくワクワクするような「インディアン村」を期間限定で小牧山に再現復活させるなどの活動をしている。特定非営利活動法人インディアン・ヴィレッジ・キャンプ理事長。(小牧市在住)



vol.195 ボーダーレス社会をめざして vol.54

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

新型コロナウィルスの影響

 全世界に新型コロナウィルスが感染拡大し、普段当たり前だった事ができなくなってきています。いかに今まで平和で安心・安全な社会で生活してきたか思い知らされています。障がいのある人たちも行動範囲が狭まり、どのように彼らのストレスを解消していけばよいのか?未知の世界でどうしていったら良いのか?
 3月の下旬に、千葉県の障害者施設で、職員と利用者58人が新型コロナウィルスに集団感染しました。感染症対策専門家会議が2月の下旬に「瀬戸際」という言葉を使い、警告を発してから1カ月が経ちました。障がいがある人を生活支援している事業所はどう対処したらよいのか?迷います。支援をやめれば、収入がなく事業所自体が潰れてしまうかもしれないのです。私の事業所は、公共交通機関を利用しての支援はしない、人が集まるという行事はやめるということにし、細々と支援を続けています。一番大切なことは、命を守ることです。支援がなければ困る人がいます。感染者が出た千葉県の障害者施設の職員さんは、最前線で働いて下さっていた人達です。決して消毒などおろそかにはしてなかったと思います。それでも感染してしまう。
 最近では、どのような状況が危険なのか、どのような予防をすればよいのか分かってきたため、それにのっとり少しずつ支援の再開を進めていますが、事業所の減収は避けられません。3月は、先月の2分の1くらいの収入しかありません。どうやってこの危機を脱出するのか?分かりません。
 自閉症の息子は、やはり理解ができないようで、「コロナウィルスのため」と言い、アパートで生活するということを断念しています。公共交通機関をどうしても使わなくてはいけないからです。「車で送迎するから、アパートへ行く?」「分かりません。やめます。」ということで現在はやめています。しかし、いい事もあります。ある日、夕方に雨が降りそうな時がありました。雨が降れば会社まで車で送迎する事になっていますので、「天気予報で帰る頃には雨が降るって言ってたよ。車で行く?」「僕は合羽を持っています。自転車で行きます。」と車での送りを拒否されました。なんと自立した大人!と感心させられました。いい風に育ったなと嬉しいやらちょっと寂しいやら。手洗いは昔から時間をかけて丁寧にしている息子。今まではなんでそんなに時間かかるの?とイライラして待っていましたが、それが本当の手洗いなのだと最近知りました。息子に教えられています。
 「新型コロナウイルスとの闘いは短距離走ではありません。1年は続く可能性のある長いマラソンです。国民の賢い判断と行動が求められています。」と山中伸弥さんの言葉です。賢い国民の一人でありたいです。