vol.179 熱中世代発 リバース9号

ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)
タテハチョウ科 名前は、端(ツマ)に黒い豹のような紋のある蝶の意味です。雌の前翅に黒い紋があり、雌の翅紋により名づけられました。
分布は、本州(千葉県以西)、四国、九州、南西諸島。多化性で、暖かい南西諸島南部では一年中見る事が出来ます。国外ではユーラシア大陸の北部からアメリカ大陸まで分布しています。
美濃地方では3月下旬から10月まで見ることができます。幼虫で越冬し、成虫は年4回~5回発生します。幼虫はパンジーやニオイスミレなどの園芸種のスミレの類を好んで食べ、在来のスミレではタチツボスミレ、スミレを食べます。(参考・フィールドガイド日本のチョウ)

50年ほど前は紀伊半島の南部まで行かないと見られない蝶でした。私の中学生のころは一年に一頭捕る事が出来るかどうかの珍しい蝶でした。岐阜県で普通に見られるようになったのは最近の事です。東京近辺で普通に見られるようになったのは2000年代に入ってからです。昆虫の生息域の北上は、地球の温暖化の結果の具体的な証拠であると同時にパンジーのような外来の園芸植物の植栽も一因といえます。この蝶の北上はスミレを食草とする他のヒョウモン蝶の類を減らすこととなっています。私たちの生活が、自然に与える負の影響を考えなければならない時が来ているのです。

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年 関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

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野菜のように洗えないお茶。ちゃぼぼ園のお茶は完全無農薬だから安心して飲めること、そして、その香ばしい香りにファンも多い。
ちゃぼぼ園がある揖斐郡旧春日村の茶畑は伊吹山の麓、標高330mの斜面に位置する。昼夜の温度差が大きく、ガラガラな土質はお茶栽培の理想的条件ではあるが、春日の茶木である「在来種」は、深い根をもち地面に肥料を撒いても意味がない。
 もともと春日茶は業者の間では昔から味をよくするためのブレンド用として使われるのみで名前は知られることがなかった。加えて、新茶や旨味のあるお茶がもてはやされる時代になった。「在来種」は自然の力だけで育つため新茶が市場に出る時期は遅く、出荷された時には安く買い叩かれてしまっていた。生産者たちは労力に見合わないと、一時期「改良種」への植え替えを試みたものの、何百年もの間その地にしっかりと根の張ったお茶の木は、簡単に抜くことができず改良種への転向は叶わなかった。更に高齢化で後継者がいないお茶農家も多く、760年の歴史を持つ春日の茶畑は、徐々に姿を消しつつあった。

在来種の茶畑はまるでジグソーパズルのように木が入り組んでいる。「在来種」とひと言で表しても、幾種もの茶木が一緒に植えられているからであり、このことが春日のお茶に深い味わいを与えているとも言われている。中村さんの茶畑の木は表面が平に刈り揃えられているが、これは全部に均等に日光が当たるようにと、中村さんの亡きお父さん考案のスタイルである。

夫の転勤で春日から一旦離れた中村さんだが、子どもたちが巣立つと、消えようとしている春日のお茶を守りたい一心で生家に戻りお茶づくりを始めた。シーズンともなれば、茶畑の草取りから、茶摘み、焙煎、袋つめ、ラベルのデザイン、発送、配達など全てをこなす。
中村さんはお茶の葉とのコラボ商品の開発にも余念がない。アイデアは次から次へと浮かぶようだ。実際形になったものでは、ケーキ、プリン、米麺、石けん、ソーセージ、などなど。お茶を出した後にもその茶葉には栄養の6割を含まれるとあって、丸ごといただくためのアイデアは次から次と浮かんでくるようだ。
にらめっこの編集室では、出し殻として捨てるのがもったいなくて、干して粉末にしてふりかけにしたこともある、と中村さんに話すと、
「そこまでちゃぼぼのお茶を愛してくれてありがとう」と声高らかに笑われた。
「でも、天ぷらにしたり、漬物に混ぜたりする方もいらっしゃいますから、茶葉の使い方も人それぞれだなと思います。安心、安全、というのが当たり前なちゃぼぼの茶葉ならではの頂き方なのでしょう」とも。

中村さんは春日の特徴あるこの茶畑を村の人たちと一緒になって守りたい、盛り上げたいと奮闘の日々を重ねている。
春日のお茶に惚れこみ、多くの人にその味を知って欲しい、そして守っていきたい。その姿勢は一貫している。
機械が入れない土地だからこその手作業。無農薬が当たり前なお茶づくり。この土地に息づくお茶の文化を守りたい一心で、がむしゃらに動いてきた。今後は持続可能にするための工夫が必要とされる。楽天家のさよさんだが急に真剣な顔になった。
「そうなんです。これからは後継者をしっかり育てることも、私の使命かなと思っています。」

なかむらさよ:プロフィール
1950年旧揖斐郡春日村に生まれる。小学校5、6年とソフトボールで連続優勝!県立揖斐高校でソフト部に入りピッチャーとなる。子供服のデザインに進む予定が訳あって和裁塾に。のちに広告会社に転職。その後結婚。子供の手が離れてからPOPクリエーターとして働くが、春日在来茶の貴重性を知り保護意識が芽生え、在来茶の栽培農家として奮闘、現在に至る。その間、紅茶が日本茶葉でもできることを知り、地域起こしになればと「庵・花茶ティーファクトリー」を立ち上げ、紅茶作りも始める。

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お月見の由来
豊作の祈願と、収穫の感謝
電気がなかった時代には、月明かりは農作業の大きな助けとなっていたのですね。そのため、月に感謝を捧げたのだそうです。農作物の豊作の祈願と、収穫の感謝をする秋は、様々な農作物の収穫の時期です。お米もその中の1つですが、昔の日本人にとっては、お米の出来・不出来は、とても重要なことでした。

月を眺め、月を愛でる
古来から、日本人は、月を眺めて楽しむ習慣がありました。和歌などに「月」がよく詠まれていることからも分かりますね。
秋の月は、1年の中で最も美しいとも言われていたようで、それがお月見に繋がっているとも考えられています。

お月見の団子やすすきの由来
団子 月を信仰の対承として、豊作の祈願と収穫の感謝をするので、お米を使って月に似せた団子を作って、お供えするようになったと言われています。
また、秋には里芋が収穫されますが、十五夜のお月見にはこの里芋をお供えする風習もあります。
最近では、お団子だけの場合が多いようですが、地域によっては、お団子を里芋に似せた形にしているところもあるようです。
すすきと萩 お月見では、団子と一緒に、すすきと萩を飾りますね。すすきは、稲穂に似ていることから、お米の豊作を願って飾られます。
地域によっては、すすきではなく稲穂を飾るところもあります。
萩は、神様の箸の意味合いがあるそうです。神様が萩を使って団子を食べる・・・ということでしょう。
また、すすきも萩も、邪気を避けるとも言われていますので、団子と一緒に飾るものとして使われるようになりました。